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第1章 第34話 月詠の獣人族編 黄泉の街道、月詠の夜

いつも見てくださっている皆さんには本当に感謝しております。

 始まりは数ヶ月ほど前だった、俺と彼女が出会うのは。


 さて今日は日曜日、外は晴天、こんな日は美穂をデートにでも誘っあげようか、そんな計画を立てているところだった。

 遅めに起きた俺に待ち受けていた運命はその計画をいとも簡単に崩れ落とさせた。


「今日はプレアと遊んでくる、昼ごはんは適当に食べておいて」


 こうか書かれてあった紙がテーブルの上にあった、手に取って俺は一つため息を付いてその紙を捨てた。


「一人か⋯⋯」


 ハルと遊ぼうかと考えてみたがそう言えば今日は1日修行をしに行くとか言っていた⋯⋯うん、暇だ。


「なーにしよっかな」


 暇を持て余しているので何かいいことを思いつかないものかと考えていると1ついい考えが思いついた。


「あっちの世界で遊ぶか」


 俺は朝ごはんのサンドウィッチを弁当箱に入れて、服を着替えて⋯⋯どんな服きようかな、美穂がいれば楽なのに。


「まあこれでいいか」


 白のシャツに黒のパーカー、そして黒のズボン、近くにあったやつを適当に選んだ。


「あとは、金か、金貨とは何枚残ってたっけな⋯⋯」


 と自分の部屋にある自分の魔力でしか開かない金庫を開けて見てみると、金庫の中には30枚ほど金貨があって、銀貨も結構あった。


「まあこれだけ持っていけば問題ないだろ」


 金貨30枚と銀貨60枚ほど持っていく、備えあれば憂いなしって言うだろ、そんな感じだ。


「忘れ物は無いよな⋯⋯」


 と玄関を確認して、俺は外の空気を肌に感じる、もう5月の下旬、春の陽気はすっかり無くなり、夏目前といった暑さを肌で感じる。


「施錠して」


 家のドアを施錠する、そしてもう1度忘れ物がないかを確認する。


「よし、それじゃ行くか!」


 歩いて俺は転移の所に向かう。


「本日は何処まで?」


 と係の人が聞く、俺は


「シフレル王国まで」


 いつも暇な時に行っている所だ、係の人が専用の転移結界まで案内してくれた、銀貨を1枚支払って往復の分の切符を買った。


「それではごゆっくり」


 光に包まれた。


 暫くして、周りから声が聞こえる、そして食べ物のいい匂いがする、着いたようだ。


「切符を」


 隣にいた係の人に切符を渡して俺は王都を歩く。

 1つ寄りたい場所があったので俺は王都の市場で最も賑わっている所にある1つの小さい店に着いた。


「お! 志龍のあんちゃんじゃねーか! 久しぶりだな!」


 ここには知り合いが結構いる、このごついドワーフはケパブの店の主人、ガンロンだ。


「相変わらずデカすぎだろ、客きてんのかよ」


 と俺がはやし立てると、向こうも笑って


「いい感じだぜ最近は、リピーターも増えてきて、美味しいって向こうの世界からも来てくれるしな! このまま順調に行けば向こうで店を構えられるかもな!」


 と大きな笑い声で機嫌よく話していた、


「そー易々とは行かねーかもしれねーぞ、慢心すんなよ、まあでも俺にとったらそれは嬉しいよ」


 何を言っても俺はこの店のファンの一人目なのだからな、売れないと嘆いていた時からこいつの事は知っている。


「嬉しいとは言ってくれるじゃねーか」


「まあな、それじゃ、買わせて頂くわ」


「はいよ! 銅貨2枚! 家の売りは安さと美味さだ! これなら誰にも負けないぜ!」


 本当にここの安さと美味さは最高だ、肉にしっかりと秘伝のタレの味が染みており、肉も弾力があって美味い、間違って店の前で何処ぞの有名日曜アニメのびゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛ぃ゛を言ってしまいそうだ。


「そーいや、今日は美穂ちゃんとは一緒じゃ無いんだな」


 美穂もこの人とは仲がいい、俺の紹介でケパブを食べてみたらハマり出して俺が向こうに行くと言った様には「ケパブ」と強請られる。


「あいつは今日は友達と遊びに行っているよ」


 どこかも場所も伝えずにな⋯⋯って、これ言ってしまうとメンヘラだ。


「逃げられたか」


「縁起でもねーこと言うなしばくぞ」


 1睨みすると手を合わせて


「すまんすまん」


 と謝っていた。


「それじゃ俺もぼちぼちどこか行きますか」


「何だもう行くのか」


「暇だしな、ちょっと森に遊んでくるわ」


「おう気をつけてなー」


 と別れた。

 俺は言った通り今日は森で遊ぶつもりだ、その為に朝のサンドウィッチは残してある、王都を出るのに別に特段その王国の領土内に居るのであれば出るのに届けを出さなくてもいい。

 それに


「お、志龍じゃねーか酒飲むか?」


「仕事しろよ、まだ朝だぜ、ていうか未成年に酒を進めるなそれでも王都の騎士かよ」


 飲んだくれの顎に無精髭の生えたオッサンは王都の騎士で名前はゴリースという獣人族(ワービースト)だ。


「暇で仕方がねーんだよ、それより何処に行くんだ?」


「そのへんの森に遊びに行くんだよ暇なもんでな」


「そーかい、まあそれなら届けも出さなくていいしな、よし行ってこい!」


 と大声をあげる、


「言われなくても行くよ」


 俺も笑いながらそう返した。


 さて、この状況はどうしたものか。

 いや話が変わりすぎて申し訳ない、ここまでの経緯を話すのなら、森の中に入った、そしてぼーっと木々に囲まれて気分が穏やかになっていたのだが倒れている赤の着物を着た獣人族(ワービースト)の子供に出会った。

