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第1章 第6話 水龍都市編「最強にして最悪の剣士」

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感想もどんどんお待ちしております

 ──ハル&プレア──


「2人でいよう」


 俺はプレアと誓った、プレアが明日死ぬのなら俺も明日死ぬ、プレアが生きるのなら俺も生きる、そう決めた。



 魔道石の調査が任務だと聞いた時俺は少しガッカリした、理由は戦いたいそれだけだった調査の任務ではあまり戦いなんてないからすぐ終わるから観光を楽しめるけど俺としては戦いを楽しみたかったというのが本音だ。

 志龍から謎の人物と出会ったと聞いた時は興味を持ったし期待もした。

 だが今回は少しばかり真剣に戦わないと行けなくなった⋯⋯あーあ、めんどくせえだるいなー

 でも、どんな戦いをしてくれるのかなワクワクするね!



 調査団俺達は3班に入った、4班と共に1、2班とは逆の方から調査しに行く感じだ。

 正直よく分からないのでそこは身を流れに任すという感覚でうん!いこう!

 志龍からいつも通り説明が入って要は魔法石の調査をしろってことなんだとやっと分かった。


「プレアー分かったかー?」


「うーんわかんないのですー」


 美穂と志龍は苦笑いを浮かべていた。


 そして作戦が決行された、馬を使ってそのポイントと言うべき所まで行く、ここから一番近いところまでは5分はかかる。


「ハルー」


「ん? どうかしたか?」


 プレアが話しかけてきた


「この森おかしいのですよー」


「何でだ?」


「だって森の中に全くをもって生物が感知出来ないのですよー」


 森の中の生物を感知できない、感知系魔法はプレアの得意分野で森の中に生物がいるかどうかなんてすぐに分かる。


「それは少しおかしいな」


「おかしいのですよー、もしかしたら少しばかり面倒なことになるかもしれないのですー」


「少しばかり面倒なことねー」


 それに関しては俺は期待を隠せないといえば隠せない、戦いをしたいそう望んでいるからだ。


 そんなことを話していると第1のポイントに着いた、魔法石があるはずだったポイントに着いた。

 そこには何も無かった、次のポイントにも、その次にも⋯⋯5個目くらいだろう流石の俺でもおかしいと思った、


「なあプレア、おかしいよな」


「うんこれは少しばかりおかしいのですよ」


 少しいつもの口調と変わった、だが団員の誰も何も言わない、これも俺はおかしいと思っている、そして嫌な予感がする。


「ん?」


 前に人がいる、その人が右手を上にあげて指を鳴らし


「作戦開始だ」


 するとどうだろう、さっきまで前や横、後ろにいた兵士達が俺とプレアを囲んだ、団員の奴らは数百人だ、結構大きめの円が出来た。

 中心にさっき手を挙げた身長160cm位の細身の小柄な少年と言えるくらいの男が来て、一礼をして


「こんにちは、私の名前は黒魔道教司祭、強欲担当のシザース・アニマです以後お見知りおきを」


「んでその司祭さんが何か用かい」


「ああ、用というのは貴方達に死んでもらいたいそれだけなんですよ」


「うーわなんという理不尽、それは泣くねー」


「そうですか理不尽ですか、そうかもしれませんねいやでも神のお告げなら仕方の無い、まさに運命なのかもしれませんよ、そう思えばこの死は必然と呼べるのではないでしょうか? いえ呼べますとも」


「あんた今無茶苦茶な理論言ってるぜ、自分の感性を人に押し付けようとするのやっぱりあんた強欲だね」


「私が強欲、ええそうですとも、人に感性を押し付けるなんて強欲な行為、でもそれはそれとして私に合ってますからね」


 笑いながらそう返された、やっぱり狂人の塊だ、周りもこの異常な光景になんとも思ってなく人形のように突っ立っている、


「んで俺を殺すんだっけ」


「正確には御二方ですが」


「ならひとつ言わせてもらうね」


「はて何でしょう?」


「やれるもんならやってみろよ!」


 笑いながら俺は言ってやった


「プレア半分は任せるぞ」


「いいよー、今のハルかっこよかったー」


「う、うるせ! いいか任せたぞ」


 少し顔が赤くなった、プレアはうふふと笑っていた。


 深呼吸をした、目の前には200人位いる、みんな剣を持っている⋯⋯いいね! いいねいいねいいね!


