第1章 第68話 序章 愛を語るに至るまで⑥
目の前に立ち塞がる絶望、どれを敵に回してもランクは序数SS災害Sと言ったところだろうが、あくまで一体と戦った時の話だ。これが全員となるとランクSSSはくだらないだろう。
これは英雄と呼ばれる冒険者が何人もいるパーティが数隊集まってなんとかなるレベルだ。
「無理ゲーすぎんだろ⋯⋯それにあれは別格だしよ」
黒い人影、『スキル』を持ち合わせた死霊。人体と魔力の結合を離すなどと言うとんでも能力を持ち合わせる。
それでなくても、ドラゴンにケルベロス、巨神兵。災害と呼ばれる怪物達がいる状況。
さて、どうやって攻略するか⋯⋯。
「1音 打音」
地面に撥を叩きつける。それが開戦のチャイムとなった。地面を砕き爆発させ土煙を上げる。その隙に正面から志龍は消え去る。
死角に入り、思いっきり音を溜める。
「1音 轟音」
音が地を揺らし、捲り上げる。その衝撃波が四体を吹き飛ばす。メキメキと木が音を立て肉片が山を下る。
「音速」
急いで志龍は回り込む。麓で待ちその両の腕に音を宿す。
「2音 打音」
すくい上げるように放たれた音により一気に空中に放り出される。
「圧縮音壁 『音速2倍速』」
土台を破壊するほどの脚力で空に飛ぶ。そして再び音を溜め、全身を使って右手を叩きつける。
「圧縮1音 轟音」
限りなくピンポイントに限定された衝撃波は、肉片を地面に叩きつけると共に見えないくらいに潰した。もはや、原型どころか何も残らない状態と成り果てたそれを見据え、志龍は地面に落ちる。高さはそれなりにあるので落ちれば死は不可避。え? どうすんの?
「くっ⋯⋯音壁 16枚」
地面に落ちる前に壁を仕込む。死なない程度にコンクリートと何ら変わりない固さに叩きつけられ、思わず「ぐげぇ」と情けない声を上げてしまった。自動に1枚づつ壊れていき無事に着地できた。
右腕はもう上がらない、先程から連発しすぎた轟音の負荷で痺れている。体も音速による疲労や風邪気味、そして今のダメージでちょっとばかりスタミナ切れを起こしている。だがここまで疲労を隠せないとは思ってもいなかった。
それに『福音』も先程1回使ったせいでもうあと数時間は使えないと言う状況になっている。
危機的状況にいるがあそこまで細切れにしたのだ、流石にもう暫くは再生はしないだろう。
数秒の休憩を摂る。然し、それが仇となった。
「おやぁ? 何を呑気にしているのですか?」
──影が志龍を包む。
背後からねっとりとした声が聞こえた。
瞬間、身が吹き飛ばされた。腹に衝撃が走り自分が殴られたことを自覚した。
自分が風になる刹那、微かに見えた、そこに立っていたのは巨神兵だった。
自分の目を疑った。アダムスですらもう少しインターバルはあったはずだ。
そして目を凝らした。木々に囲まれていて光があまり指していなかったためか、気づくのが遅れた。
最悪だ、これは本当に絶望としか言いようがない。
『光の世界』、死霊達にとってのベストコンディションとなる環境が深い絶望を誘った。
(ふざけんな! ここで光の世界だと?! クソ! 図っていやがったな)
自分の攻撃が終わるタイミング、それを見計らって光の世界を発動した。
範囲魔術、死霊達の攻撃力、回復力、素早さ、魔力等の防御以外に関する全ての能力の超アップ並びに、生身の人間の能力の大幅ダウン。
志龍も例外ではなく、疲労の感じ方によって自身の肉体の弱体化を感じ取っていた。
「ぐがァ⋯⋯ぐッ!」
無理矢理体を立たせるがその足元は覚束無い。意識も朦朧とし、重力に抗えなくなった。
