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声の神に顔はいらない  作者: 上松
165/403

165 やり終えた事、花開いた事

 今日は久々に此花さんにあった。ラスベガスまでわざわざ来て沢山詰め込まれてる予定の整理をしてくれる。オシャレなカフェの店内で自分たちは打ち合わせをしてる。


「凄いですね。この前のPV、既に再生回数が五百万突破してます」

「そうですね。舞台で出せるような圧倒的なあの空気感がちゃんとPVから出てますからね」

「はい、映像の力と言う物を感じました。どうやら信用して良いようですね」


 此花さんはバッシュ・バレルに結構警戒してる。あいつ自身へじゃなく、その作品というか、作風にだけどね。バッシュ・バレルはあの人となり通りに、これまでは結構荒々しい映像を撮ることが多かったからだ。荒々しくて派手……そしてなんか意味不明。けど人を惹き付ける物を撮るのがバッシュ・バレルだった。

 じっさいそこは自分も思ってた。既にバッシュ・バレルで行くと決め手は居たけど、不安は常にあったしね。でも楽しみな部分が大きかったから自分はバッシュ・バレルに決めた訳で、そしてそれは間違ってなかったと思う。

 今回のジュエルさんたちとのPVでバッシュ・バレルは不可思議で魅力に溢れた世界を描いた。それは今回こっちで映画にする世界観とちかいと感じた。てかバッシュ・バレルもそういう思惑があったのかもしれない。


「少し予定よりも遅くなりましたが、日本に帰られますか? こちらで先生にやって頂く事は一通りは終える事が出来ましたので」


 PVの撮影の後から、カジノ回ってバッシュ・バレルと共に、色々と著名人とか色々な才能と顔つなぎをしておいた。一応監督とバッシュ・バレルに決まってスタジオも押さえてはある。配給会社も決まって色々と動きだしてるが、まだまだ映画を作るとなると必要になる事はたくさんある。

 実際、原作者がここまで動いて関わるなんてあるんだろうか? って感じではある。まあ普通は撮って貰う……って感じだろうが、自分の場合はもうそんな感覚ではない。自分たちで一つの映画を作り上げる感覚だ。それを売り込んで配給させる感じだからね。

 色々ときっとハリウッドの慣習には則ってないとは思う。でもそもそもが自分たちはそんなの知らなくて、手探りでやってきた訳で、文句ない。楽しかったし。一応重要な部分には色々と自分自身で口出せたしね。VFXとかを担当してくれる会社とかも相当一流な所である。

 日本の邦画で見られるような安っぽい演出にはならないだろう。後他にもこっちの希望を言うと、此花さんとバルクさんが大抵なんとかしてくれる。自分のスタッフ優秀すぎる。


「驚いたよ。結構自分の作品が浸透しててさ」

「なにいってるんですか!」


 そう言って此花さんが乗り出してくる。此花さんは自分の作品の事になると熱くなる。いつもはクールビューティーなんだけどね。


「先生の作品は世界に燦然と照りつける太陽なんです。まだまだ知ってる人が少ないくらいです。だからこそ、ここからなんです」

「それは……ありがたいよ本当に」


 そういって二人でこれからの話を進めていく。まあけどやっぱりこれ以上こっちに居ることも出来ない。やはり一度は日本に帰らないと。今は世界中どこにいてもネットさえあれば仕事出来るが、それだけでダメな事もある。そういうことが日本では貯まってる。


「それではそういうことで、日程はこちらで調整しておきます」

「おねがいします」


 此花さんには本当に優秀で自分の仕事の管理は全部彼女がやってる。それはこっちでも日本のでもかわりない。


「そういえば先生」


 席を立って打ち合わせも終わり……という所で此花さんがふと言葉を紡ぐ。


「最近、舞台におはまりのようですね。もしやジュエルさんの他にも引き抜きたい役者がいるのですか?」

「いや、まあ出てくれたら嬉しいけど……そういうんじゃなく純粋に舞台が好きになってね」

「そうですか。先生の刺激になるのなら結構なことです。たくさんインプットしてください。それでは失礼します」


 そう言って去って行く此花さんを見送る。ドキドキとしてしまった。舞台の話が出たとき、バレたのかと……いや嘘はいってない。本当に舞台とは面白いって思う。あのライブ感や役者達の演技。そして演出。そこには世界が作り上げられてる。

 でも、そんな舞台の上で自分が見つめるのは……


「こっちに居られるのもあと少し……か。よし」


 自分はある決意をしてミーシャさんに連絡をとる。なにせあの劇団のマネージャーは彼女だからね。

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