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声の神に顔はいらない  作者: 上松
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143 大きな子供の、大きな夢 1

 目の前に、天使がいる。汚れた天使は僕に手を差しのばしてくれてる。自然と僕の手が伸びる。それを彼女が……



※※※


 僕は役者になる! そう思ったのはハイスクールも後半になったくらいだった。その時、僕は長身を生かしてバスケットボールをやってたが、別段そこまで上手くなかった。だから補欠だったし、結構パシリ的な事をやらされてた。そもそもが他人に強く出られる様なタイプでもなかったしね。


 だからバスケは好きだったけど、その仲間内の雰囲気とはちょっと苦手で、一緒に休日に遊ぶとかなかった。休日はもっぱらゲームやアニメコミックをみてた。ゲームでお金がもらえたらな~とか思って配信とかも一時期はやってた。


 だが、カメラがあるとどうしても意識してしまって上手くしゃべれなかった。ならしゃべれないなりに上手いプレーで見せれば視聴者がつくと思って頑張ってみたが……どうやら自分はそこまでゲームが上手いわけでもないと言うことがわかった。体がでかいから、細かい操作は苦手だ。

 手だって大きいから、コントローラーが窮屈に感じる。最後にはコントローラーを投げ出してゲーム配信は諦めた。

 何かをコツコツと……そんな事は得意な方だと思ってたが、考えて見たら僕にはこの背丈だけしかない。背丈を生かす為にもバスケットボールを子供の頃からやってたが、僕は大きい方だが、バスケットボールとなると自然大きな奴らが集まってきてる。

 僕も大きいが、圧倒的に大きい訳でもないし、プレーだってキレがあるわけじゃなかった。結局はコツコツと……というよりもダラダラとバスケットボールは続けてただけ。でも他に何もない奴になってたのだ。勉強だってそんなに出来るほうじゃない。こっちはコツコツと毎日一応予習復習をやってたから平均値にいるだけだ。


 将来も見据えないといけないハイスクールの時期、僕には何もなかった。でもそんな折りでも実はそこまで深刻さはなかったんだ。どうにかなる……若さの根拠のないそんな自信で日々を過ごしてた。勿論、なにか自分にはあるはずだって言う願望もあった。


 そんな折りに見つけたのはネットの知り合いに勧めて貰ったジャパンニーズライトブックだった。それまで文章しかない本ってのは読んだことなかった。だって……眠くなるし、目がしばしばする。けどその友達が簡単に読めるって言うから、試しにKindleでかってみた。今やどこの国の本でも簡単に買えるのはありがたい。


 それに本と違って電子書籍は安い。子供の少ない小遣いでもなんとかなる。まあ最近の奴らは殆どがスマホのゲームとかに使ってるようだが。フォートナイトは凄い。学校内にもチームとかがあり、派閥を争ってる。ゲーム大会とかで優勝して賞金持ち帰ったりしてるしね。

 ああいうとこに入ればもしかしたら上手くなるのかも……とか思うが、絶対に僕にはついて行けないだろう。上手い奴らは反応が違う。それはゲームもバスケットボールも同じだろう。気付いたら抜かれてる……気付いたら死んでいる……こんなのあるあるだ。


 その分、本はいい。こっちを待っててくれる。そして別の世界の主役になれる。そう……自分はこんなんでも自分の世界の中だけは、主役になりたいとも思ってるんだ。

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