無防備だったのが完全にこの状況を呼んだ。志龍は己の無様さに怒りを覚えた。戦闘に於いて気を抜くなんて事を何故してしまったのだと。自分の怠惰を恨んだ。
──悪い事は二度あれば三度ある。
目の前に街があり、そこには戦っている街の住民達、そして、美穂の姿があった。
「し、志龍!」
美穂が急いで教徒を倒して志龍に近づく。そしてその傷の深さに軽く絶句した。
急いでポーチからハイポーションを取り出して口もとに運ぶ。友達の女狐から貰った劇薬、アドレナリンなどの脳内麻薬が分泌され痛みを感じなくなり一時的な超回復を産む。
「苦痛に耐えられなくなった時これを飲むがいい」
志龍は何故かよくわからないが濃い顔になって口調も変わった彼女を思い出した。
そしてさらに加えるように美穂は自らの魔力を使い回復魔術を施す。
「慈悲なる女神よかの者に恩恵を授けたまへ『ハイ・ヒール』」
女神の恩恵に例えられた超回復魔法が負傷した少年の体を癒し、意識を繋ぎ止める。
「す、すまん美穂⋯⋯」
「貸一だからね」
そう美穂は笑って言った。
──とは言え2人とももわかり切ったことではあるが、『ハイ・ヒール』はあくまで応急処置の魔術。福音とは違い内臓などを完璧に治せるとは限らない。
ヒビの入った程度の骨折や、軽度の内部損傷であれば完全治癒は可能だが、今の志龍は肋骨は砕かれ、内臓も致命的な損傷を負っていた。完全な回復など不可能な状況。なんなら生きてることが可笑しいくらい。
アダムスといい、今といい、自分の悪運の強さに苦笑いをするしか無かった。
致命傷から重症に変わっただけまだマシだ、リミットはあるとは言え、全力を出せるようになった、これは大きい。
危機的状況にも変わりがない。ここの現状把握すらできてない、志龍は急いで美穂に聞く。
「美穂、そっちはどんな感じだった?」
「見たらわかる通り、教徒達との戦闘中、副司教や、祭祀等は居ないからそんな手間がかかるのは思わないけど、この範囲魔術が厄介ね、それになんでか分からないけどあいつら倒しても倒しても直ぐに立ち上がってくるのよ」
その言葉に志龍は冷や汗をかいた。
まさかとは思った。志龍は立ち上がり一体を切り裂く。
教徒は三つに分裂し地面に倒れたが、直ぐに肉がうねうねと気味悪く動き磁石のように引っ付いた。
やはり死霊だったか。
白い世界でバフがかかった奴らをデバフまみれのこちらで相手するのは分が悪い。
「とは言え、こちらも武闘派揃い、今はまだなんとか耐えてる」
各ファミリアが各々の師匠を筆頭に戦っている。
「こら糞ガキ共! 嬢ちゃんや坊主の方が怪我してんじゃねーか! 死ぬ気で戦えや! 飯抜きにするぞコラ!」
「「「「ざっけんじやねーぞクソジジイ!! やってやらァ!」」」」
「ここは我らの聖地、鉄を打ち鋼を鍛える所、もう奪われてたまるか、いくぞ弟子共」
「「「「イエスボス!」」」」
熱気に溢れ、気迫で死霊達を圧倒している。然し、余りにも人が足りていない。ヘファイストスファミリアの姿がそこには無かった。
軽く舌打ちをする。あいつらまだ逃げてんのかと言いたくなった。
「美穂、シフォンやランは?」
「シフォンは別部隊と戦っている、ランは⋯⋯」
多分アイツらの説得にでも行っているのだろう。
だがこれ以上かまけている暇はない。
それに『怠惰』が森から四体を引き連れて出てきた。
「おや、こんな所に出てきてしまいましたか、体調はどうですか志龍さん」
「ああ、すこぶる元気だよクソったれ」
リミットは17分といったところか、俺はこの間に倒さなければ負けだろう。
それに後15分、これだけあれば勝機は見える。