「じゃあ始めようか、さて、お前らは今まで戦った奴らの中で何番目に強いのかな?! 楽しませてくれよ!」


 剣を持って200を超える人達が一気にかかってきた、俺は刀をとり楽しい戦いの幕が開けた。


 ────桐太刀春斗対黒魔道教徒200人────



 黒刀、黒く光る刃を持つ刀の総称だ、基本的に黒刀は通常の刀より切れ味がよく、扱いが難しいが、使いこなせればその持ち主に合わせた最強の刀になると言われている。

 その中でも桐太刀春斗が持つ黒刀、別名妖刀叢雲剣(むらくものつるぎ)は禁じ手とも呼ばれるチートに近い刀だ、黒を纏うことが出来る刀、こう言われており実際黒を纏う、黒とは系統の闇のことを指す。

 主に闇は攻撃封じなどサポートのような魔法が多い、そして闇は何でも飲み込む、光であれども何でも飲み込む、黒を纏った叢雲剣の力はあまり見たことが無いが志龍はこう言っていた


「あれは剣士として根本的なレベルが違う、ハルは剣士として最強ではあるけど最悪でもある」


 こう評していた、何故か答えは彼にとって武士道は楽しさでありそれ以上もそれ以下もない、相手を労るとか相手に敬意を表すとかそんなことは一切を持ってしない、あるのはただ一つ楽しませてほしいこれだけだ。

 これは彼の最大の特徴であり剣士として最悪の部分でもある。



 右から18人、左から16人、後ろから13人、いいね!


「ハハッ!いいねいいね! 多方向から攻める攻撃実に理にかなってる! でもね」


 右から来る敵を切り倒し、次に後ろから来ていた敵の逆に後ろに行き背後から切り、残る左の敵も切り倒した、これで103人、


「これじゃ俺は倒せないよ、もっと速く、もっと強く、こうじゃないと俺には勝てないよ」


 そう言っていると背後から斬りかかってくる気配がある、


「⋯⋯!」


「よく気づいたってか? そんなの分かるさ! てかさっきの奴らよりはやりそうだねうん! 面白い受けて立つよ」


「その剣が残ってたらね」


 男はやっと気づいた、自分の剣がいつも間にか無くなっていることに今やっと気づいた。


「剣食い、黒を纏ったこの刀の能力さ、まあ具体的には闇系統の魔法の掛け合わせの様な感じだよ」


 これで104人、さてプレアの方は大丈夫だろうか⋯⋯


「あーやっぱ心配いらなかったか」


 彼女を取り囲む200程の人達は逆に彼女が持つ1000を超える武器に囲まれている、


「うふふ、私を倒そうなんて100万年早いですわ、私を倒したくば億を超える神の武器でも持ってくるのですよー」


 と言い、1000を超える武器が彼らを襲う、逃げようとしても着いて来て剣や斧、槍などに串刺しにされる。

 彼女は加護を授かっていない、この能力がなんなのか、それは俺であっても教えてくれない、まだいい、いつか教えてくれれば俺はそれでいい。


「1を極めた武器と数を極めた武器ね、どっちが強いんだろな、また戦ってみたいな」


 と言っているとまた敵がかかってきたので


「いいぜ、少しばかり今俺はボルテージが上がってんだよ、退屈させないでくれよ! そんでもって楽しませてくれよ!」


 だが結果は同じだ、退屈だった、久々の戦いと言えども所詮はこの程度だと身にしみて感じた。400余りいた敵は10分も経たないうちに全員壊滅した、敵は残るは大将のみ、正直こいつが1番楽しみではあるがでも1番危険を感じている


