第3話 息子
主人公視点になります。
「フロウさんは鋭いのか鈍いのか分かんなくてドキドキするな」
まぁ、なんとか誤魔化せたみたいだけどあのスキルは人前では使えないなぁ。とりあえずは家で試せそうなものから使ってみよう。
しかしフロウさんに鑑定されてたらヤバかったな……。あれだけ強くて鑑定持ちってどんだけなんだあの人……って、誰かつけてきてるな。
「おいっ、シグロ!」
「……はぁ、次から次へと」
……同い年のランゼル。間が良いというか悪いというか、何でこう人の疲れてるときに来るかな。親の顔が見てみたいよ……さっき見たな。ほんとそっくり瓜二つ。子供にあんな鎧与えるなよ……。
「……何でしょうか?」
「種族鑑定をしたらしいな?どうだったんだ?」
「……あまり他人に明かすなと爺に言われております」
「口答えをするなっ!素直に答えれば良いんだ!」
「……蜥蜴系人型でした」
「フンッ。やはりな。孤児は孤児らしい種族がお似合いだな。因みに俺は海象型だ!立派な父上の息子だからな!」
聞いてもないのに言ってきたな。こうやって人に自慢して自分の価値を感じているヤツは禄な育ちをしてないんだよ。……俺も禄な育ち方してなかったな。
「……用がないのでしたらこれで」
「まぁ待て。この俺が指導してやろうと思ってな」
「は?」
「指導してやろうというのだ!分からんのかっ!」
何を言っているんだろう?ランゼルは種族鑑定したばかりで、まともな鍛錬をしたことがないはずだけど……毎日威張り散らしてるだけで。あの親バカのバカ息子だし。
「最近忙しいので遠慮させていただきます。もうすぐ日も落ちますし」
「明日の昼に騎士の訓練場まで来い。そこで見てやろう」
……は?話聞いてたのかこのバカ。会話できないくせに態度だけは偉そうだな……。
なんか話が長くなりそうだし、返事だけして行かなきゃいっか。
「……承知しました」
「俺の貴重な時間をくれてやるんだ。ありがたく思え」
なんであんなに自己評価高く居られるんだろう?どれだけ甘やかされたらあんなクソ素晴らしい性格になれるのかな。
はぁ……無駄な時間を過ごした……。日が暮れる前に帰ろうと思ったのに日が暮れちゃった。いつも魔物の素材を売ったりしてて、多少のお金ならあるから何か食べて帰ろう。
「いらっしゃい。なんだ、ジグロか?こんな時間に珍しいな」
「面倒くさいのに捕まって、帰りが遅くなったんだ」
明るい時間に偶に行く小料理屋なんだけど、そういえば夜に来るのは初めてかもしれないなぁ。ここは肉の串焼きが美味いんだよね。
「……中年の親父みたいなこと言ってんな。ガキが日が暮れてこんなトコ歩いてんなよ」
「今日はたまたまだから。いつものやつちょうだい」
「だから中年かって……。串焼きでいいな」
「うん」
あ〜良い香りがしてきた。お腹空いたなぁ。でも、早く食べて早く帰らないと。今度は爺に捕まっちゃうよ。
「……美味しかった。ごちそうさま」
「あいよ。気ぃ付けてな」
さぁ、帰ろう。食後の運動がてら走って帰ろうかな。……ん?
「さぁ、行こうかお嬢ちゃん」
「……嫌です。帰してください」
「家まで送ると言ってるんだよ?もう暗いし危ないだろう」
……厄日だ。今日はそういう日なんだ。もう考えるのをやめよう……。
いい大人三人が、女の子囲んで何やってるんだろう。あの子、僕と変わらない位の年に見えるな。あんなキレイな金髪あるんだなぁ……汚い大人が触ると汚れちゃうな……。
「ほら、乱暴にはしないから」
「や、やめてください。誰か……」
「あぁ面倒くせぇ。さっさとコッチにコベッ!?」
「「兄貴っ!?」」
俺が面倒くさいんだけどね……。ってか、裏拳一発でコレってどんだけ弱いんだ……。
「……なんだこのガキ?」
「痛い目に遭いたいようだな」
「良いからさっさとかかってきたら?」
「「調子にのんなよっ!!」」
よく見たら3人とも狼型の亜人だな。フロウさんの話では狼型と夜戦ったら面倒くさいって聞いてたんだけどな。スゴく良く動きが見えるけど。
「死ね!……グゥッ……!」
弱いなぁ……。ていうか、振りかぶったらそこから攻撃が来るの見え見えでしょ。軽く殴ったらお腹抑えて倒れちゃった。……少し汚いものも見える気がするけど忘れよう。
「貰ったぁっ!……ガハッ……!」
だから、死角取ったらしいけど声出したらバレるでしょ。この人もお腹抑えて倒れちゃった。少し汚いものも見える気がするけど忘れたい。いゃ、忘れよう。
あの娘、ポカーン……って感じになってるね。このまま帰っちゃおうか。面倒くさいし。なんにせよ汚いもので真っ白な服が汚れなくてよかったね。
「……はっ!お、お待ちください!」
「……は?」
「助けていただきありがとうございました!私、ハインと申します!お名前は?」
「……シグロ」
「シグロさん……。本当にありがとうございました!この御礼は必ず!」
「……結構です」
「……必ずっ!」
あー泣いちゃいそうだな。やっぱり面倒くさい。このまま帰ろう。
「……じゃあね」
「あっ!お待ちください!御礼ができなーーー」
……あっ。しまった、いつもの癖で翼で飛んじゃった……。鑑定師さんに口止めされてたのに……。
別にどこに住んでるとかも言ってないし……大丈夫……かな?なんか声が聞こえたけど……もういいや。疲れたからさっさと帰ろう。
「……ドラゴン」
盛り上がる書き方がわかりませんね。
下手な文章で申し訳ありません。