第1章 第24話 ルーベル学園祭編 死力を尽くす、こいつだけには負けられねえ
いつも見てくださっている皆さんには本当に感謝しております。
「決勝戦、史上類を見ない面白く決勝戦に相応しい組み合わせとなりました、2年生、3年生を下し勝ち上がったのは1年生であり魔導騎士団の2人」
「1人目は、あのプレア選手との一戦、そして副会長クラン選手との一戦、これを勝ち上がりここまで登りつめ、そして今王者と言われている親友を倒そうと闘志を燃やしている剣豪、桐太刀晴人選手だ!」
「うぉぉぉぉぉ!!」
会場が盛り上がる、だがそんなのはこっちからして見れば蝉の鳴き声に等しいただの騒音でしかない、今は志龍を倒すただそれだけだ。
「そして入場してきました、絶対王者、全ての試合を難なく、そして傷一つ付かずに勝利を収めている、まさに王者というべき存在でしょう、その堂々とした風格が彼という存在を表している、これがルーベル学園が誇る天才、そして魔導騎士団団長、絶対王者、光希志龍選手だ!」
「うぉぉぉぉぉ!!」
盛り上がるがどうでもいい、ただあいつに勝つだけだ。
そして
「今、決勝戦、志龍選手対晴人選手の試合が始まりました!」
「うぉぉぉぉぉ!!」
それと同時に、俺とハルはお互いの距離を詰めて、ハルは刀を、俺は撥をぶつける。
「相変わらずなんでその撥は切れないんだよ」
「へっ、作った人がいいんだろ」
「まあ今はどうでもいいわ!」
俺は空いている左手で
「1音 射音」
音を繰り出すが、避けられる、この距離で避けるかよ。
「やっぱり反応速度が違うな」
「まあな、つーか次はこっちから行かせてもらうぜ」
向こうの攻撃を俺は2本の撥で捌く、でも少しすると捌けなくなるから音速で俺は一旦距離を置いた。
昔ハルから教えて貰った、
「俺達は1の武器しか使わねえ、つー事はこの武器は1のことしか出来ないってわけだ」
「切るなら切る、当てるなら当てる、とかそーいう1つの事しか出来ない、でもなこの1つの事しか出来ないものを1000の事が出来るものに俺達はしなくちゃならないんだよ」
「それが出来て本当に扱えるってことになるんだよ」
聞いた時はそれほど響かなかったが、今なら分かる、ハルが言っていた言葉の意味が、そして
「よく染みるよあの話が」
「まだ覚えていたのかよ」
「まあな」と短く返しておいた、そして俺もそろそろ攻撃を開始する
「んじゃまずは、数打ちゃ当たる大作戦でもいこうか」
そう言って俺は大量の分身を出した、
「それが数打ちゃ当たる大作戦か?」
「おうそうだぜ」
「お前らしくないな」
「そうか? まあどうでもいいや、さて行け! 分身達!」
と言うと一斉に分身がハルに向かっていく、でもあいつはこんな魔法はくらわない
「魔食い」
黒いドロッとした魔法が俺の分身を食べていく、まさに魔食い、魔物の様に他を食べるな。
でもなそれ位俺も知っている、だからちょっとだけおまけを付けておいたぜ
「ん? ちょ!」
と言った瞬間に爆発をした、ダメージはいってねえだろう、これは目隠しだ、そして俺は攻撃の準備に入った
「音武装、切りの型」
音を武装することが出来る、切りの型は剣を作る、今俺は2つの剣を持っているという状態だ、さあいこうか
「音速」
爆煙の中に突っ込む、すぐにハルと出会い、出会い頭に
「はぁぁぁ!」
一撃をくらわせる、でもハルは刀1本で俺の攻撃を捌く、でもまだ止めない。
右の剣で攻撃したのならすぐに左で、左の次は右、左でいくように見せかけてもう1度右、そうやって俺は何度も何度も攻撃をするが、ハルは捌く、全部捌いてくる。
「悪いな、付け焼き刃に負けるほどの腕じゃねえよ」
そうこんなの付け焼き刃だ、でもな付け焼き刃でいい、勝てないのは分かっている、剣でハルに勝てるわけがない、でもなこれは剣の勝負じゃない、これが剣だったら俺は負けていた、でも剣だけじゃないなら俺は負けない。
そして俺は飛んで
「武装解除、音速&1音 打音!」
作っておいた氷の踏み台を使って音速からさらに加速して一瞬の虚を突く、左で放った打音は、刀に防がれるだが