「さーてお前の可愛い部下達はいなくなった、次はお前だ」


「そうなのですよー、でも1人で私達2人でを倒そうなんて考えないことですよー」


「クックク」


 不気味に笑った、何故かは分からない


「なんで笑ってるのです?」


 プレアが聞くと


「いやー実に面白い、私の部下は確かに貴方達に殺された、でも私はあの部下達だけとは一言も言っていませんよ」


 そこで俺は気がついた、森の生物がいないということをそして悟った、これは一番面倒なことだと


「さてここからが本番と言っても過言では無いですよ」


 そう言うと指を鳴らした、どこからとも無く森の生物達が、てかこれは違う森の生物もいる! 数が尋常じゃない、約1万、大規模な森の兵士達が俺達を倒そうと今か今かと待っている。


「『道化の加護』これが私の加護です、森の動物達は私の操り人形となったのです、実に面白いでしょう」


 勝ったような顔をしていた、実際とても面倒臭い、だって2対1万とかちょっと数の差がありすぎじゃね


「数の暴力ねー⋯⋯」


「こりゃーちーと骨が折れそうだな」


「うわーきつそうなのですよー」


 笑いながら2人は言う、そして


「「まあ俺(私)の邪魔をするんだったら覚悟は出来てんだろうな」」


 森の空気が一瞬にして凍りついた、2人の発する殺気は今までやる気で満ちていた森の生物も我を取り戻す、まるで動かす者がいない人形のようにただそこに立っているだけになってしまった。


「んじゃ始める?」


「ええ、始めましょうか」


「半分は任せてなのですよー、ハルは残りの半分と大将を頼むのですよー」


 第2回戦が今、ここで始まる。


 ──ハル&プレア対黒魔道教司祭シザース・アニマ──


 プレア、彼女はある小国の王家に産まれてきた、小さい頃からおっちょこちょいで天然、どこか王族では無く庶民感を持っていた、みんなに好かれており国を任すと言われたらうーんとはなるが親しみやすさを持っていた。

 だがそんな彼女にも王家の血が流れている、彼女はある特性を持っていた、『武器の貯蔵』、彼女が持つ加護では無いが特殊なスキルだ、彼女は体の中に武器を貯蔵することができる、それによって彼女の生活に異変が起こるといったらそういう訳では無い。

 武器とはどんな武器でも彼女は持つことが出来る。

 自分で造り上げた武器。

 普通の武器。

 数々の英雄が使ってきた武器。

 神が造った武器の複製。

 神が造り上げた武器。

 彼女は数々の武器を持っている。

 その総数、145286342個だ。

 その中には神が造り上げた武器もあり、彼女はそれを扱うことが出来る。

 まさに王家の血、神の子とも言われていた。

 だが、彼女を危険視する奴らも段々出てきた、そいつらは闇討ち、暗殺、色々プレアに仕掛けてきた、でも全員殺された。当然だろう、一の武器を持つ人間やエルフか億を超える武器を持つ彼女、どちらが強いかそれは歴然としているだろう。

