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第1章 第5話 水龍都市編 怠惰の切り札と戦う意志

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 火の槍で体を貫かれた、体は燃えるように熱かった、いや、実際燃えているのだから、熱い、貫通し、体の中で、槍が何度も爆発する、内蔵は焼け、体は髪の毛1本足りとも残らない、そんなくらいになるだろう。


 良かった、これが火で。


「もう死んだだろう、あーあ油断ってあまりにも馬鹿らしいな、そして実に怠惰だな。さて、ではあっちを片付けに行こうか」


 笑いながらそう言っていた。

 男は向こうの戦場に足を運ぼうとした、が、その歩みは止まった。


「⋯⋯⋯何で? 何で生きてるんだ!」


 男は驚いていた、それはそうだろう、さっき死んだはずの者が無傷で、目の前に立っているのだから。


「良かった、墓穴を掘ったねあなた」


「なんで生きているんだ! あの火に焼かれたはずだろう!」


「確かに焼かれたよ、常人なら死んでいたでしょう、常人ならね」


「なら貴様が常人じゃないとでも言うのか?! 何だアイルビーバックとでも言って溶岩に浸かって帰ってくるのか?!」


「いやいやそこまで狂った人間、いやむしろそれ人間じゃないでしょ!」


 私はそんな奴じゃない、答えはもっとシンプルで簡単だ。


「簡単よ、加護の力よ」


「か⋯⋯加護だと? 一体何なんだそのか⋯⋯まさか聞いたことあるぞそれに似た加護を」


「そのまさかよ、私の加護の名は『炎王の加護』。

 全ての物理魔法問わず火に関係する攻撃は私には通用しない、そして火に関する魔力、力を火の攻撃をくらったぶんだけ自分の力とすることが出来る」」


 かつて炎王と呼ばれた男が使っていたことからこの名が付けられた、火に関する最強の神の恩恵だ。


「ば⋯⋯馬鹿な、馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な! 何故このようなことになった何でだ何でなんだ!」


「簡単さ、あんたは自分では戦わずただ見ているだけ、何もしない怠惰だったってことさ」


「っ! クソがこの野郎ふざけるなよ! いけ人造人間、こいつを殺してしまえ!」


「いやもう準備はばっちりだよ」


 地面に大きな魔法陣ができる、魔力は充分溜まった、ゆっくりと最後の詠唱を唱えた。


「終焉よ、終わりなき世界に終わりを、全てを包み火として帰り、火として新たに作り直す、我、天をも焼く煉獄なり、我、地獄をも焼く煉獄なり、地としてあらず、天としてあらず、我火を司る現界の王なり

『終焉の煉獄(パーガートリーエンド)』」


 パーガートリーエンド、その火は全てを燃やし、天までも届くくらいに燃え上がり、地をやき、地に降り立つ者を焼く超広範囲の超火力攻撃。

 終わりの炎が人造人間とアシレルを包む。


「ウゴァァァァ!」


「ウゴァァ!」


「ウゴァ⋯⋯」


「ギャァァァァァァァァァァ!熱い熱い、誰か助けてたす⋯⋯け⋯⋯て⋯⋯⋯」


 断末魔を上げ、その身を焼かれ黒く焦げ、もとが誰だったか分からないくらいになった。


「じゃあね、あんたの敗因は言った通りよほんとに全くもう怠惰だったわね」


 黒焦げになった元がもう人間かどうかを疑う死体を見て私はそう言いその場を去ろうとした。


「⋯⋯⋯まさかここまで⋯⋯やって⋯⋯くれ⋯⋯るとは思わなかったね⋯⋯⋯」


 枯れた、もう声とは言い難い声が後ろからした。

 後ろを向いた、そこには人とは思えないおぞましいものがそこにはいた、片腕は取れておりもう片方の腕も炭になっていて今にも取れそうだ、片方の目はなく、いや左の顔半分が無く、辛うじて残っていた右の顔も皮膚はなく筋肉が丸見えの状態だった、⋯⋯まて、さっきまで顔も全て炭になっていたはずだ、何故?


