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声の神に顔はいらない  作者: 上松
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103 好きの原動力

 パカーンと軽快な音を立てる。そしてガラガラとなりたてて、そしてし倒れたピンがバーに寄って改修された行く。思い出した。昔、片手で数えるくらいしか行った記憶無いが私は昔、あれが好きだった。あの倒れたピンを回収する様子にキャピキャピしてた思い出がある。


 なんでそんなのに琴線が触れたのかは自分でもわからない。けど、子供ってそういう物だろう。てかボーリング場の思い出が底まで遡らないと無いって言うのが衝撃だ。


「お、お願いします! 貴方にしか頼れないです!」


 そう言ってマネージャーが愛西さんに頭を下げてる。投げ終わった愛西さんはドカッと安っぽい椅子に座ってタバコをふかしだした。すごいねここ。まさか分煙とかもしてないとは……今は色々とタバコに厳しいご時世だ。だからこそ、こういう場所は貴重でこういう人たちの憩いの場なのかも。私はさっとマスクを取り出すよ。


 タバコの煙は喉に悪いのだ。


「そんなこと言われてもな。俺だって遊びでやってんじゃないんだよ」


 タバコふかしながら、手につけてるグローブを引っ張ったりしてる愛西さん。確かに彼は遊んでるわけではないようだ。そのグローブはかなりボロボロになってる。それにシューズもそうだ。貸し出し用のシューズがあるのに、どうやら愛西さんのはそれではないみたい。


 ちらっと見た程度だが、貸し出し用の靴は無難なデザインで統一されてた。けど愛西さんのは派手な赤いシューズである。目立ちたがりの人なんだろうか? 


「そこをなんとか……」

「ラジオの脚本家なんかそれこそ掃いて捨てるほどいるじゃねーか。俺に持ってくる必要なんてないだろ。

俺みたい凡庸なやつにはなおさらだ」


 んん? 有能な人だときいてたけど……自己評価が低いのだろうか? 大手事務所からこの人なら――と言われる程なら、仕事なんかいっぱい来てるだろう。それなのに凡庸なんてね。贅沢か? 


「これは愛西さんにしか出来ない仕事なんですよ?」

「けっ、田無も偉くなったもんだな。今では人を使う立場か」

「今もこうしてせかせか働いてるじゃないですか」


 笑いながら田無さんはそういうよ。うん、やっぱり田無さんに案内役とかさせてるのは結構恐れ多いのかもしれないね。私たちは向こうの事務所の役職とかしらないから、そういう物なのかな? とか思ってたが、彼らと付き合いが長そうな愛西さんがそう言うのなら、やっぱり田無さんって結構な立場なんだろう。リードマネージャーだしね。プロデューサーとどっちが偉いのだろうか? わからない。

 私の中のプロデューサーってあの厄介事しか持ってこない奴のイメージだから、あれよりも下とは思いたくない。


「ふん、他を当たれ。俺はもうラジオは見限ったんだよ」

「それでボーリングですか?」


 ラジオを見限った……何かあったのだろうか? それともそのままの意味? 確かに今の時代、ラジオは厳しいと聞く。映像を誰もが簡単に配信できてしまう時代だ。それなのに声だけのラジオにどれだけの需要があるのか……ずっと続いてるし、需要があるのは確かだけど、それは少ないのは確かだよね。


 だから将来に悲観して……なのかも? それでプロボウラーなるってのもどうかと思うけどね。ボウリングだって将来的にかなり怪しいような? それに脚本家なら、別にラジオだけじゃなくいろいろな方面に行けるのでは? そこら辺詳しくないから私にはなんとも言えないが……


「おう、このピンを綺麗に倒した時にスカッとする感じがたまんねえぞ」


 タバコを咥えた愛西さんがそう言って子供のように笑う。ああそういうことか……と思った。この人はただボウリングが好きなんだろう。だから今にしてその夢を再び追いかけてる。きっとそれだけだ。

次回は17時に予約投稿してます。

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