 それにより彼女は1人になった、孤独になった家族からもあれだけ親しみを持っていた民からも怖がられ、自分自身も彼女は怖くなった。

 でもその彼女に光を与えたのは一人の少年だった、少年はいつも怪我をしていてずっと刀を持っていた。


「なんで私といるのです?」


 素朴な疑問をした、彼は「うーん」と言ってから


「そんなの簡単だよ楽しいからさ!」


 今思えばこの頃からハルはプレアに惚れていたのだろう、一目惚れ、ハルはおっちょこちょいな彼女に一目惚れをしたのだ、それはまたプレアも同じだった。


「この国から出よう」


 国自体が彼女を狙い始めている、ハルはそれを感じていた、彼女に死んで欲しくないハルの思いでプレアとハルは国を出た。

 近隣の国々で細々とバイトなどをして資金を貯めてある一つの決断をした。


「2人でいよう」


「俺達は2人で君が俺を信じないのならここでどこかに行ってもいい、でも俺は君といたい、この第2の世界では危険だ、第1の世界に逃げよう」


 そう言ってくれた、プレアは怖かった、また裏切られたらどうしよう、そんな気持ちでいっぱいだった、でもハルの言葉を聞いて悟った。


「この人ならずっと信用してもいいと」


 決断は早かった


「ハルと一緒にいるのですよ、私にはハルが必要なのですから」


 2人は笑いながら泣いていた、これは2人で生きるこういう嬉しさのようなものもあれば故郷を捨てる悲しさも混ざった涙なのだろう。

 二人の旅立ちを祝福しているのかその日差しは2人を優しく包み込んでいた。


 俺は決めたプレアと生きると。

 プレアが明日死ぬのなら俺も明日死ぬ。

 プレア明日を生きるなら俺も生きる。

 2人で生きる、俺達はどちらかが欠けるともう一方も欠ける。

 支え合いながらお互い寄り添いあっているそういう生き方をしているんだ。

 だから⋯⋯


「だから負けたくねーんだよ、欠けたくないから、プレアとまだ生きたいからそーゆー理由があるから負けられないんだよ」


 昔は自分のために振っていた刀も今は2人のため、こう変わっていった。

 俺は刀に黒を纏わす、大切な(プレア)のために。

 プレアは無数の武器を取り出す、信頼できる(ハル)のために。

 2人は笑っている色々思うこともあるが2人が共通して思っていることは


「ハル(プレア)は負けない」


 信頼しあっている、お互い寄り添いあいながら支えあっている、そして信頼しあっている。

 長く一緒にいて苦しいことも楽しいことも分かちあってきた、でも楽しいことはとても少なかった苦しいことばかりだった、だからこそこの2人の絆は固く強いものだ。


「プレア任せたぜ」


「任されたのですよー、そしてハルも任したのですよー」


 静かに2人で手を合わせる、隣にはこの世で一番信頼している人がいる、とても心強い。


「茶番は終わりましたか?」


「おっと、待たせていたな悪い悪い、終わったぜ」


「では始めましょうか」


「いいぜ」


「いいのですよー」


 第2戦が開幕した。


 確かに猛獣は強い、個体だけなら魔法なしでは人間なんて太刀打ち出来ない部類に入るだろう。

 数分間動きを見ていたテンポもリズムもワンパターンで隙を見つけるのも簡単だった。

 俺は逃げた、そうすると大軍が襲いかかってくる、来る瞬間に一瞬だけ止まることがある、そこだ。


「確かに猛獣は俺達人間は太刀打ち出来ないだろう」


「でもなこちとら武器と魔法があるんだよ! さあ楽しませてくれよ!」


 次々に俺は切っていく、全員切れたそう思ったら最後の1匹だけ攻撃を避けた、あれはフェイントだったのように。


「僕のペットだ、これ位は教えればできるよ」


 あいつはそういい笑っていた、


「さてさっき君は人間は猛獣には太刀打ち出来ないと言ったね」


「⋯⋯ああ、」


「実にその通りだ、人間は所詮は猿だ太刀打ちなんて出来るわけがない、でも人間は小賢しい知恵と武器を手にして猛獣達に勝っている」


 その通りだ、人間に知恵と武器がなかったらすぐに絶滅危惧種に認定されていただろう。


「ではその獰猛な猛獣に知恵と魔法という武器を与えてみたらどうだろう?」


 笑いながら言っていた、意味が⋯⋯まさか!


「ではここからが本番だと思ってくださいよ、全く、人間は本当に使えない⋯⋯だから僕は動物が好きなんだよ」


 淡々と呟く、


「人間は能動的に動く、僕はそんな生物は要らないんだよ! ただ単に僕の命令を聞いてそれをこなしてくれる受動的な生物が欲しいんだよ! だから、だから動物は好きなんだ、言うことだけを聞いて使えなくなったらすぐ殺してでもしまえばいいし、すぐ増えてくれるからストックもしやすいんだよ」