「私の顔に何故肉が付いているか、そう疑問そうだね、簡単さ『再生の加護』実に安直で、怠惰な名前だ」


 っ!再生の加護、死ぬような傷や火傷などでも回復し、体にない部分をすぐに再生する厄介な加護だ、最後の最後の最後に油断した!どうすれば⋯⋯。


「とはいえ⋯⋯再生の加護でももうこの傷は再生が追いつかない⋯⋯厄介なことをしてくれたなぁ! まあいい」


 魂を閉じ込めている鳥籠をだした。


「俺は長年この鳥籠を使い魂を閉じ込め俺の物として使ってきた、でもそれと同時にある研究もしていたんだ」


「ある⋯⋯研究?」


「そう研究さ! 僕には成果が欲しかった! 力が欲しかった! あの司教も超えるくらいの力が欲しかったんだ! そして出来上がったんだよ!」


 空間転移魔術であるものを呼び出した、それはおぞましく恐怖すら覚えた、顔が青ざめる感覚がした。


「どうだこれが研究の成果だ、魂を使い違う生物としてその魂を使うんだよ! 素晴らしいだろ! あぁなんて素晴らしいんだ!」


 魂はそれに吸い込まれるようにいや吸い込まれていった。


「っ!やっぱり死にかけても外道は外道ね、人の魂をこんなふうに使って!」


「あぁ、そうさ俺は外道だとも、でもそれがどうした? 分かりきっていることを伝えてもそれとでしか意味はなさない、つまりお前が言っているのは無駄であり怠惰なんだよ」


 狂人は笑いながらそう言った、そしてそれはある一つの生物の形になっていた、骨だけの一つの身もないトカゲのような体に恐竜のような顔ではあるが顔にもいや全身全てが骨であり、口からは青白くまるで飲み込んでいった魂のようにも見える炎がみえてい、長い尻尾に、二つの翼を持っていた。

 そうドラゴンだ。


「⋯⋯これが研究の成果⋯⋯⋯⋯」


 絶句した、相手は体長30mもあるくらいのドラゴンだ、神話にも出てくる最強の生物で気性は荒く凄まじい破壊力の火を持っていたと言われている。


「ああ、そうさそうだとも! これが研究の成果だ! 素晴らしいだろう! ただもう一つ問題があってね、それが無かったら一発目からこいつを使ってたんだがな」


「⋯⋯問題?」


「そう問題さ、このドラゴンは作り上げたものだ、人の魂を喰らい生まれる最強の生物だ、だがどんな作品にも製作者の名が必要だ、そしてこいつもそれが必要なんだ」


「製作者の魂としてな」


「こいつは俺の魂を入れて初めて起動する、喰われた魂はもう二度と戻らない、だがこいつの強さは司教にも勝る位の強さがある、まさに捨て身の特攻だ」


 捨て身の特攻、そう言い奴は自分の胸から青白い光を放った魂をだした。


「さあ始めようか、第2ラウンドにして最終ラウンドを!」


「破滅の龍よここに復活しろ、かつて世界を破壊し天にいる神をも喰らい邪竜と恐れられ神々にも畏怖をもたらした災悪の龍よ、我復活を手伝うものなり、我この龍に命を捧げるものなり、そして我、邪竜イーベルゲンセルの復活を心より祝福するものなり」


 魂が骨だけの龍の元に行き吸い込まれた。

 龍の体に異変が起きた、骨だけの体だったのが肉がつき、鱗に覆われて本来のドラゴンになり、まるで生前に戻ったかのようになった、いやこれは生前に戻っている。


 神々を畏怖させ、全てを天を裂き、地を割り、最後は数々の英雄により殺された、だがその英雄のほとんどを喰らい殺したとされている。

 神も認めた、破壊神邪竜イーベルゲンセル、その黒い体が自分とはどれだけ力の差があるかを物語っていた。



 ────────────────────────


「いやーね、両親を殺されて、知ってる? この子達親戚からも見放されたみたいよかわいそー」


「それ知ってるわ、なんかね疫病神だとか言われて引き取らないって言われたらしいのよね、いやーね良かったわ私じゃなくて」


「ほんとそれよね良かったわほんとに」


 無責任な話し声が聞こえる、疫病神、そうなんだろう私は疫病神なんだろう。

 両親は殺され親戚にも見放され周りの人からの視線も昔とは変わっている。

 口々では可哀想とか言っている、みんな無責任だ、自分がそんなことになったらどうするんだ、そんなことを思っても所詮はタラレバ、イフの話だ、両親の死らそれは明確な過去であり運命的にもこの死は必然だったのかは分からない。


