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声の神に顔はいらない  作者: 上松
174/403

174 ゲームの中の行動は本質が出る

『俺様の物になれよ!!』

「うっわ~、実際こんな事やられたら殴りますよね。イケメン無罪なんですかね? まあお金があるってわかってるなら……我慢してあげますけど、この段階ではちょっと……」

「え? こんなに求められるってよくない……ない?」


 私と浅野芽衣はゲームをしてる。ニンテンドースイッチをテレビに繋げて、テレビの大画面を二人で見ながらやってるのだ。まあ大画面と言っても、24インチくらいの出始めの液晶テレビを中古で買った奴だから、色もおかしいし、今の時代の大画面と呼ばれる程に大画面でもない。けどまあ、ニンテンドースイッチの元の画面が7? 6インチくらいだから24でも十分大きい。


 二人でこたつに入りながら画面を共有くらいはよゆうで出来る。


「先輩、どんだけ寂しいんですか? そんなに男欲しいですか? 年齢イコール彼氏いない歴ですか?」

「うっさい……そうよ、私なんて年齢イコール彼氏いない歴の三十路も見えて来た年齢のおばさんよ」

「えっと……ごめんなさい」

「あんたに謝れると……余計に惨めになる」


 私はこたつに突っ伏しつつ、ミカンの皮をむく。浅野芽衣は小声で「どうしろと?」とか言っていたけど、画面に視線を戻して選択肢を選んでた。


「この俺様系はないな」

「浅野は……そういう系……す……すすす……す」

「先輩は小学生でそっちの感性止まってるんですか? そんなんでよく、これ攻略できましたね」


 そんな風になんか可哀想な人を見る目で見てくる浅野芽衣。何その同情の目。ムカムカする。普段傍若無人な奴に心配されると、こいつよりも下なのかと……私はむいたミカンを頬張りつついうよ。


「ひゃんばった……」

「はい?」


  私はミカンをゴクンと飲みこんだ。


「頑張ったの……めっちゃドキドキするし、ヤバい位切なくなるけどね……ゲームは全てを教えてくれるよね」

「なんか……同意したくないですね。先輩が言うと」


 どういう意味だこら。私はゲームの素晴らしさを語ってるというのに。ミカンを食べながら、あれこれ話しながらやってると、浅野芽衣の好みというか習性というか……そんなのが見えてくる。


『おいお前! これはどういう事だ!?』

『どういう事なんですか芽衣さん!』

『そんな奴だったなんて……』

『君にはがっかりだよ……』

「先輩……なんか修羅場になってます」

 

 画面の向こうでは、ヒロイン……いやヒーロー達に厳しい顔つきで責められてる主人公事浅野芽衣がいる。私的には当たり前である。

 でもわかる……皆にいい顔しちゃう。私みたいなのが、こんなイケメンの誘いを断るなんて……そんな事が出来るだろうが? って悩んだ。つまりは浅野芽衣もそうなのだ。


 いや、彼女の場合は私の様な思考ではない。


「うーん、俺様王子意外はキープが良いですね。とりあえず一番出世しそうなのに最後行きます」


 とか宣ってた。まあ昨今の乙女ゲーはハーレムエンドもあるし、出来ない事はない。でもハーレムエンドには圧倒的な好意、と誠意が必要なのだ。

 浅野芽衣には打算と欲望しかなくて……それがヒーロー達にバレたのだ。まさに八方美人。現実でも浅野芽衣は同じような事をしてる。


「ちょっと可笑しくないですかこのゲーム! 私の振る舞いは完璧だった筈なのに……」


 なんでこんな事になったのか……ゲームオーバーの文字をみても納得いってない浅野芽衣。これを未来の自分だと思えれば……ちょっと行動を改めるかな? とか思ったけど、そんな期待は出来そうにない。

 しょうが無いから、私は手を差し出して浅野芽衣にコントローラーを要求する。私が完璧なトゥルーエンドを見せてあげようじゃない。

 私はタイトルに戻ってニューゲームを押した。

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