「ふむ、巨神兵の一撃を受けてまだ立ち上がるとは⋯⋯流石というかアッパレですね」
「⋯⋯⋯⋯どうも」
嬉しくもない賞賛を受けて志龍は顔をしかめる。それを見て笑顔になる。
「さて、貴方達を私は少し舐めていました、まさか私の素晴らしい教徒達がここまで足止めをくらっているとは思いませんでしたよ」
手を前に差し出す、何かを握りつぶすような動作をするとドロっと教徒達が液状に変わる。一つに纏まり泥団子のような形状となる。
「私の神より受けた恩恵は『死霊作り』生前私より能力が上の者でも蘇生が可能となる、素晴らしい能力です」
不気味な笑みを浮かべる。悪い予感がする、何か、この状況が一変するような最悪の状況が。
「スキル『融合』私の場合死霊限定ですが種族関係なく、合成することができ、合成獣を作り上げることができます」
その瞬間、悪い予感が当たったと思い、志龍は叫ぶ。
「美穂!」
「分かってる! 『業火 罪を焼く炎』」
「もう、遅いです」
肉団子は炎に包まれるがその身は一片たりとも焼けてはおらず無傷であった。
「嘘⋯⋯」
美穂の弱々しい声が口から漏れる。
それは明らかに人とは言い難い異質な体をしていた。
6メートルもある身長には不釣り合いな皮と骨だけ細い見た目に、腕四本、顔を縦に裂くような大きな口、目は充血し見開かれ、猫背で手をブラブラとさせていた。
なんだ、こいつは。明らかにアダムスとは違う、出来損ないの人造人間のようなイメージを与えてくる。
その目が近くにいた一人を捉える。
「ビュッ」
風を切るような音と共に真っ赤な液体が志龍の顔を掠めた。
下半身が思い出したかのように血飛沫を上げる。上の部位はミンチにされ辺りに赤黒く飛び散っている。
それをやつはケタケタと笑い声を上げながら食べていた。
「ひィ⋯⋯」
他の団員はその場で腰を抜かした。志龍や美穂もその姿を見て戦慄した。
ここに来てこんなやつとやるのか。そう思うと震えが止まらなかった。
GUGクトゥルフ神話のそれによく似た存在だった。
不気味な目がまた違う集団を捉える。
「ヒギャァァァァァァァァァ」
一目散に走り去る。全力で逃げ惑うその姿に彼は手を叩いて笑い、その見た目からは考えられない速度で彼等の前に回り込んだ。
地面に座り込みもうダメだと諦め嘆き泣きわめく者で溢れかえるのを見て満足げな表情をしてゆっくりと手を振り上げる。
「一閃 抜刀術『抜打先之先』」
閃光のような居合切りがガグを三つの部位に分ける。この太刀を俺は見た事がある。
「よお、俺の復活だ」
「よく来てくれた、いらぬ心配をするけど具合はどうだ?」
「絶好調」
──そいつは良かったと。小さい声で呟く。状況が、光の兆しが見えてきた。
ここで一切の傷や疲れがないハルが来てくれた事は本当にでかい。
そして、運が悪かった分のツケがようやく支払われて来た。
「ちょっと遅かったかニャ?」
その先頭には彼女が立っていた。不敵な笑みとともに世紀末伝説の様な見た目のヘファイストスファミリアの野郎共1000人を連れて援軍にやって来た。
────無理だ。少女は何度も何度も諦めていた。あの事件以来、自分の居場所が無くなったような感覚がした。
師匠に拾ってもらった日、雨の冷たい日だった。親に捨てられ行き着くあてもなくその日暮らしの生活を森の中でしていたがそれも限界にきていた。
──目の前がかすみ、身体がだんだん痺れて動きが鈍くなっていくのが分かった。呼吸も浅くなり、心臓の音も弱々しくなるのをスローモーションで感じていた。
嗚呼死ぬのだとそう悟り、彼女の頬から涙が流れた。