 親戚から絶縁状を叩きつけられた時はもう何が何だか分からなくなり頭が真っ白になった。

 志龍も隣で死んだ目をしていた、きっと志龍も頭の整理が出来なく真っ白になっていたのだろう。

 なんにも⋯⋯もうなんにも信用が出来ない、唯一信用していたのはいつでも寄り添ってくれている志龍だけだ、そのうち私は両親ですら信じられなくなってしまうんじゃないかそう考えると怖くなってきた。


 両親の残してくれたお金と遺産で小さな葬式を挙げた、たった2人で雨の日に両親を火葬し骨を持って帰ってきた、家にある神棚の所に遺骨は置いて2人でソファーに座っていた。


 雨の音がうるさく鳴り響く、俯いたまま何も喋りたくない、お父さんが死んだ⋯⋯⋯⋯お母さんが死んだ⋯⋯⋯⋯もう誰もいない、あのハンバーグが恋しくなった、頭の中が2人との思い出で一杯になっていく。

 その思いと比例して室内なのに雨が降ってきた、おかしいよなんで雨が⋯⋯降っている⋯⋯のかな⋯⋯⋯⋯そっか雨じゃないや私泣いているんだ。

 喧嘩でちょっと泣いたりしたことはあったけど嗚咽が混じった赤ちゃんのような泣き方は初めてだった。

 隣でも志龍が静かにだが嗚咽混じりに泣いている、


「美穂⋯⋯」


 ふと呼ばれた。


「今日はさ⋯⋯雨⋯⋯だしさ、もう⋯⋯」


 このあとの言葉は容易に分かった


「泣いてもいいかな⋯⋯」


「ばか⋯⋯もう泣いてるじゃない⋯⋯」


 2人で思いっきり泣いた、雨が降っているので外には気付かれないだろう、そう思い2人で疲れても涙が枯れるまで泣いた、でも涙は今でも枯れない。

 2時間は泣いただろう、限界まで泣いてもう疲れていた。

 2人で布団で寝ていると。


「美穂、俺決めた」


 と言う声がした。


「2人で生きよう、どっちも欠けずに、2人で生きよう、苦しい時も一緒にいよう、そして⋯⋯」


「そして、少しづつ強くなろ」


「⋯⋯うん! うん!」


 そう返事すると志龍も喜んでいた。

 悲しみもあった、でもこの言葉に少し救われてある決意を持った、(志龍を守る、強くなってもう誰も失いたくない、志龍も私も全部救えるくらいに強くなる!)

 そう決めた。


 大きなピースを2つ失い、他のピースも徐々に失っていき残るピースは2つになった。

 それでも私は生きるんだ、志龍と共にこの2人で、2つのピースで生きるんだ。


 誓い合ったあの日から強くなると決めた、だから⋯⋯


「だからこの程度で、私は倒れない! 死なない! もう誰も失わないために私は強くなったんだ!」


 この程度で、この程度の力の差で屈してはいけない、あの時の方が苦しかった、あの時の方が絶望した、だからこんな所で負けてられない。

 勇気を振り絞った、相手は邪竜、その黒く光る鱗を目にした時人々は絶望しただろう、それがどうしたこんなの絶望にも入らないだから私は笑っていられた


「じゃあ始めましょうか」


「グルルル!」


「グァァァァァァァァァ!」


「ウォォォォォォォ!」


 両者雄叫びをあげる、第2ラウンドにして最終ラウンドの火蓋が切って落とされた、両者持つ感情は至ってシンプルで「ただ単に目の前にいる敵を倒す」これだけだ、黒き鱗を持った邪竜と1人の弱くも強い少女の戦いが幕を開けた。


 ────邪竜イーベルゲンセル対菜月美穂────



 邪竜イーベルゲンセル、彼と呼ぶべき存在かは分からないが彼と呼んでおこう。

 彼はこの戦いで一つ疑問に思っていることがあった、圧倒的な力の差、この前でこれに似た生物たちは皆顔を青ざめて逃げていった、悲鳴をあげ、泣き叫ぶ者もいた。

 なのにこれはそれに該当しない顔をしていた、ひょっとしてこれは違う生物なんじゃないかそう思い始めた。

 だが声を聞いてやはりこれもあの生物、ニンゲンなんだと分かった、だが分かったところで疑問は解決しない、むしろ頭の中で?が余計に浮かんできた。

 何故こんな顔ができる?何故私に勝負を挑もうとしている、圧倒的、誰でもわかる話だ。何故逃げない?何故だ何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故?

