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第1章 第23話 ルーベル学園祭編 変わらない意地っ張り同士

いつも見てくださっている皆さんには本当に感謝しております。

 初めて志龍とあった日のことはよく覚えている。


「あの時は俺なーんかよくわかんなかったけど荒れてたな」


 今でも思い出す、この学校に入学をした時、大体の奴は相手もしていなかった、カスの集まりどうせ死線を超えたことなんてないやつの集まりなんだと、そう思っていた。

 喧嘩もした、俺は思いっきり傷をついていた、全部プレアのためを思って、俺が背中に全ての傷を負う、そう決めていた。

 その事で俺は何回もプレアとぶつかったりもしていた、その時に俺はあいつと出会った。

 俺はあいつには聞いた


「お前は死線を超えたことがあるか?」


「ねえよ」


「そっかそうだよな」


 やっぱりこいつでも超えたことがない、ならどうだっていい人を殺すなんて出来ないんだからな。


「逆に聞くぞ、お前はあんのか?」


 愚問だと思った、


「ある、俺はずっと人を殺してきた、そして何度も死線を乗り越えて生きてきた、それだから今の俺がある」


 俺は自信げに答えたんだろな、でもそれを見て志龍は一言


「お前それ本気でかっこいいって思ってんだったらダサいしウザイ」


 と言われた、俺は切れた、何もわかっちゃいねえやつにそんなこと言われて腹が立ったし、俺が過ごしてきた今までを全て否定されたように思った。


 そして俺は放課後、志龍と喧嘩をした。

 近くの空き地に呼び出して殴りかかった、志龍はそれをいとも簡単に避けていた、何度も俺は殴る、でもそれを全て避けられる、10分くらい俺は打ち込んだだろ、全部避けられた、そして


「もう終わりなのか? お前のいう死線ってのは?」


 それを言われて俺はもう1度


「うらぁぁぁぁ!」


 と殴りかかるが避けられて腹を一発蹴られる、鈍い音と共に酷い痛みが来た。

 痛みには慣れていた、いろんな痛みにあっていたからだ、それにこの世で一番痛い痛み『心の傷』を味わったことがあるからだ、それに比べたらこんな痛み痛くもなんともない。

 でも怖い、何でか分からないが怖い、あいつが怖い今まで戦ったやつの数千倍は怖かった、人を殺して無いのに何であんな目が出来るんだ?


「教えといてやるよ」


「何?」


「死線を超えるとか俺にとってはどうだっていい事だ、俺は今も死を超える痛みと戦ってるしお前が俺に抱いている何千倍もの恐怖をいつも抱いている、だから言わせてもらおう」


 そして志龍は俺を見下すようにして


「死線がどうした? それを乗り越えたお前はすげえよ、でもなそれを周囲に撒き散らしたらダメだ、その自信というかそんなものを、心にしまえ、今ボロっカスにやられてもいいじゃん、たった一人を守った事実があればそれは今も昔も変わらない事実として残るんだから、それをな周囲に撒き散らしてる今のお前は本当にかっこ悪いぜ」


 そう言って志龍は立ち去った。

 意地っ張り、その言葉が頭にまず浮かんできた、そっかー俺は今までずっと意地張ってきたんだな、と思うと自分のことが


「だせぇな」


 意地張って生きるってのも大切だけど過去のことをうじうじと女々しく意地張っていたんだと思うと本当に恥ずかしくなる。

 そっからだな、俺は少しずつ少しずつ、みんなと打ち解けていって、俺自身のいじられスキルと面白さを生かして、そうしていたらいつの間にか俺の周りには人が集まっていた、それに気がついた時は俺は集まってくれているみんなに感謝をしていた。