 ⋯⋯こいつが何故強欲なのかその理由がよく分かった。

 そしてこいつは俺が最も嫌うタイプの人間だ


「あー何なら言うのも嫌なんだけど一言だけ言わせてもらうわ」


「俺、お前が嫌いだ、だからもう楽しまない、お前を殺す、それだけでいいわ」


 動物達が一斉に身震いした、今ここにはどす黒い、ただ単に殺すという純度の高い殺気で包まれている。


「⋯⋯やってみろよ」


「ん?」


「嫌いとかそういう感情を僕にぶつけないでくれよ、やってみろよ、僕が嫌いなんだろ、今のことを聞いて僕もお前が嫌いになった、何でだよ、なんでみんな僕を嫌うのさ! だから嫌いなんだよ頭のいい生物は!みんな自分の考えを持っている! みんな違ってみんないい? ふざけた考えだね! 違わなくていい、そもそも一つ生きるというレールが引かれている中で何でみんな違うところにレールを引こうとするかな? 僕には理解し難いよ、だから僕はありのままの1本のレールにこの動物達を導いたのさ、これは強欲とかそんなの関係ない、ただありのままに戻してあげた、素晴らしい事をしただけなんだよ、でも人間はそれを評価しない、当然だ、能動的に動く生物が受動的に動く生物を同じ生物として見ていないからだ、実にくだらないね、別に受動的でいいじゃないか、そっちの方が効率がいいし世界が回る、僕はそう考えるね、別に僕はどうでもよかったんだよ最初は、でも1人が否定をしたらそれ以外も否定する、こんな頭を持ったクソ猿共が嫌いになったんだよ、だから僕は動物を使ってるんだ! 一つのことをやってくれる、何も考えずに何も感情を持たずに、ロボットのように淡々とこなしてくれる、これが僕の望んだ世界だ、だからそこに君は必要ない、だから僕は君が嫌いでそして殺す、何があっても殺してやる、僕に歯向かった事を後悔させてやるよ」


 長々と喋り、ずっとこちらを睨んでいる、殺気が目から伝わってくる、一本道のレールの様に目的が明確になってそれを達成しようとしているそんな雰囲気を感じる。

 でも俺が言いたいことはもう一つある、それは⋯⋯


「人に感情を押し付けるなって言って君は押し付けてるじゃないですかー」


 いきなりプレアが口を開いた、そしてそれは俺が思っていたことと同じ事だ、ありのままに感情をぶつけられて正直理不尽に感じてしまった所もある。

 さっきまで睨んでいたのをプレアに移して


「なんだと⋯⋯」


「言った通りなのですよー、君がハルと私らに感情を押し付けれるのですよー」


「ふざけるな! 何が押し付けるなだ! 図に乗るなよエルフが!」


「ほら今もですよー、言ってることが矛盾しているのですよーそれじゃ」


「うるさい!」


 プレアが話しているところに大声で叫び


「何なんだよ⋯⋯何なんだよ!」


 怒りのぶつけどころがなく、ただ理不尽に周りにぶちまけている、まるで子供のように頭を抱え怒号を上げながら喚いている


「許さない! 許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない」


 背筋が少し凍りついた、明確であった目的が霧の中に隠れたかのように消えてなくなり、殺す、自分に害のある者を全て殺してやる、そんな子供のように理不尽な殺意に変わっている。


「もう話はいい、殺してやる、絶対に! 屍にして骨身残さず殺してやる!」


 血走った目がその俺たちに対する怒りがどれだけのものかを物語っている。

 少しばかりやばいかもしれない、そう思っていた。

 するとプレアが手を繋いで


「私、あの子煽りすぎちゃったかなー?」


 笑いながらこちらの顔をのぞき込むようにして見ていた、それを見て俺も少し笑い


「ああ、そうかもなー、まあいいんじゃね」


 そ言うと本格的にプレアが笑い出した


「おいおいそんなに笑うことかー?」


「うんそうだよー、だってハル面白いもん」


 よしこれ終わったらお笑い芸人目指そ。


「まあでもいいか、プレアがいいんだしな」


「そうなのですよー」


「でも俺はあいつは許せない、動物を物としか思ってないし、何より、プレアに対していきなりエルフと言ったことマジで許せねぇ」


 プレアはエルフと言われるのがそこまで好きではない、実際、エルフ自体があまりエルフと呼ばれるのを好んでいないそういうこともあるからだろう。

 そう言うとプレアは少し「ふふふ」と笑って


「ありがとなのですよー、でも心配ばっかされるとそれもそれで嫌なのですがー」


「でも嬉しいのですよー」


「そっか、ならいいな」


「んじゃ初めよっか」


「そうなのですよー」


「ああ始めましょう、殺戮ショーを!」


 3人の声と猛獣達の声が森に響く、それと同時に最終戦が始まる。

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