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第1章 第19話 ルーベル学園祭編 究極の1と究極の数

いつも見てくださっている皆さんには本当に感謝しております。

これからもよろしくお願いします。

右に、左に、正面から、後ろから、多方向から剣や武器が来る。

 足から下の攻撃は避け、上半身の攻撃は刀で捌き、それを繰り返している。


 全くを持って攻撃ができねぇ、なんだよこれやばすぎだろ。


「無駄なのですよーハル、まだまだストックはあるのですよー、そして使った武器は回収をするのです」


 地面に落ちた武器はすぐに地面からプレアの元へ戻ってくる、実質無限に攻撃ができるという状況だ。


「本当に攻撃がっ! 出来ねえよおい!」


 隙はなるべく作らないようにしているがこれだけの攻撃をされてしまっては⋯⋯っ! やばい後ろから!


「うぉぉぉっ!」


 槍が後ろから俺を貫こうと猛スピードで迫ってくるのを俺は受け止めた


「っ! なんだよこれ重すぎるだろ一撃がっ!」


 弾いたがすぐにプレアの元に戻ってきた。


「今のはなんだよプレア⋯⋯」


「ハルも聞いたことはあると思うのですよ『心臓を討つ(ゲイボルグ)』なのですよ」


 ゲイボルグ、かつてクーフーリンが使っていたという必ず対象の心臓を討つという槍だ、厄介なもんまで持ってんなプレアは。


「油断はよくないのですよ」


 その後もまたすぐに攻撃を開始してきた、四方八方から槍やら剣やらなんやらいっぱい射出され俺に向かってくる。

 俺はそれを捌いているが、全部を捌けなんて言われても無理だ、足に2回、脇腹、顔にかすり傷が数カ所できる。


「もう終わりなのですかハル?」


「まだだぜプレア!」


 俺は安易な挑発に乗りプレアに突進する勢いで走っていく。


「だから成長しないのですよハル」


 横にプレアが移動する、するとそこには1つの大きな剣があった。


「ゲームオーバーですよ」


 さっきまで飛んできた武器とは比べ物にならないくらいの速さで来た、もう少しで俺は体を貫かれる、そう直感した、だが脳か、はたまたこれは幾度と無い戦闘での経験かどこからとも無く声がした。


「左だ」


 俺は声を信じて左に避ける、俺は辛うじて避けることが出来た。

 だが剣は魔法障壁をもう少しで壊すところだった。


「あっぶねーあんなの当たったら一溜りもねえよ」


 冷や汗を俺はかいているがプレアと言うと


「ちっ、もうちょっとだったのですよー」


 口は笑っているが目は本気で俺を殺る気だ、これがさっきまで仲良くしてたやつの目かよとは思っていたが、俺と相対するんだ仕方が無いだろと思った。


 今の所俺とプレアの戦績は俺の10試合 10勝 0敗と俺の全勝、だがここで勝たなければ意味がない、それは俺もプレアも分かっている、人に勝敗を見てもらって初めて決まる、俺達はそう思っているからだ。