 つついてみたが返事は無し、呼んでみたが返事は無し、微かに聞こえるのは腹が鳴る音、ああ、飯食べて無いのか。


「ほーら飯だ食え」


 と俺はサンドウィッチを差し出す、俯いていたが鼻は効くらしい、食べ物の匂いがするとぴょこっと起き上がり、俺のサンドウィッチを手に取って


「食べてもいいのか?」


「よーく噛んで食べろよ」


 と言うと一目散に食べだした、余程お腹がすいていたらしくもう1つ目が無くなった、俺はサンドウィッチを全て差し出した、すぐに無くなったがな。


「ふわぁー生き返った!」


 と機嫌良さそうに言っていた


「それなら良かったよ」


 実際、見逃すわけにも行かないしな、すると彼女はこっちを向いて


「ありがと、助かった」


 と言って笑ってくれた、おいおい笑顔が眩しすぎるぜ、兄ちゃんこんな目で見つめられたら他に食べ物ないか探してしまうぜ。


「まあいいってことよ、って言うか君、名前は?」


 と言うと「ふぅぅぅ!!」と唸り出した、何か癪に障ることを言ったのか?


「名を聞く時は自分からだろ」


 と言われたので納得しておいて俺は


「光希 志龍、宜しくな」


「ミツキ シリュウ、よろしく頼むぞ、私はコウ・カグラだ」


 紫の髪に赤い目、まるで幼い猫の様だ。

 自己紹介が終わると向こうが


「所で、シリュウ、なんで獣人語を喋れるんだ?」


 そう今までの会話は、獣人語、獣人族特有の言葉だ、他の種族にも特有の言葉があるが殆どは常用後である普段俺達が使っている言葉を使っている。


「まあ勉強したからさ」


 ロベンについて知っている獣人族が居てそいつと喋れないなんて事があったら最悪だからな、言葉は殆ど覚えている。

 カグラは俺を


「すげーなー」


 と言っていた。

 さてここからが本題だ、


「カグラ、君はどこから来たんだ?」


 結構重要なことだ、これを聞いておかないと帰さなければならない時に俺が分からないからな。


「場所はだいじょーぶ、はあくしてるから」


 と自慢げに胸を張っていた。

 まあそれなら大丈夫か、俺も送らなくて済むな。


「あ、でも来てくれ、おれーがしたいから」


 と言われた、俺はされるほどの事はしてないと思っては居たのだがまあ暇だしお言葉に甘えて行くことにした。


「それじゃ行くぞ、着いてこい」


 言われるがままに着いていく。

 暫く歩いているが一向にその歩みは止まらない、少しこっちが疲れてきた、向こうはというと呑気に鼻歌を歌うさまだ、もうこれで7曲目だ。

 もう暫く歩くとやっと歩みが止まる、でもその目の前にあったのはでっかい岩だった。


「でけー」


 と関心をしていたがそうしている場合ではない、あれだけ歩いてこんな場所だ、よく分からない。


「ここで合ってんのか?」


「そうだ」


 と言って岩に手を突っ込む、そして


「手ー握ってろ」


 と言われたのでそのまま俺は手を握る、すると体が吸い込まれていった。


「う、うわぁぁ!!」


 と驚いている、変な空間でそして浮遊感による嘔吐感が増す、15秒ほどしてやっと解放された。

 俺は四つん這いになって息を整えていると、


「カグラ様! 3日も何処に居ておられたのですか?!」


 と別の女性の声がする、そしてカグラは


「うん、森で遊んでたら迷子になって腹ぺこだったのをシリュウに助けてもらった」


 と俺を指さした。

 俺はと言うとまだ顔が上げられない、めっちゃ気持ちが悪い。


「まあ家のカグラを有難うございます」


 とお辞儀してるのだろ、俺も


「いや、当然の事をしただけですよ」


 と返す、そしてやっと顔が上げられるくらい楽になったので顔を上げてみる。


「え?」


 そこに広がっていた光景に俺は目を疑ってしまった、いや疑わざる負えないと言う感じだった。


「びっくりしておられるようで嬉しいどすわ」


 とゆったりと上品な喋り方をするこれは狐の獣人族だ、髪の色は金ととても美しい女性が居た。


「あ、ああ、驚いたよ」


 と言うと、「ふふ」っと笑って


「ここに始めてきた人はみんなそう言うのですよ、まあ仕方が無いといえばそうなってしまうのですがね、家も始めてきた時はえらいびっくりしましたしな」


 本当にビックリする。

 彼女はカグラと一緒にお辞儀をして、


「ようこそ、黄泉の街道月読(つくよみ)の夜へ」


 月詠の夜に照らされたその光は長屋みたいな長くて大きな建物の様に大きく、その中ではお客さんと獣人族の着物を着た女性が話したり、酒を飲んだりしていた。

 噂は聞いたことがあったが本当だったんだな


「月詠の夜か⋯⋯」


 その世界は美しく輝きを持ち、そしてその輝きは暗い夜のこの街を本当の夜に仕立てあげていた。

さて今回の話から月詠の獣人族編に移りました、まだ今は回想ですが後にこれがとても重要になってきます。

そして今回も最後まで見てくださっておおきに笑

私、道山は関西人なのですが京都弁と呼ばれているのには慣れていません笑

では次回でまたお会いしましょう。

次回までドロン!

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