第1章 第33話 ルーベル学園祭編 たった一瞬の絶望、それが永遠に続くとも
いつも見てくださっている皆さんには本当に感謝しております。
攻撃を仕掛ける、醜くもその攻撃は早くなく加えて司教レベルであれば欠伸が出る位避けるのが単純だろ。
「クソ!」
当たらなかったことに俺は腹を立てる、俺は振り向いてもう1度攻撃をしようとするが振り向けない。
疲れているのか、それとも今俺が置かれている状況が最悪なだけなのか。
「ど、どけ!」
抱擁をされている、男の抱擁なんて需要が無いとか言っている場合ではない、その手は冷たくその抱擁は誰よりも強く逃げられない、そして耳元で囁かれる、その絶望を呼ぶ声を。
「貴方は充分に運命を受けた、そして絶望も、貴方は怠惰でない、勤勉だった」
何を言っているのかわからない、でもその声には絶望を生む、そんな気がしてならなかった。
「貴方に死を許そう、さあ死の鎮魂歌を唄おう」
彼はそう言った、親が子守をするために子供に優しく話しかけるように、また宥めるように、鎮魂歌を唄った。
「貴方は良くやった、地獄という運命を乗り越えた、誇りに思いたまえ」
優しくも淡々と告げられる死の宣告に近い司教の言葉を。
「我々との戦い、そして友の死を、貴方は乗り越え、そしてまた試練を受けようとしている、
友を弔い、そしてその友のために私を倒そうとする、なんて素晴らしいんだ! 美しい!
だが虚しくもそれは叶わない、さあ最後の言葉といこう!」
「死を恐れるなかれ、誰しにもやって来る運命だ、それを私は弔うだけ、そして貴方はその弔いを受ける側になるだけだ、『エンド』」
告げられたのは終わりだった、終わりが意味するものは俺という存在の全てが終わることなのだろう。
言葉が出なかった、終わりというものを身近に、嫌、自分で感じているのだからな。
でも、数十秒経っても何も起こらない、俺はとうとう奴に
「何をした?」
聞くと、彼は冷静に
「死の呪いをかけただけですよ、ですが今は発動しません、貴方が死ぬのは3ヶ月後なのです、
ああ、忌々しい、今すぐ私はこの者ですら弔いたいのですのに」
3ヶ月、これが俺に与えられた時間、リミットがある中、俺は1つ考えた、ここで奴を倒せば俺の死は帳消しになるのではないかと、撥を握る、そして
「うぉぉぉぉぉ!!」
「1音 打音!」
思いっきり奴の体内に打ち込もうとする、でも
「アダムス、君はここに来るべきだ、あんな所で怠惰にいるのではなく」
叩く寸前に、巨人のようなゾンビが奴の前に立ちはだかりそして攻撃を受けた。
「何だ?!」
瞬時に俺は間合いを取る、見てみると目が3つある、そして異様に発達した筋肉が血管とともに浮き出ていてその場で俺を見下ろしていた。
「まあ今日はこの辺にしておきましょう、あと今の攻撃は良かったですよ私の呪いは確かに解けますよ」
そう言い残して転移魔法でそのゾンビと共に消えていった。
外を見渡す、その荒野には無数の死体が転がっていた、全て黒魔道教の奴らなのだろう、そして3人が居ないことに気がついた、
「外でも何かがあったのか?」
俺はそう思わざる負えなかった、そのに向かう前に氷で花を作って道部に贈った。
「じゃあな、次は友達でいような」
そう言い残して立ち去った。
俺は急いで外に向かう、走った、音速も使えないくらいに疲れていたがそれでも走った、いつぶりだろ、こんなに息切れをしたのは、胸が苦しい、脇腹が痛く、唾を飲み込むたびに口の中が鉄の味をする。
「はぁ、はぁ!」
闇雲に、そしてエレベーターに着くがエレベーターの電源は切られており横にあった階段を使う。
地下6階、何百を超える階段を登らなくてはならない、足がもたつく、それでも1歩、また1歩と、自分が出せる限界まで出す、いやもう限界なんて越しているだろ、そして
「着いた!」
息を切らしながら見たその光景はまさに地獄だった。
会場は燃えて、闘技場も、陸上競技場などの学校の施設も壊されて、皆が逃げ惑う、大声をあげて助けを求める、最悪の惨事を目の当たりにした。
絶句し、言葉も出なかった、でもそれと同時に言葉にならないくらいの怒りが湧き出てきた。
何故関係無い人達がこんな目に合わなくてはならないのか、なんで俺がこんな苦しい思いをしなくてはならないのか、顔が浮かぶ、狂人の狂った笑い声が、お前か⋯⋯
「お前のせいかよぉぉぉぉぉぉ!!」
怒りのままに俺は戦地に突っ込んだ。
ほらな、前にも言っただろ、俺は賢者でも無ければ勇者でもない、ただの高校生だと。
戦火は燃え上がり、戦いは終われども、何もかもが終わっていない。
