第1章 第30話 ルーベル学園祭編 経験の差、矢と矢がぶつかる時
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まさかとは思っていたけど初手読み違えの作戦変更の連絡が回ってきた、私達は志龍の後を追っていたが、急停止をした。
「志龍が読み違いをした、向こうはキングゴリラと対戦しているらしい」
ハルはかなり驚いていた、あの志龍が読み違いって月の引力が無くなる位の事だとでも思っているのだろ。
「私達は志龍に言われた通り正面から突っ込んで衝突で戦闘を開始するわ」
と砂山の陰に隠れ私は相手の出方とかを伺っていた、見ていると「シュッ!」と聞きなれた空気を着る音がした、私はその砂山から逃げ出した。
「気づかれてるみたいね」
「そうっぽいな」
「なのですねー」
廃墟の上に賢者のように弓を握りその場を守っている人がいた。
「野球部のマネージャーか、狙撃うますぎるだろ」
狙いを外さない、その集中力の高さは普通の狙撃手よりも優れている、そしてその集中力にも勝る冷静さ、同じ弓使いとして感じるのは感嘆の一言だけだ。
「やるわね」
向こうもそんな表情をしていた、恐らくあの一撃で少し私達を惑わしたかったのだろう、でも
「経験ってのを教えてあげるわ」
弓を握る、弦を引き、呼吸を整える、矢はタイミングが合わないと狙った場所とは異なる場所に行く、僅かな呼吸のズレでも、弦を離す指の感覚でも、だから呼吸を整え、体の芯を保ち呼吸、指の感覚などを合わせる、繊細に、茹で卵に一切の凹凸を付けないように殻を指の感覚だけでむく時のように集中をする。
「今!」
タイミングが合うのは一瞬、零コンマ何秒という1にも満たないその秒間、遅れないように、早くならないように、私は矢を放った。
「完璧」
彼女も気づいたらしく、避けたものの頬を掠め血が出ている。
そしてこれが合図となり地上にいる人達が私達の方に来た、
「ハル、プレア、目の前の敵は頼んだわ」
「おっけー」
「おっけーなのですよー」
「私は援護するわ」
相手に弓を向ける、爆発する炎のエンチャント付きの矢で狙撃をしたがその矢は相手に当たらずに数10センチの地点で爆発した。
「なーるほど、私の相手はあんたと言う事」
「勝手に敵を変えるな」
と言わんばかりの表情だった。
両者弓を引く、木はしなり、指先に力を集める、この時、私は自分の弓を引いている音と呼吸の音しか聞こえない、強いてどんな状況であるかを表すなら防音室で素振りをしている球児みたいに自分の音以外聞こえない。
でもスナイパーのライフルのスコープから相手を見ているようにハッキリと相手が見える。
そのまま私は矢を放つ、ほぼ同時に相手も弓を放つ、両矢は矢の先端に当たり折れた、
「やるじゃない」
と思った、でも
「これは避けられないでしょ」
「っ!?」
強烈な矢が5発ほど彼女に向け放たれていた、4発は避けたり矢で打ち返したものの1発彼女の腹部をかすめた、そして追い打ちのように魔法を仕掛けてあり、爆発した、小規模にしたためあまり火傷などせず続行不可能になる位にした。
「いつ? 打ったの⋯⋯?」
と言いたげな表情であったが、声は届かないので彼女にはネタばらしは後でにする。
ネタばらしと言ったら簡単で私は矢が折れる数瞬前に5発ほど放った、ただそれだけ、でも矢を放った瞬間の隙、これを見逃したのは経験の差、これだけだ。
続行不可能となった彼女は強制転移で医務室に運ばれた。
さて、遠距離から狙う狙撃手が居なくなったことだし、
「私も援護始めるか」
岩陰に隠れていたが私はそこから出て歩いて戦場に向かう。
少し歩くと戦場に着いた、そこには峰打ちしかできない事に苛立ちを隠せずにいるハルと、ほとんど武器が使えない状態にあり苦難を強いられているプレアがいた、ハルがいち早く気づき、声を荒らげて
「おせーよ! 早く援護してくれ、少し捌ききれねーよ!」
「武器使ってもいいですかー? 苛立ってるのですよー」
と不満を垂れ流している2人がいたので私も
「分かったわよ、始めるから2人共、避けてよね」
弓に手をかける、そして火で大きな矢を作って
「ちょっと熱いかもしれないけど多分大丈夫だから心して受けてよね『火雨』」
大きな矢を偽りの空に向けて放つ、太陽とかぶり矢が見えなくなった、だが数秒もしない内に今度は大きな矢ではなく小さな火の玉のような矢が空を赤く覆い尽くして雨のように降り注ぐ、火の幻想的な景色とは裏腹に目の前では、
「あっつー! やばいよこれ!」
「避けろ! まじで避けろ!」
「魔法使って攻撃をしの────」
「がせねーよ」
ハルは魔法を使おうとした相手に対して峰打ちをする、傷はほとんどないが意識はなく続行不可能として強制転移させられた。
ハルとプレアはお互い魔法でダメージを食らわない。
そんな地獄絵図がしばらく続いて、雨が止む頃には殆どが強制転移で居なくなっていた。
「お疲れさんだな」
「疲れたのですよー」
「私もー」
と3人でその場に座る、静かでここに百と数十人が居たとは思えないようだった。
「このまま志龍に全部任せるか?」
気だるそうにハルは言う、プレアはそれには反対で
「流石にそれは志龍が可愛そうなのですよー、もう少し休憩したら行くのですよー」
私もプレアの意見には賛成だった、志龍1人だけに任せるのもありだとは思うがそれではチームでは無い、戦いに行かないとダメだと思い私は立つ、それに続きプレア、最後にハルが重い腰を上げて廃墟に向かった。
さて今回はとても短かったのですがどうだったでしょうか?
次回は野球部戦完結となります。
では次回までドロン!