 とは言ってもこれは少しやばいな、


「私達を使うかい?」


 どこからが声がした、まだだ、これは俺とプレアの勝負だ、まだ手は出すな。


「分かったよ、でも程々にね」


 と注意を受けた。


「さてプレア、俺は少しお前を見くびってたよ」


「それはウザイのですよー」


「だよな、俺もそう思うぜ、だからな」


「こっからは俺も本気出すぜ」


 俺は1度息を大きく吸う、そして吐く⋯⋯⋯⋯いくぞ。


「黒」


 刀に黒を纏わせる、黒刀であった刀はまるで漆を塗ったように艶を持ち、ある1種の妖憐さを持ち合わせる漆黒の黒刀となった。


「さてプレア、こっからは俺も割とまじでっつーか本気だ、覚悟は出来てんだよな?」


「それがどうかしたのですか、いくのですよ武器たち」


 剣が一斉に射出される、俺は捌く、すると剣たちはプレアの元に戻ることは無く俺の刀の中にまさに食べられるように、いや食べられたのだ。


 プレアは驚いていた、そして思い出したかのように俺を睨んで


「油断をしたのですよ」


「油断はよくないぜプレア」


「それは私にとって1番嫌いな技なのですよー」


「だろうな、お前も『剣食い』は流石に堪えるだろ」


 そう俺が使った技は剣食いだ、剣と俺は限定した名前をつけているが実際にはそこまで限定されず殆どの武器を食べる。


 数で勝る敵にはどう戦うか、師匠に教えられた、


「究極の1を作れ、相手が億の武器を持ってるならそれを超える1を、兆を超える武器を持ってるならそれを超える1を作れ、そして頂に至れ、さすれば究極の1を作れるだろ」


 これが俺の究極の1だ、相手が億を持つものでも、兆を持つものでも、無量大数を持つものでも、俺は超えられねえ、それが俺の剣道だからだ。


「じゃあいくぜプレア!」


「どうぞいつでもなのですよー」


 俺は向かう、最愛の相手であるプレアに、その剣の在処を示しに、その覚悟を示しに向かう。

 プレアは攻撃スタイルを変えない、これが彼女なりの覚悟なのだろ、だがな、通用しないぜそれは。


「おらぁ!」


 四方八方から来る武器は次々と食べられていく、まるで好きなものを好きなだけ食べろと言われた子供のように、次々と食らう。

 その間にも俺は向かう、全力で走り彼女の元へ駆けつけるように。


「これならどうなのですよー『氷塊』」


 大きな氷の塊が何十個も俺に向かってくる、俺は刀から左手を離し左手で黒色のドロッとしたなんとも言えない物質を作り出す。


「『魔食い』」


 その名の通り魔法を食らう魔術だ、次々と魔法は黒に覆われて食われていく、ブラックホール見たく、何かを吸収する様に、そして氷塊は全て食べられた。


「本当に厄介なのですよ⋯⋯」


 苦虫を噛み潰したような顔をしていた、


「隙だらけだぜプレア!」


 もうあと少し、あと少しで届く、この刀が間合いに入るその寸前、


「だから出し惜しみはしないのです」


 新たなる槍を出してきた、槍でも形状は三鈷杵のように3つに割れた炎の槍だ。

 そこで俺は直感してすぐに間合いから離れた、嫌な汗が出る、これは1番やばいとそう直感した。


「おいプレア、一応聞くがそれはなんだ」


「ローマ神話、かつてゼウスが使っていた武器の中で最強を誇る槍」


 もうここまで聞いたら分かる、最強の槍、キュクロプス達が作り上げたテュポンに対抗する、そうその名は


「雷霆なのですよ」


 ここに来て更に危ない武器が来るのかよ。




 雷霆、ローマ神話にて全宇宙統一をしたゼウスの最強武器である。

 ゼウスが投げたその威力は凄まじい閃光と共に、世界を一撃で破壊し、宇宙すら破壊するといわれた。

 そんな危険極まりない武器がこの目の前にあるってどうなのよ、


「一撃で世界を破壊することが出来る雷霆、とは言っても私はそこまでの威力は出せないのですよー」


 といい「でも」と置いて


「ハルを殺すくらいなら出来るのですよ」


 射出用の魔力がその一点に溜まってきている、普段の武器ではあまり魔力は使用しないが、決めてという時には魔力を使ってスピードと威力を上げる。

 プレアは1呼吸おいて、


「いくのですよ」


「さあこいよ、ローマ神話最強よ」


 俺は答える、そして上段の構えをする、この一撃にかける。


「雷霆」


 物凄い勢いで俺に向かってくる、その時俺は何故かとても落ち着いていた、何故だろう? 俺にもわからない、圧倒的実力差か? それとも気が狂ったのか? 俺自身何が起こっているのか分からない、でもただ一つこの思いがあった。


「この一撃を超える」


 これだけを思い、魔力を刀と腕に集める。


「『黒刀、一豪覇』」


 振り下ろされた刀は空気を裂き、その魔力とともに斬撃として放たれた、その威力はあの槍をも超える凄まじい勢いでこの地を駆けている。

 そして衝突をする、その時に生じたエネルギーはこの闘技場の魔法障壁を壊し、観客はすぐに避難する所になったらしい、凄まじいものだった。

 だが俺とプレアはその場に立っていた、この勝負を見届けるためか、否、この勝負を見届けなければならないからだ、その為には吹き飛ばされてはいけない、そう思ったのだ。

 そして衝突して数秒、俺達にはその一秒一秒が長く感じた、勝負は互角という結末に至り、そのエネルギーの爆発によって流石に俺とプレアは吹き飛ばされた。



 世界が光に包まれ私は吹き飛ばされた、そして数十秒位そこで倒れていた、立ち上がると煙でよく見えないがハルが向こうの壁で倒れている、チャンスだ、これでハルに勝てる、もちろん急所は外してでも戦えないようにしよう。