 志龍を見るといつも1人で寝ているらしいのでいつも耳元で


「おーい起きろ氷のコミュ障」


 と言うと聞いているらしくいっつも寝技を決められて俺が悶え苦しむ、


「ギブ! ギブ!」


「え? ギブソン? そんな人ここにはいないぜ」


「だからギブアップ!」


「え? 四苦八苦? その気持ちわかるよ、この体制持ち込まれたらそりゃー四苦八苦してまうよな」


「分かってんだったら離せ! もう限界ギブだよ!」


「しゃーねーな、おいお前ら、こいつ押さえろ、今からくすぐりの刑だ」


 と言って悪ガキみたいな顔をしてみんなで俺をくすぐる、


「お、おい本当にやめ⋯⋯ひゃめてくれぇぇぇ」


「やめねーよ! まだまだこれからだぜ!」


「おう! その通りだぜ!」


「そうなのですよー、ほーらこちょこちょ」


 ん? 聞きなれた声がしたぞ、見るとプレアが足をくすぐっていた


「おいプレア! お前そこはダメだ!」


「嫌なのですよー」


 楽しそうにプレアは俺をくすぐっている、この頃になるとプレアもみんなと溶け込んでおり、美穂とは凄く仲がよくていっつもそばに居ていた。

 そーやってみんなと笑いあっていた日々が今も続いている。


 でも今日は違う、志龍にはいっつも喧嘩で負かされていた、その度に俺は鍛えていた、いつしか俺も志龍と喧嘩をすることは無くなった、それは今日の為だ、今日ここで俺は志龍に勝つそう決めた、その為に本当にきつい練習を積んできた、今までに経験をしたことがないくらいの地獄を見るくらい練習をしてきた。

 でもそれですらあの記憶には適わない、でもそのお陰で俺は何も怖くなくなった、もう怖気つかない、そう決めた。


 ────────────────────────


 王者と呼ばれた、俺には疑問があった、何故俺が王者なのか、確かに俺は強いのだろ、でもそれだけで俺は王者じゃ無い、ただのと言えば違うが、一般人と変わらない、ただの高校生だ。


 ハルが俺とあった初めての日は覚えている、俺にいきなり意味がわからない質問をしてきたので、「なんだこいつ?」と思いながらも答えた。

 そしたらあいつは今までにないくらい俺を見下してきた、それを見て俺は「何だこの意地っ張りは?」と思って本気でかっこ悪いと思った。


 その後に俺は呼び出された、喧嘩でもする気なのだろ、そこで俺はこいつの超えた「死線」ってやつを体験したかった。

 拳は確かに重たそうだった、実際には受けていないがその速度とかを見ていると本当に重たそうだった、誰かを守るために身につけた力なのだろ、そこは俺も素直に賞賛した、でも俺もそのくらい持っている、誰かを守る力、そんなものとっくの昔に持ち合わせている。

 そして10分ほどかな、段々と鈍くなってきた、そこで俺は聞いた


「もう終わりなのか? お前が言う死線ってのは?」


 こいつが言う死線ってのは10分やそこらで終わるものかと思うとさっきまで持っていた体験したいって気持ちが馬鹿らしくなってきた、するとハルがまた俺にかかってきた、それを俺は避けて腹に蹴りを入れる。

 あいつは立ち上がろうとしたが俺の目を見て恐怖を覚えたらしい、なんだよそれ。


 場数を踏んで来たとかどうでもいい、あいつが持つ痛みよりこっちはもっと痛いものを持っている、何もわからないって言う恐怖に毎日襲われている、理性が崩壊しそうな痛みと恐怖に襲われている俺からしたら、そんなものどうでもいい、死より怖いものを味わっているからな。


 その後に俺はアドバイスみたいなのを言って帰った、傷一つ無く完膚なきまでに叩きのめして俺達の最初の喧嘩は終わった。


 その後ハルは変わった、意地っ張りなものを無くして少しずつ、少しずつみんなと近づいて行った、いつの間にかあいつの周りには人が集まるようになっていた、少し羨ましかったよ。


 まあ今はそんな事どうでもいい、懐かしい思い出とかそんなもの持ってあいつと戦ってみろ、刀で真っ二つにされてしまう、あいつに対する有効打は加護と体術、魔法はほとんど使えない。

 あいつとは1時期めっちゃ喧嘩をしていた、本当にずっとずっとしていた、でもいつの間にか喧嘩はしなくなった、大人になったとかそーいうもんじゃない、見せたくないんだ、あいつが俺に勝てる必殺技みたいなものを、そして今日あいつは俺を本気で倒すというより殺しにかかるだろう、それに俺も答えなくてはならない。


