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3SGM~三分間のスーパーガードマン~  作者: 絶対に斬れない刃
着任。新生活に燃ゆる警備員。
1/12

プロローグ

20XX年。異能を扱える異能者が多くなった「世界」。そんな「世界」で、異能を扱えない一般人を守るため、異能者の犯罪者から守るため、異能者に「首輪」を付けた政府公認の「首輪つき」がいる警備会社が立ち上がる。「これ」はそんな「首輪つき」の異能力者と一般人と機械が織り成す物語。


三分間のメタルウルフ(仮)









プロローグ











20XX年、近いであろう未来のある日。

黒色に全身を包んだ男はヘルメットのアイガードのバイザーを開けて、前方を確認する。

片耳に入れてあるイヤホンから声が聞こえる。

『しかし、部長。「例の」警備会社、仕事やってくれるんですか?』

『さてな。だが、やってくれると信じるしかあるまい。俺達は頼んだんだ。』

『ですが。』

『それ、話は終わりだ。』

部長と呼ばれた年が上だと思われる男性の声を合図に二人の会話は終わる。

それを聞いて、完全防備の男は、息を吐く。

やれやれ、困ったものだ。

とある年代、いや、とある日を境に使えるようになった異能力、それを扱える人種が急増した。

今や何かしらの異能を多くの人間が持っている、そんな世の中になっている。

話をしていた二人とも何かしらの能力を持っているだろうし、二人の話を聞いていた黒ずくめの完全防備のこの男も異能を持っている。

今はそういう世なのだ。

そう。

異能を用いて、会社を襲い、力を振るう無法者、「首輪なし」の連中が犯罪を犯す犯罪者集団になってしまった「ヘルズドッグ」と名乗る集団が現れるようになった今では。

おかげさまで、異能力者、「首輪なし」の多くがそういう犯罪者のように見られるようになってしまった。

困ったものだ、と男は呑気に考える。

異能力対策一課などの異能に対抗する警察官。

彼らに助けを求めるのではなく、男の様な警備員姿の連中がいる警備会社に仕事として依頼し、会社員に仕事を斡旋する。

奇妙なものではある。

だが、日本政府公認の異能力者集団、「首輪つき」の集団がいるのもまた事実。

そういう「首輪つき」に「首輪なし」から一般人を守るという警備の仕事だ。

男が勤めている会社はそうした異能力者、「首輪つき」の会社である。

「首輪」と言っても、簡単に外れてしまう「首輪」である。それを外そうが外さないかは、個人の自由であり、「首輪つき」も「首輪なし」も大しては変わらない。

完全防備の警備姿といっても、簡単に「消える」ものだ。単に生きる時間が、身体が「ある時間」が延びるだけでしかない。

そうなると、男のこの格好も大して効果はない。

困ったものだ。

やれやれ、と男は思う。

「参った、参った。」

『仕事中だぞ。分かってるのか、鉄。』

「あー、分かってますよ。」

『ほんとかよ?』

「『ヘルズドッグ』が動くか動かないか、判断するのは、我らが『インズ・ガード』の社長、紅茜社長のご判断であります、サー。」

『紅社長に怒られるぞ。』

「いつもみたいに『手加減』してくれると嬉しいんですがね。」

『「それ」は分かってても言わない。それに「それ」が社長の愛情だ。お前も知ってるだろうが。』

「イエス、サー。」

男は、鉄龍也は、空を仰ぐ。

夕闇に彩られ、あと数時間、数十分もすれば暗闇に染まり、闇が支配する時間、夜になる。

「一般」の「ただ」の警備会社が無法者の、「首輪なし」の犯罪者集団、「ヘルズドッグ」に遅れをとるか、そう訊かれたなら、とってしまうだろうなと答えてしまうであろう。

だが、鉄たちの警備会社は日本政府のお墨付きという立派な「首輪」をつけられた「首輪つき」である。

「首輪つき」が「首輪なし」に遅れをとるということはあまり考えられない。

勝つか負けるか、そういう次元ではない。

生きるか死ぬか、その二つの選択の話だ。

龍也はヘルメットのアイガードを、バイザーを下ろす。

ヒュォーン、とどこかで「なにか」が飛んでいった音が聞こえる。