何も無い、ただ弱い命が朽ち果てるのだとそう思っていた。
「何諦めてんだ嬢ちゃん」
誰かが手を差し伸べてくれるのがわかった。
──次に目を覚ました時、彼女はベットの上にいた。彼女自身、何の上に自分がいるのかが分からなかった。ただ、気持ちがよくて幾らでも寝れそうな所にいるのだと思ってまた目を閉じようとすると。
「ほら! 起きんかい!」
「ギニャァァァァァ!!!」
目の前で大声を発せられベットの上で飛び跳ねてしまった。壁側に寄り布団を盾にしてガタガタと子猫のように震えていた。
それを見て笑っている女性がいた。
「アッハッハ! すまんね! 二度寝をしようとしてたから起こしてみたんだよ」
ポカーンとなっているランを横目に話を続ける。
「いやー、森に散歩してたらこんなガキが死にかけてるんだビックリしたよ、ほら元気か?」
そうか、私は生き残ったんだ。そう思うとなんだか複雑な気持ちになった。
差し出された手を恐る恐る掴むと掴み返されそのままわけも分からず食堂に連れていかされた。
ランは美味しそうな料理の匂いがたちこめていて腹を思いっきり鳴らすが──そうか、自分は料理にされると思い涙目になりながら女性に懇願する。
「み、ミャーは食べても美味しくないぞ」
彼女の目が丸くなりその後に堪えきれなくなったのか思いっきり笑った。地面に倒れ込み腹を抱えてのたうち回りながら大笑いしていた。
「そんな訳ないだろ、お前面白いな」
何故かよくわからないがランは不機嫌になった。
「ん? ヘファイストスさん、また拾ってきたんですか?」
オークの男が少女を指さしてヘファイストスに聞く。
彼女は不機嫌そうな少女のの頭をポンポンと叩く。
「そうさ野郎共、今日から入る新人だ」
そう言うとゾロゾロと他の人達をも集まってきてランをジロジロと見る。
「へぇ、ガキっすかー」
「雑用足りてなかったし丁度良かったんじゃないっすかー」
「でも、大丈夫っすか? 今月も赤字っすよー」
最後の一言でヘファイストスの顔が歪む。
「だ、大丈夫さいつか売れるようになるから」
「そのいつかがいつになるんすかねぇー」
男達がそう笑うと顔を赤くした彼女は「てめぇら今月の給料はないと思えよ」と怒鳴り、それでまた一悶着する。
そうこうしているのをランはあっけらかんに見ていると一人の大男が近づいてきた。
「嬢ちゃん、どこ出身だ?」
「⋯⋯フロッグ」
そう言うと辺りは一瞬静まり返った。ある者は少し顔を青ざめて、ある者は「まじかよ⋯⋯」と言葉を漏らす。
──フロッグ。通称『光無き雨の街』と呼ばれるスラム街だ。人が最終行き着く先と呼ばれていて『闇の街』や『終わりの街』とも呼ばれている。
──やはりだ。ランは歯噛みした。どこの街でも少女が倒れたら助けてはくれた、然し、皆出身地を聞くと同じような反応をして追い出す。
(汚らしい) (出ていけ) (おっかねぇー) (来んなスラムの人間が)
罵声に時には暴力を加えられたこともあった。
その度にランは人間不信になり、全てを信じられなくなっていった。
──どうせ今回も捨てられるんだ。ご飯が貰えたら儲けものだろう。そう考えて拳を握りしめ肩を震わす。だが待ち受けていたのは予想外の反応だった。
「なんだ、フロッグか」
「よく逃げてこられたな、おいケルン! 嬢ちゃんから逃げ方教えて貰えよ!」
「うるせえ! ほっとけや! ⋯⋯嬢ちゃーん後で飯奢るから教えてくれよ」
「聞くんかい!」
と、笑っていた。その光景に驚きを隠せなかった。ランは慌ててヘファイストスの元に駆け込む。