 試合前にハルと会った、あまり意識せず通り過ぎる時に俺は


「必ず勝つぞ」


 と言うと「へっ」と笑って


「その玉座に座っとけ、取ってやるよその絶対王者の名を本気で潰してやるよお前を」


 それぞれが決意と覚悟を持っていた、勝つ決意、負けない覚悟、意地っ張りであり負けず嫌いな俺達が持つシンプルで単純、でもとてつもなく重い決意と覚悟だ。


 美穂との打ち合いを終えた後に美穂が


「男子って変わらないねー」


「なんだその女子が言う典型的な発言は」


「いやーなんだかんだいって志龍とハルってどっちも意地っ張りだなーって思ってさ」


「昔からそーだったもん、負けず嫌いでいっつも喧嘩して、志龍が勝ってハルが負けてずーっとお互いがお互い意地張ってそして今に至る、なーんか変わんないねー」


 と言って美穂は「クスクス」と笑う、振り返ってみるとそうなのかもな、変な意地を持ってるどうし意地張って喧嘩して、それを繰り返して、変わんねーな、そう思うと俺も笑えてきた。


「確かに変わんねーな」


「でしょ、変わったのはその身長と馬鹿さが少し増したことくらいかな」


 酷いな相変わらず、なーんだ美穂も変わってねーな、みんなそうだ、昔と今で変わってるって言われても根本は何も変わらない、俺とハルの意地っ張りって所も変わらない、そして今、その意地っ張り2人がまた昔のように戦うって訳だ、なんか運命みたいだな、気持ち悪いけど。


「馬鹿で意地っ張り2人が戦う、面白いな」


「私もそう思うよ」


 でもな


「その中で一番の馬鹿が勝ってやるよ」


「話飛んでるけど大丈夫? まあ心配はあんましてないけどね」


 そう言って美穂は背中を叩こうとする、俺は止めさせる


「会場に入る前にやってくれそれは」


 と言うと


「おーけー、思いっきりもみじ作ってあげるわ!」


 いやそれは勘弁してくれ、割とまじで美穂の平手は痛い。

 そう思っているともうそろそろ時間だ


「それじゃいくか」


「勝ってよね」


「任せろ、馬鹿No.1の俺が負けるわけがない」


 さあ俺は戦うってなったら王者になるって決めている、え? さっきと言ってることがなんか違うって? そーいうの気にしたら負けだ。

 俺は会場に向かう。


 ────────────────────────


 もうすぐだ、試合前、アップを完了した俺は柔軟をしていた、体はなるべく動かしておきたい、でもあまり激しいのはもうこの時間からはいらないという時に俺は柔軟をやる。


「もうすぐなのですねー」


 プレアが横で声をかけてくれる、俺は


「そうだな、へっ、馬鹿の最強でも決めんのかなこの試合は」


「そうなのですよー」


 おーいそこは否定してくれ、


「馬鹿で変わらない2人、それがハルと志龍なのですよー」


 言われてみると俺達ってほんと変わってないな、何もかも笑っしてうほどに何も変わらない、でも今日変わるものが1つある


「勝ってやるよ志龍お前に」


「信じてるのですよー」


 変わらない喧嘩っ早い2人で親友同士、でもお互いこいつには負けたくない、そう思っている、それでもいつも志龍は俺の百歩先を歩んでいた、羨ましいくらいに、俺も努力をした、でもあいつはまたその先に、ずっと先にいた、勝てるイメージなんて無かった、でも今ならある、百歩先にいたあいつがスグそこにいる気がする、だから勝つ、それが今の俺の意地だ。


 ────────────────────────


 スタジアムの入口の前に立つ、ハルは向こうから入場してくる、ハルは俺を見て、俺はハルを見て


「「勝つぜ絶対!」」


 そして


「では選手の入場です!」


 お互いをずっと見てくれていて、俺達が守るべきだと思ってる彼女からの


「「勝てよ(なのですよー)!」」


 2人の思いを背中いっぱいに感じて、俺達は歩く、一番初めに喧嘩をした時のようにゆっくりと俺たち2人が近づいていく、そして着く。


「ではルールは準決勝と同じ、いいね」


「はい」


「うっす」


「それじゃ精一杯戦ってくれ、君達の戦いは期待をしているよ」


 もう俺達に笑は無い、ただ勝つための闘志が燃えていて笑はその火に焼かれた。


「では位置について」


 少し離れて位置につく、そして


「では」


 意地っ張り同士の喧嘩が始まる


「初め!」


 撥と刀がぶつかる、これが俺達にとっての開戦の合図になった。


 ────志龍対晴人────

さて、似たもの同士の試合が始まりました! 本当に私自身この戦いのイメージをしたら興奮が収まりません!

2人とも育った境遇は違えども負けず嫌いって所と意地っ張りって所が本当に似ていてなんかいいなーって感じがしてたまりません笑

さて次回から本格的なバトルが始まります!

今回も見てくださって本当にありがとうございます!

では次回までドロン!

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