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第1章 第48話 序章 新たなる行路、プリテンシ王国

注意、この話には未成年飲酒のシーンが含まれます、未成年の飲酒は法律で禁止させているので絶対に飲まないでください。

 さて俺達4人は戦いを終えてクレナの下に集まっていた。


「さて、何で戦ったのか理由を聞こうか」


「ん、ただの暇つぶしや堪忍しておくれや」


 にこりと笑ってそういった。

 皆ずっこけて、まだ何かあるのではと言う緊張感が途切れた。


「それはねーだろクレナさんや」


 クレナさんは笑って


「すまんすまん、いやちょっとじゃれたくってな、カグラをちょこっと利用させてもらったんや」


 その発言にカグラは飛びついて


「おい、クレナ、利用したのか?」


「しゃーないやんあんた戦いたいって言ってたんやからちょっとだけ戦意を煽っただけや、まあでも操りやすかったんはまだまだ子供の証拠やね」


「グルル」と威嚇しつつも言い返すことが出来ないのでカグラはずっと睨んでいた。

 それを見てまたクレナは一頻り笑っていた。

 そして笑い終わると話を始めた。


「まあそれにあんたら司教を倒すんやったらうちらは倒せんとあかんわ、なんてったって傲慢の司教は獣人族やらかな」


 その言葉にその場にいた全員が反応した。


「志龍はん、あんた今回の依頼料返させてもらうわ」


 話し方のトーンも変わり真剣な話になった、


「まあ別にそれはいいっすけど、それはつまり俺達はあんたらに『借りを作る』ってことでいいよな」


「正解や、この戦いはあんたらに借りを作ってもらうか否かの判断材料でもあったんや」


 付近にあった椅子に座ってどこから取り出したのか煙管を片手に話を進めた。


「うちらは裏切り者であるそいつを許せん、そしてそいつの討伐の為には戦力が全然足りんかったんよ」


 確かに、司教レベル相手に戦えるのはここにいた4人が多分限界だろうし、それでも勝てるかどうかと言われたら分からない。


「でもそこであんたらが出てきた、チャンスや、でもな志龍はん、うちらはな勝つ為には努力も手段も惜しまん、あんたらがあいつを倒せる実力があるか見定めさせてもらったわ」