「にゃ、にゃんで驚かにゃいにゃ?!」
「ん? 別に普通だからだよ」
「え?」
「ここはならず者達の集まり、どんな奴でも俺の元に来たら平等に家族だ。別に出身地でどうたらこうたら起こすわけないよ」
ランを抱っこして椅子に座らせる。目の前にパンとシチュが置かれた。
「ほら、温かいうちに食いな」
差し出された料理の味は今でもランに焼き付いている。決して最高の料理とは言えない。でもこれにはどんな料理にも勝る温かさがあった。
ランの目から涙が落ちた。一粒、二粒、段々前が見えなくなっていった。こんな料理は初めてだったからだ。
俯いて大声で泣くランの頭を彼女は撫でた。
「安心しな、お前はもう独りじゃないよ」
先程とは違う柔らかく優しい声が一層彼女の涙腺を緩めた。
そう言って彼女は言った。
『ようこそゴロツキの集会へ』
初めてだった誰かに手を差し伸べてもらったのが。初めてだった一人じゃないと教えて貰えたのが。初めてだったこんなに嬉しいと思ったのが。
彼女の心を揺さぶり生きるきっかけを与えてくれた。
この街が好きだ、このファミリアが好きだ。自分に居場所を与えてくれ、自分に生きる意味を与えてくれた。
あの事件があった。それでファミリアが崩れた。それでもまだ繋ぎ止めるんだ、まだ大丈夫だ。そう思った。
──だから、もうあの場所を失うのは嫌だ。この街を師匠の残したこのファミリアを失うのは嫌だ!
目の前に呼び寄せた6000人程の奴らは各々に顔が曇っていた。男らしくない、小声で「終わったろこの街も」や「早く逃げてぇな」等と言っている。
ランは腹が立ったので思いっきり息を吸った。
「聞けカス共! いつまで逃げんだ! てめぇら存在意義ねえぞ!」
いきなりの入りに全員が驚いた。
「師匠が居なくなってからなんだお前ら? 舐めてんの? 何もせずぐうたらして、ギャンブル三昧! ⋯⋯あ、これはにゃーも人のこと言えにゃいな」
まあそんなことはどうでもいいと。
「うちらは全員師匠に拾われてきた、皆あの人のことが好きだった。だからこそ、あの日、皆心が折れた、ミャーも同じにゃ⋯⋯でも、立ちあがなくちゃいけないにゃ! ここでまた逃げてたら師匠に! ヘファイストスに合わせる顔が無いにゃ!」
自分の思いをぶちまく。長く皆に思っていた事を話した。
「やろうにゃ、ここでやらなきゃいつやるにゃ」
静寂が走る。やはり無理だったか、ランは歯噛みした。ここまで言っても無理とは思わなかった。それほどまで彼等はプライドが傷ついていたのだ。
仕方が無い、ランは諦めて自分一人で向かおうとした。
「俺は行くぞ」
後ろで大男が剣を持って立ち上がっていた。ガンがランの隣に並ぶ。
「いつまでガキの言い訳してんだよお前ら、逃げて逃げて、行き着いた果てが師匠が望んだ未来だったか?」
「情けねぇ」そう漏らして全員を睨んだ。
「これ以上下がってどうするんだ! もう無理だ? やってもねえのにんな事言ってんじゃねーよ!」
ガンが前にあった木の机を殴り壊す。破片が手に刺さり生々しく皮膚が捲り上がり血が滲んでいた。
ランにはこれが弱さへの決別に見えた。
「俺は前を行く、このまま変わらねぇ未来が待ってんだったら、俺には要らねぇ! それにそれは師匠が嫌ってた事だろ!」
──変わらねえ物に価値は無い、時代は移り変わり、物は変化してこそ価値があるんだ。
生前、彼女がいつも言ってたことだ。
その言葉を皮切りに皆の顔が上がる、やってやると、目が変わった。ランは少し笑った。そして手を振り上げる。
「いこうぜならず者共! 合言葉は?」
『ようこそゴロツキの集会へ』