 彼は自問自答し続けた、戦いの最中も結論は出たのかそれは物語が終わってからしか分からない。

 でもただ一つ思い出したことがある、これに似た顔をしたニンゲンが1人いた事を。

 傍若無人、どれだけ追い込もうとも笑っていた、そして状況をひっくり返し我を追い詰めたあの者に似ていた。


 戦いの火蓋が切って落とされた、その瞬時に私は詠唱無しでファイアーボールを100個ほど作り上げた、煙幕、相手の意識を拡散させるためだ、


「いけ!『ファイアーボール!』」


 相手には効かない様子だった、予定通りだ。

 すぐに森の中に入り相手から場所を悟られないように逃げ回った、そして逃げると同時に詠唱を始めた。


「火の精霊達よ我に力を与えたまへ、汝ら龍に力を示すものなり、龍に似たその咆哮を我に示したまへ

『ファイアーブレス』炎龍の咆哮」


 片手を前に出す、魔力が一気に溜まり火の咆哮が邪竜を穿つ、狙うは左の首筋だイーベルゲンセルの弱点であり、そこを貫かれ死んでいったと言われている場所だ。

 狙いを定めて一気に撃つ、狙い通りの場所に当たった火のブレスが首筋を抉る、火力とともに水圧みたいに圧がかかる、ここを貫けば勝てる、邪竜も⋯⋯邪竜は何ともなかった、水が掛けられているかのようにいや本当に水が掛けられているとしか見えないダメージの一つもくらっていない。

 ゆっくりとこちらを見てきた、口から黒い火が見える。


「グラァァァァァァァァァァ!」


 「まずい! 黒炎!」


 黒い火、まるで墨のようだ、咄嗟に、いや常識として私はその黒い火から逃げた森を焼いた、焼いたといえども範囲はあまり広くなく直径5mを描く半円位だ。

 だがその半円の部分は森というものでは無くなった、ただ単に荒野のように土しかなく木の灰すら残らなかった、これが黒炎、最強の火の力だ。


 黒炎は意思を持っている、どこかの魔法の専門家がいた言葉だ。

 黒炎、その火が体に付けばその部分を取り除く、手なら腕ごと、足なら足ごと、そうでなければ体は焼かれ灰すら残らないそうなってしまう。

 黒炎に水をかけても無駄、真空の部屋に黒炎に焼かれている木を放り投げても木は焼ける。

 つまり黒炎には普通の火の常識が通用しない、黒炎の目的はその対象物を焼く、対象物が焼ければ燃え移りはしないそのまま消える、こう言われている。

 邪竜イーベルゲンセルが主な使い手と言われている。


「あっぶなー」


 避けたあと森を見て思わず言ってしまった。

 さて黒炎の使い手かどうしたものか、炎王の加護があるから大丈夫ってわけでもない、実際その炎王様は黒炎に焼かれて死んでいます⋯⋯。

 つまり黒炎には炎王の加護でも通用しない、火であっても常識が通用しないものには加護は恩恵を示さないということ。

 さてどうしたものか、加護が効かない攻撃通らない、どうすれば⋯⋯私まだ弱いんだね、ここで負けるんだね、弱い気持ちになってしまった、もうここで負けるのならそうでいい、そう思った。


「美穂、いいか弱い気持ちになってしまった時どうすればいいと思う?」


「うーん? 分かんないや!」


 子供の頃の光景だ、お父さんとドライブしてる時を思い出した。


「そうだろなーまだ美穂はちっちゃいもんなー」


 笑いながらお父さんは語る、私はちっちゃいと言われたので「ぶー」と言っていた。


「いいかもし辛くてどうにもならない、そう思ったら一つ教えよう、いいかみんなを頼れ、自分ひとりじゃない、みんなを頼れ、分かった?」


「はーい分かった」


 語る時お父さんは真剣だった、だから私は不思議と思いよく覚えてたんだ。


 誰かを頼りたい、誰を頼れば⋯⋯そうだ、そうだ!この手があった!


