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声の神に顔はいらない  作者: 上松
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101 玉転がすゲーム

 やってきたのは寂れたボーリング場だった。大きなボーリングのピンが立ってるが、それも錆が目立つし、なんか建物自体も結構古そうだ。今やこういう施設って複合一体型のところが主流だしね。ボーリング一本ではなかなかに厳しいのかもしれない。

 そもそもがボーリングって昔からあるけど、どのくらいの人口なのかよくわかんないスポーツだ。そもそもがスポーツなのかすら……いや、プロがいる――くらいは流石に知ってるけどね。私もやったことあるが、家族で一・二回程度? 友達と遊びに行く……とかやったことない私はその程度だ。


 でも遊びに行く候補であがるのかな? と思う。「今日はボーリング行こう!」って若者がいうイメージが浮かばない。それよりも「今日はカラオケ行こうぜ!」だろう絶対に。絶対に第一候補にはならないよね? 第二・第三も難しそう。そもそも若者はボーリングと言う存在を知ってるのか? 


 ボーリングってどの層に受けてるスポーツで娯楽なのかよくわからない。そもそも玉が重いから、女子には向いてないし。


「いや~、色々と伝手をたよってようやくここによく居るって事がわかったんですよ」


 そういう田無さんはどうやらかなり頑張ってくれたらしい。いやはや、本当に良くしてくれるね。宮ちゃんの事があるからって普通はここまでしてくれないんじゃない? わかんないが、ありがたい。私達はきしむ音を立てる扉を開けて中に入る。


 中は案外小綺麗だった。広い玄関に靴入れ。そこから更に扉を開けると、すぐにレーンが見えた。九くらいはレーンがある。使われてるのはその中の三つくらいだが……受付にはだらけきったおばさんがテレビで何やらドラマを見てる。中にも自販機とかある。そしてそこにはテーブルとかもあって、別段ボーリングしてない人たちがおしゃべりに興じてる。


 私達は別にボーリングをしに来たわけではないから、靴を借りる必要は無いだろう。田無さんが目をこらして周囲を見てる。そして「ああ、あれですね」といってその人に近づいてく。その人は一人で真面目にボーリングをやってるようだ。


 さっきから一心不乱に玉をレーンに転がしてる。スピンがかかってるのか、その玉は並んでるピンの手前で曲がると、中央付近に突き刺さり、さっきから全部倒しまくってる。上のモニターにはストライクの文字が躍ってた。久々に来たが、そういえばこんな場所だったと思い出す。


 なんか昭和感を感じる気がする。いまやもう令和だと言うのにね。二つも時代をまたいでる。


「失礼します愛西さん。ちょっと良いですか?」

「ちっ」


 なんか明らかにイヤそうなんですけど……とりあえずその人は再び玉を投げた。勿論それは吸い込まれる様にストライクをたたき出す。プロかな? と思った。

次回は22時に予約投稿します。

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