 思えばいつもハルに負かされていた、やっと勝てる、そう思うと達成感と優越感が芽生えてきた、でもまだ勝っていない。

 私は慎重に狙いを定めて


「終わりなのですよハル!」


 射出する、少し時間がかかる、でももう少し、もう少しだ、ハルの腹に剣がささ────。


「だめだその攻撃は僕が許さないし『嫉妬』するよ」


 剣がその場、いや世界から、ただ一つの嫉妬だけで消された。

 私は少し怒った


「勝負に水を差すのですか『嫉妬の魔女』!」


「いや水を差す訳では無い、むしろここまで私がよく耐えてたものだよ、彼と君との攻防に嫉妬していたのだからね」


 ただ嫉妬という感情だけで現れた世界に名を残す最強の魔女の1角『嫉妬の魔女 アメジスト』。


 かつて自分の嫉妬という感情一つで世界の秩序まで変えられる能力を持ち合わせ、七つの大罪の1人として名を残した魔女と疎まれる存在だ。


「さて君に1つ提案をしよう」


「無駄なのですよ! いけ武器達!」


 武器を準備してアメジストを倒そうと思っていたが


「無理だその武器はこの世界からは出てこない、そう『嫉妬』したのだからね」


 武器が出てこなくなった、これでは丸腰で挑まなければならない、ほとんど勝ち目は無い。


「提案を呑んでくれればそれでいい」


 話だけ聞いてみる


「提案って何なのですか?」


「いいね、話がスムーズにいくよ、提案は『君がこの戦いで負けを認める』それだけでいい」


 私は本当に切れた、頭の中で何かスイッチが入った感覚がした。


「ふざけるな!」


 私は氷で作れる武器を何千個も作り彼女に突っ込む、


「魔法はまあ消えてくれ、さもないと『嫉妬』するよ」


 と言うと武器は全て消えてなくなった、そして


「君には消えるのはちょっとハルに可哀想だ、だから止まれ『抑止力』」


 見えない何かに捕まった、そして身動きが取れなくなった。

 アメジストを見ると呆れた顔になって


「少し君には呆れたよ、急な要求ではあったけどいきなりはないだろ」


「ふざけるななのですよ! 私達の戦いに水を差した、そして戦いを放棄しろと、無理なのですよ」


 荒い口調で言う、彼女を見ると一度ため息をついて


「要求は呑んでくれないと、なら仕方がない」


「壊れない程度に壊してあげよう、私の『嫉妬』で」


 圧倒的な威圧感、そして恐怖、これが七つの大罪、これは次元か違う、私達が戦っていたものとはレベルも土俵も違う。


「っ!」


「じゃあ覚悟してね」


 臨戦状態に入る、アメジストが動きだ⋯⋯さない、何故だ? 動きを止めた。


「すんな」


 聞きなれた声がする


「邪魔すんなアメジスト!」


 ハルが目を覚ました。



「少し早いね目覚めるのが」


「当たり前だ⋯⋯まだ俺とプレアの戦いは終わってないんだからな」


 疲労が蓄積されているのがわかる、息も荒い、もう立っているだけでも凄いくらいだ。


「でももう君は戦えない」


「まだやれる」


「無理だ」


「っせーな! 出来るんだよまだ、俺はまだ出来る! 信じろ、ここで終わっちゃあいつにも面子が立たねえ」


 もうハルに戦う力は無い、なら何がこんなに彼を支えているのか、それはただ一つ折れない精神力だ、それだけで地面に足をつけて立ち、そして私と戦おうとする。


「いいのかい?」


「当たり前だ」


「負けるかもよ」


「負けねえよ、その為に俺は立ってんだよこの場所に」


 と言うとまたため息をついて


「なら任せるよ、全く君の意地には呆れを通り越しそうだよ」


 と言うとアメジストは意識の深層部に戻っていった。


「さてプレア」


 ハルの声がする、どちらも察している


「これが最後の戦いだ」


 実をいうともう私にも殆ど体力は残っていない、そしてハルもだ。


「最後の力使うぜ」


「私もなのですよ」


 恨みっこなしただ単純な最終決戦が始まる、でもこの戦いはものの数十秒で決まるだろ、その数十秒に全てをかける。


「いくぜ」


「いくのですよ」


 ハルがスタートを切る、それと同時に私も武器を射出する。


「っ!?」


 驚くことが今目の前で起こっている、ハルは私の四方八方から来る攻撃を全て避けている、前に来ながら全て避ける、避ける、避ける、避ける、対応して、読んで、それを繰り返している、その間にも距離は詰められていく、やばい、そう私は確信した。


「これで終わりなのですよ『ゲイボルグ』!」


 心を打ち抜く槍が放たれた、勢いを増してハルに迫っていく、ハルはその槍を


「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


 1振りでその槍を倒した。

 本当にやばい、奥の手を使うしか無い、雷霆を呼びだ────


「俺の⋯⋯勝ち⋯⋯だ」


 刀が私の首にかけられている、もうこれでは勝ち目はない、私もそう悟ったので


「降参なのです」


 勝負がついた


「勝負あり! 勝者 桐太刀晴人!」


 いつの間にか会場には人が戻っており我々の戦いに盛り上がっていた、そして私とハルはその場で力を使い果たしたので倒れた。

さてプレアとハル戦が終わったのでこれからは志龍視点でまた書き始めます!

今回も見てくださってありがとうございます!

では次回までドロン!

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