 そう思い私は走り出した、騎士たちがいる所に。



 戦いは終わっていた、騎士たちが勝っていた、騎士の指揮をしていたシンさんの元にいった、龍はファイアーボールでまた煙幕を張ったからしばらくはこっちには来ない。


「シンさん!」


「あ、美穂さんそちらは終わったのですか?」


「いえまだです、と言うかあの龍は見えますか?」


「ええ、見えますともおぞましいですね、あれが団長の切り札なのですか」


「ええそうです、そして今の力では私は勝てません、少し力をください!」


「いいですが、ここにいるものは力を使い果たし戦うことは難しいでしょう」


「大丈夫です、ちょっと寄ってください」


 耳打ちで作戦とまでは行かないが内容を伝えた。


「いいのですか?」


「大丈夫です!」


「分かりましたやりましょう」


 そう言うとシンさんは息を思いっきりすい。


「全団員に告ぐ!」


 みんなが一斉にこちらを見た。


「我々の戦いは終わった、それについては良くやった! だがまだ本当の終わりまでは来ていない、あの龍が見えるか、あれは団長の切り札である邪竜イーベルゲンセルだ、今彼女はこの邪竜と戦っている、だが力が足りない、そこでだ、彼女にめがけて火の魔法を打ってほしい!」


 ざわめく、「だめだろ」、「おいおい何でだよ」などの声が聞こえる。


「大丈夫だ! 火の力はみな彼女の力になる、炎王の加護、これを彼女は授かっている、ここにいるものは火系統ではなくてとファイアーボール位なら打てる集団の集まりだ、彼女に龍に勝てる力を与えてやってくれ!」


 これだけの人数だ、あれが打てるまではいけるだろう。


「いつでもどうぞ!」


 そう言うとファイアーボールを筆頭に上級魔術や色々な火の魔法が私に力をくれる、みんなを頼れ、お父さん今私は頼ってる、辛くても大丈夫、そして勝つよ!


 龍が私の元に来る頃には準備が万端になっていた。


「んじゃ始めよっか」


「いや、終わらせよっか」


「終焉の火よ、その形を変えて我の元に集え、矢となり力を示せ、この矢は全てを焼くのもなりこの矢は全てを貫くものなり天も地も全てを焼き全てを貫きその力をここに示してみよ!『終わりを示す煉獄の(パーガートリーエンドアロー)』」


 弓でこの矢を放った、空気を焼きながら切り、音にも届く位の速度で龍の首筋に向かっていく。


 危険を感じた、死の恐怖、それに近い、それそのもののようにも思える。

 あの矢は危険だ、それと同時にこれを防げば勝ちを確信した黒炎の準備をした、終わらせる、これで!


「「あの子の邪魔はさせない!」」


 どこからとも無く2人のニンゲンの声がした、黒炎の邪魔をされた。

 首筋を矢が貫いた。



「グァァァァァァァァァ!」


 矢が首を貫通し串刺しのようになっている、煉獄の火が黒い体を焼いていく。

 魂たちが開放され、天に昇っていく、


「お疲れさん、よく頑張ったな」


「偉いわね、よく頑張ったね」


「「私達の自慢の美穂」」


 涙をこらえる、誰の声か言わずとも分かる両親だ、後ろから聞こえるが私は振り向かない


「当たり前でしょ、だって⋯⋯だって! 美穂はお父さんお母さんの子供だからよ!」


 両親が笑ったように思えた、そして頭を2人に撫でられた、その瞬間涙が止まらなくなった


「お父さんらお母さん、頑張るからね! 私、志龍と頑張るからね! 天国で⋯⋯見ててね」


「うん」と言われ声ももうしなくなった。

 天国に行ったのだろう、私は前を向いて、


「この戦い、我らの勝利で終わった!」


 と言うと騎士たちが「うぉぉ!」などの声を上げて喜んだ。

 私も強くなった、そして勝ったんだ!

 志龍、後は任せたよ。

次からハル&プレアルートです

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