「そんでその見定めはどうだったんだ?」


「当たりや、あんたらに借りを作ってもらうわ」


 と言って2枚盃を俺の前に並べてそこに酒を注ぐ。


「同盟の盃や、いっちょ交わしてもらえんか?」


 そこに美穂が飛び出してくる


「ちょちょ、待ってよ! 話が急すぎるわ、私達、今から怠惰を倒しに行くのよ、今そんなことしてる場合じゃ無いのよ!」


 ハルも一緒に、


「そうだ、流石にそれは勝手がすぎるんじゃねーかクレナさんや」


「少し話が急すぎるのですよー」


 クレナは渋そうな顔をして、


「うちらもこの機会(チャンス)は逃しとうないねん、それに怠惰もちゃんと協力するさかい」


「それとこれとは────」


 俺が美穂を制止する、そしてクレナの前に座る。


「借りを作るのもまた一興、なあクレナさん、交わすぜ同盟の盃を」


 両者一口ずつ自分が手に取った盃の酒を飲む、そしてその残った酒を相手に飲ませる。


「これで同盟や、これからも仲良く頼んます」


「ああ、頼むぜ」


 そして俺達は街に出た。



「ねえ志龍、良かったの?」


「何がだ?」


「何って同盟よ」


 美穂と2人で今は行動している、自由行動中でハルとプレアと別れて街を探索している。


「まあここで一つあいつらにでかい恩を売るってのも今後何か役に立つだろ」


「でも!」


 と美穂は立ち止まった、その目には涙が溜まっていた。


「でも⋯⋯志龍もしかしたら死んじゃうかもしれないんだよ」


 美穂はそんな俺みたいに先のことは考えていなかった。

 今ある現実が彼女の心を鋼の鎖で縛り付けていた、自分の身を案ずるよりも俺の身を、お人好しにも程がある、でも彼女の長所でもあるところだ。


「死なねーよバカ、まだやり残してることも沢山あるんだぜ、そんな簡単に死んでたまるかよ」


 頭を撫でてやる、既に彼女は仮の自分の状態を捨てて本来の弱々しい彼女の姿になっている。


「大丈夫だ、お前を残して死ぬなんてできやしねーよ」


 美穂は涙を浮かべながら、


「本当?」


「ああ、ほんとさ、約束しよう」


 約束を交わす、美穂の顔には笑顔が戻り、太陽のようにそれは輝いていた、ああ、何て尊いんだ。

 あ、てかそれよりも今さ中々に完璧なフラグ立ててなかった、あれ、え、あ、訂正はできませんかね⋯⋯。


 さて一頻り探索は終わってクレナさんの下に向かう、夜ご飯は豪勢な刺身や色んな和食に似たような料理を堪能した。

 さてここからが本題だ。


「では只今より怠惰攻略会議を始める、クレナさん、頼んだ」


「はいはーい、それじゃうちが今から仕切らせてもらうで、まずあんたらが向かう所はプリテンシ王国や」


「なるほど──ってプリテンシ!? ここから200キロあるじゃねーか!」


「まあ大将、落ち着いて、そこは抜かり無く準備してるわ」


「お、おう」


「さて話は戻すで、うちらが得た情報によるとプリテンシ王国の近くにあるクリンティアの墓場に彼らの住処はあるらしい」


 墓場、何ともまああいつらしい場所ではある。


「まあ、その為には1度シフレルに戻って入国書を手に入れる必要があるがそれはまあそっちでなんとかなるやろ、道中も安心してや、知り合いに頼んでゲートをただで通してもらえるようにした、ただし少し手間がかかるからちょっと時間が欲しい、その間に入国書と心の準備だけは済ましておいてや、明日の夜には出発予定や」


「ああ、さんきゅ、今日は泊まって明日朝イチに取りに行って1度家に帰ってからもう一度そちらに向かうよ、それで時間はぴったりになると思うし」


「そうし、ほなうちからの話は終わりや、後は恋バナでもしときや」


 最後まで抜かりなく茶化してきた、追い出すように彼女を追い出して、次に俺達の作戦会議を始める。


「さて、次は敵の特徴だ、怠惰、奴は死霊魔術を駆使してゾンビを使い戦ってくる、ゾンビの能力には生前の能力に少しプラスアルファしたみたいな感じ、個人差はある」


「なるほど、剣士とかもいるって感じか」


「そしてアダムスという個体、あいつは少しやばい、多分ゾンビの中でも切り札に近い個体だろ、予想ではそれがあと数体はいると見ている」


「それは中々に厳しいわね、ゾンビに有効な攻撃は?」


「変わらない、太陽を浴びたらどうにかなるとかは分からないが俺が知っている限りそんな超有効技とかは無かった」


「つまり地道にと」


「ご名答、そしてそこに怠惰の能力が加わってくる」


「1つ目は『怠惰』物体の入れ替え、つまり身代わりなどを前に置くことが出来る、中々に厄介な技だ、対策としては敵の手数を潰して行くというものしか無いだろう」


「これが司教⋯⋯能力が違いすぎる」


「だがもう1つある、彼の二つ名弔いに関した技、『エンド』死の呪いと見た方が早いだろ、今俺が付けられているものだ」


「例えるならこの呪いは外すのには条件が居る鎧みたいなものだ、それ以外のことをしても無意味っていうわけだ」


「なるほどー、それが司教討伐って訳か」


「ご名答、そう、今回の目的は司教討伐、これだけだ、皆これだけに集中して挑むぞ」


「おーけー」


「んじゃ会議は終了だ、各自、自由行動ー俺は寝る」


 寝ようと俺は寝床に向かったのだが


「志龍、サシで話がしたい」


 ハルに呼び出された。


 庭で俺達は立って話をした。


「あれ、何か裏があるだろ」


「あれって?」


「とぼけんな、同盟だ」


 流石ハル、俺は少し笑って


「次の獲物がそれだったんだよ」


「傲慢か?」


「そう、次のターゲットにしていて少し戦力が欲しかったところ、いい巡り合わせだ」


 次にターゲットにしていた傲慢、こいつを仕留めるための情報は色々仕入れてあったが戦力的なものが足りていなかった、そこにこの話が来た、違う司教だったらもしかしたら断っていたかもしれないが俺も運命、面白いものだ。


「明日も早いし早く寝ろよ」


 俺はそう告げて寝に行く。

 最後に


「どんだけ先を見越してんだよ⋯⋯」


 と聞こえた気がした。


 そして次の日の夜になった。


「準備はいいか?」


「ええ、いつでも」


「おーけーだぜ」


「いいのですよー」


「いいかここからが本番やで、必ず勝ってきてや」


「ああ、任せろ」


 ゲートを潜る、ここから俺達は本当に黒魔道教との対戦が始まる。

 自分を鼓舞するために俺は


「行くぞ!」


 叫んだ、3人も釣られて


「おう!」


 と叫びゲートの中に吸い込まれて言った。


──骸百景(むくろひゃっけい)死の歌プリテンシ王国──

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