「っぐっあ!」
あいつも流石に耐えられず体制を崩す、そこに蹴りを入れる、そして
「1音 射音」
射音でハルを吹き飛ばす、飛ばしたものの思っている以上にダメージは入っていない。
さて次のステージにいくか。
「ハル、お前は『勇気』『愛』『思い』『誇り』さてどれを持っている?」
俺はどう答えるかは知っているが、あえて聞く、ハルは笑い
「全部だ!」
「だろうな!」
俺は答えてから
「さあ最も勇敢な戦士よこの試練を乗り越えてみろ、さあいけ我が『右手』『右足』『左手』『左足』」
最強の4戦士がここに現れる。
右手、右足、左手、左足、この4人は俺が作り上げた特別な分身体だ、
「能力は教えられないがまあ大体は想像つくだろ」
「ああ、大体はな」
「さてんじゃやってもらおうか」
「かかって来いよ」
「いけ」
命令をすると一気にハルに向かう、一番乗りは加護持ちの左手
「1音 打音」
だが避けられて、ハルは黒を取り出して
「魔食い」
左手を食べようとするが無駄だ右手が
「狂眼」
狂眼により黒が打ち消された、どうやらどっちも能力を消す能力であってもこちらの方が優位だということがわかった。
そして右足がハルにかかってくる、
「こいつは体術か、おもしれえ」
俺と同じ戦い方をする、元々体術には自信があり、色々な国の拳法とかも身につけたりしたりしていた、そして右足はそれを全て出来る。
「回し蹴り、甘いぜ!」
ハルも喧嘩術で身につけた技で戦っている、でもな教えてやるよ、今は体術だけを集中してたら勝てねえよ
「っ! 邪魔すんなよ!」
左足が魔法を使う、それを「魔食い」で防いだものの左手の裏拳からの右フックを顔に決める、流石にハルもよろめいた。
「クソが!」
と怒っていた、でもなこれは勝負だ、不正とか人数比がおかしいとかそんなあまっちょろい理屈は無しのただの勝負だ。
「5音 射音」
左手が5個の音を使う、それをハルは避けるだが、
「っ! 沼?!」
土魔法で足場を沼地にする、そしてそこに左足の体術が
「あめーよ考えが!」
ハルが腕の力だけで刀を振る、すると左手は一刀両断され
「ま⋯⋯けた⋯⋯」
と言って消えていった。
これがハルだ、足を失っても刀を振り相手を殺す、大体の剣術は足を使って勢いをつけたり、腕だけでなく全身を使って相手を切る、でもハルはそれを腕だけでやってのけた、剣を極めたものができる技だ。
「相変わらずだな、でもあと3人だ」
3人はハルにかかる、まずは左手が
「1音 轟音」
鳴り響く轟音はまさに剛を制するもの、さあこれを倒してみろ、するとハルは避ける、でもその先には
「『氷柱』」
針みたく尖り、そして何百とある氷柱がハルを襲う、それをハルは
「魔食い」
魔食いで何とかしようとするが無理だ
「狂眼」
魔食いは消え去り、そしてハルは避けることになる、でもこれを避け────、
「甘いぜ、志龍、ひょっとしてこれは想定外か?」
どうやら俺がこれは操られていたみたいだな。
ハルは避けながら右手の首を取った、そして右手は消えてなくなった。
「やられたぜハル」
「へっ、見たことがなかったぜその面!」
俺も自分で驚いている、こんな焦った表情が俺にもできるんだな。
「まあこれくらいやってもらわないとな」
俺もそろそろもう1段階ギアを上げるか。
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残りの分身は2体、でももうめんどくさかった狂眼とか言うのを持っている分身は消えた、なら残りは
「魔食い」
せっかく楽しい勝負ではあったが志龍がいる、ここであまり体力を使うわけにはいかない、そう言って俺は黒を2人の分身に────何で? こっちに志龍が突っ込んできてるんだ?
「いくぜ、左手!」
左手と呼ばれた方は持っていた撥を上に投げる、そして自分を踏み台にさせるように少ししゃがむ。
「音速」
志龍は音速をしながらジャンプする、その衝撃で左手と呼ばれた方は粉々になった、志龍は? 上でまさか!