今日、この1日で全てが崩壊した、建物は崩壊し、述べ1000人以上の負傷者が出て、全ての校舎が全壊、もしくは半壊となった、不幸中の幸いと言えるのは死者が出なかった事だ。
この事件はルーベル学園で語り継がれ、「最悪の1日」と呼ばれる様になった。
俺は焼け野原となったその校舎などの残骸を見つめていた。
「何も救えなかった⋯⋯」
友も、学舎も、人は救えたかもしれない、でも俺にとって大切な友を守れなかったというのは痛い。
地面を蹴る、下唇を噛む、痛みでどうにかこの何かがすっぽりと抜けた感覚を消したいと思った、
効果は無かった。
「よう」
後ろから聞き慣れた道化の声がした
「学園長⋯⋯」
「いいのかーい、君もあのばーに行かなくーて」
「行く意味が無いですよ」
今この瞬間でも俺はこの人にどこかに行って欲しいと願っている。
「まさかとは思っていたよ、警戒もしていた、それでもかい潜られるとはーね、最悪だーよ」
彼の顔にも疲労と共に、この状況に対する怒りや悲しいなどの感情があった。
「同じ気分ですよ⋯⋯」
俺はそう答えて、その場に座り込む、学園長もその場に座り込む。
「司教と戦ったのだね」
情報が漏れているのは知っていたがそれでも早いなとは思った、俺は頷く。
「そうか、よくやったーよ、司教相手に互角とはーね」
「互角じゃないですよ、俺の方がチェックを取っていた、でも相手の本当のクイーンが出てきて戦況は混乱、そして俺には死の呪いがかけられた」
「死の呪い?!」
声を上げて驚いていた、俺は近くだったもんだから少し耳がキーンとした。
「弔いと称し、奴には呪いをかけられた、あれはやばいっすよ、こんなの反則だろ」
死の呪いなんて、性能がおかしすぎる。
「一瞬だねこーいうことって」
空を見上げてそう言っていた、笑いもせずに真剣に。
「たった一瞬の絶望、それが永遠に続くとも」
聞いたことのない言葉だ、
「それの意味は?」
俺が聞くと、学園長は淡々と
「昔、聞いた言葉だーよ、起こったのはたった一瞬の出来事、それが私達に永遠の絶望を与える、こういう意味だよ」
学園長からしたらこれが絶望なのだろう、前にも言っていたがここは彼にとっては王国、自分の国だ、それがたった一瞬で潰された、絶望でしか無い、大切なものを壊される、人間の心が最も壊れる事だ。
「でもね、志龍君、まだだーよ」
いきなりそう言った、俺の方を見て
「まだ君は絶望してはいけない、まだ何も失ってないのだからね、命を取り戻してこい」
⋯⋯、確かに有難かった、でもその言葉は間違っている
「俺は1つ失ってますよ学園長⋯⋯」
俺はそう呟いて行くつもりはなかったがもうここには居たくなくて美穂とかが居る方に逃げるように向かった。
失ったものは取り返せない、死というものは全てを取り返せない、友を失ったという事実を与え、2度と彼と遊んだりできない、彼と遊ぶというのを奪われて取り返せなくなった。
でも俺はまだ希望がある、奴の言葉の意味だと俺は3ヶ月を帳消しにすることが出来る、だから奴を倒す、あの黒服を倒す、そう誓った。
「来たわね、遅いわよ」
美穂とかが歓迎をしてくれた。
頼もしい仲間もいる、そして時間はまだある、反撃の狼煙はいつでも挙げられる。
「美穂、ハル、プレア」
俺は3人を呼ぶ、いよいよ本格的な決戦が始まる。
「これから俺たちは暫く学校を休む、敵が決まった、そしてこの今日の借りを返しに行く、色々あって俺もあいつらには今日で借りが溜まりに溜まってるからな」
辺りを見渡すと、いつも笑っているハルですら笑が無かった。
今回のが随分と来たのだろ、形相も鬼の様だ。
俺は告げる、次の敵を
「次は初の司教戦だ、怠惰のアケディア・ジャッチメントだ、強いぞこいつは、全員心してかかれよ」
「おう!」
メンツは揃った、だがまだ戦えない、なぜなら相手の居場所がどこかわからないからだ。
でも安心しろ、その為の秘密兵器を俺は知っている、問題ない奴を倒す、さあ開始しようか
「反撃をな」
反撃の狼煙を静かにゆっくりとあげる、司教相手だ仕方がない、それに俺は鎮魂歌を聞かされた、あれは他のみんなには聞いて欲しくない。
それにあのアダムス、一見してパワー系かと思うが予想からして多分スピードもある、奴の切り札だろ、厄介になるかもしれないが大丈夫だ、あいつらも入るしな。
奏でられたものに終止符を打つために俺達はゆっくりと向かう。
これにて胸糞かも知れませんが1年の学園祭は終わりとなります、次回からは怠惰編、これを作り上げたいと思います。
では次回までドロン!