「まさかって顔してんな、そのまさかだ、左足!」
左足と呼ばれた方は俺を捕まえて、その場から逃げられないようにした
「くそ! 離せ!」
俺は抵抗するが力が強くて逃げられない、魔食いをするにももう時間が────
「ねえよ! 1音 全力射音!」
上から思いっきり叩きつけられる、衝撃波によるこの一撃は悶絶するくらいの痛みだった、肋骨が今の衝撃で3本は折れた。
「まだまだ! 『1音 切音』 」
鎌鼬の様に右の方から左の胸までにかけた、切り傷が出来た。
「どうだこの技は効くだろ」
「ああ、随分と血が出るね、死にそうだぜ」
一瞬、ふらっとする、それを見て志龍は一気に音速で近づいてきて、
「打音、打音、打音、打音」
体の内部にダメージがいく、血が口から出てくる、痛い、体中が出血を起こし、そして攻撃をくらう、何度も何度も、抵抗する隙も無い、でも
「そこで止まってくれ『嫉妬』してしまう」
また出てきた、今回は俺の意識ももっている
「何しに来た?」
「手助けさ、それとも今回も要らなかったかい?」
まだ要らない、まだ全力を出させていないから、まだだ、まだこいつには追いついてねえ、本気を出させるまで追い込んで無い!
「まだだ、まだ俺は刀を持つ力がある、まだ戦う力はある、だからまだ『自分だけで戦わせてくれ!』」
自分1人であいつの領域までたどり着いてやる、7人の力を借りずに1人で、でも独りでは無い。
「でも俺が本当にお前達が必要になったら呼ぶ、それまで待っててくれ」
と言うと「はあ」と呆れられた
「君のその執着心は本当に強欲だね、もしかしたらあのビッチを越してるかもね」
「はっ! 魔女より酷い強欲って俺らしいな」
と言って少し笑う、余裕が見えてきた。
「任せたよ」
「ああ、お前にも任されたぜ!」
その歩みを俺は止めない、限界なんてとっくに越している、死力ってもんがあるならそれも尽くしてるだろ、そして体の内外のどっちも出血わ起こして骨が折れる、もう歩くのが限界ってくらい傷ついている。
でもな、どれだけ傷ついてもこの歩みは止めねえよ、刀を握って俺はそう誓う、そしてここから俺は一歩も
「逃げねえぜ!」
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「あいつのその歩みに意味があるのか?」
どこからがそのような囁きが聞こえる、観客が言ったものではない俺ものだろ、そんな気持ちがある自分を叱ってやりたい、あいつのその歩みに意味があるかないか、ある以外ない、その意味っていうのは俺を倒すことだろ
「だから苦手なんだよお前と戦うのが」
俺は奥歯を噛み締めてハルに向かうそして
「音武装、切りの型」
ハルは俺を見ている、さっきまで俺が連続で攻撃をしていてる時はあれだけ死んでいる目をしていたのに何で、何で
「そんな生きてる目が出来るんだよ!」
俺は切る、だが防がれる、そして
「うぉぉぉぉぉ!」
そのまま投げ飛ばされる、俺は着地には成功したが明確な隙を作ってしまった、ハルはすぐに俺の元に来て俺を切る
「っ! 『音壁』」
音で壁を作るが一撃で切られる、そしてそのままハルの連撃が始まった。
左、右、左、右、左斜め下から、どこからでも縦横無尽に来る、2本で捌いているが限界がある、無呼吸運動、きつい、俺は
「音速」
で距離をとる、でも距離をとったと思った瞬間に、喉元に刀が来ていた。
「うわぁぁぁ」
俺は必死で避ける、でも体制が悪い少し時間を作りたい、俺は魔法を唱える
「氷柱、氷塊、『氷龍の咆哮』 『1音 氷音』」
魔法の攻撃が繰り出されるが全て
「魔食い!」
これで攻撃がくらわない、そして少しだけ時間を稼げたので「音速」で間合いを置く。
「やるじゃねえかハル」
「⋯⋯」
「半分意識飛んでるな、まあいい、よくやってくれたな本当に4割も力を使ったぜ」
ハルはなお反応しない、でも少しあっちもスパンを置く、次でハルも決めに来る。
だから俺はそんなになるまで、ここまで戦ってくれたハルに敬意を表す。
「ハル、すげーよやっぱお前は、俺をここまで追い込んで、そしてここまで登りつめて、本当にすげーよ」
「でもな、ここからはお前も見たことが無い本当に次元が違うレベルだ、ハル、ここまで俺に対して死力を尽くしてきたお前に敬意を表して使うぜ」
さあ最終ラウンドだ、ここからは未知の領域だぜ。
さて次回、志龍対ハル戦が終わります、最後まで戦い抜き勝ち残るのはどちらか?!
では次回までドロン!