「遅くないか、ツヴァイ?いや、アインス?」

「ja。申し訳ありません。『準備』に手間取りまして。」

龍也が誰かに問うかのように独り言を言った様な言葉に何処から現れたのか、短く切り揃われた白く蒼い色の髪を揺らしながら、メイド服姿の女性が現れる。

「『準備』、ねぇ?警察とか出てこない『平和』なことだろうな?」

その女性の言葉に、龍也は疑問をぶつける。

「おそらく。」

「メイビーとかって言うなよ?『うち』は警察とよくぶつかってるんだ。紅社長に怒られるの、俺なんだぜ?」

「あー、大丈夫、大丈夫。『その時』は『その時』だよ。」

アインスの背後からひょこと顔を出すもう一人の女性。アインスの様に白く蒼い色の髪を揺らしているが、アインスと違うところがある。長く伸ばした髪を後ろで三つ編みにしており、アインスの冷たい氷を思わせるような無表情ではなく、明るい活発な表情をしている。その女性もアインスと同じくメイド服なのだが。

「ツヴァイ。『その時』って言っても、俺が当たることに変わりねーだろうが。」

「そうですよ、ツヴァイ。」

「そうかな?」

「それに、だ。お前らの管理を任させるの、俺に変わりないだろうが。」

「ja。申し訳ありません、『マスター』。」

「ja。そう言われたらそうだね。ごめん、『マスター』。」

「あー、分かればいい。分かれば、だが。」

ツヴァイと呼ばれた女性にも言い聞かせるようにアインスは言い、龍也は二人の言葉にほんとに分かったのか?と疑問に思いながら、状況を整理する。

アインスとツヴァイの二人に合流する前に、まだ建物に残っている人の声が聞こえた。

それに、会社の先輩とも連絡が取れた。

一般企業を襲うにしても、能力持ちの一般人に政府から「首輪」を掛けられた「首輪つき」の警備員がいる。

そう簡単には突破はされないはずだ。

それに、アインスとツヴァイの二人がここにいる。

突破されたのであれば、ここで呑気に話をしてはいないはずだ。

ならば。

と龍也は現実に思考を戻す。

「そういえば。」

龍也に気付いたアインスが言葉を龍也に投げる。

「同業者の、もうお一方の姿が御座いませんでしたが、お話なされたので?」

「紅社長にも言ってないんだぞ。・・・・・・・・言ってないが?」

「ja。なるほど。であれば、現状不利と判断します。」

「どういうことだ?」

「そうだよ。どういうことなの、姉さん?」

「ja。簡単に言うなれば。」

二人の疑問にアインスは一度言葉を切る。

「そういうことです。」

「・・・・・・・・これは驚いた。一般企業の護衛なりに警備会社が二人以上の人材を派遣するのは、知ってたが、まさか、先日暴走した『不良品』が二体いるとは。」

「なにっ!?」

アインスの言葉にどういうことだ、と同じ質問を訊こうとした時に、アインスの背後から『なにか』がドサッと投げ落とされる。正面に落ちた『それ』は龍也の姿に似た様な格好をしている・・・・・。

「先輩っ!?」

「ふん。『それ』は容易に相手できたが。いや、相手にもならなかったか。だが、『不良品』が一体ならず二体とは。」

「『不良品』、ね。『不良品』・・・・・・・そうかもしれないね、姉さん?」

「ja。ですね。確かに『不良品』かもしれません。ですが。」

新たに現れた男の言葉にツヴァイとアインスは言葉を言う。

その声の調子を聞いて龍也はあっこれやべぇと悟った。

「たかが人間が異能を持っているというだけで調子に乗るとは。やれやれ、参りますね。」

「ほんとにね。困っちゃうよ。」

「アインスさん、ツヴァイさん。俺も人間、人間なんだけど。」

「ja。そうでした。」

「ja。でも、『マスター』は『マスター』じゃん。」

「ですね。たまには良いこと言いますね、後継機。」

「えへへ~。姉さんに誉められちゃった。」

どこが?と龍也は心のなかで二人にツッコミをいれる。だが、男は二機に、二人に存在を流されたことに激怒する。

「『不良品』がっ!!調子に乗ってるんじゃねぇ!!!」

ガンッとコンクリートの地面を力強く蹴りつける。

その時、ベゴッと蹴りつけられた箇所が思いきりへこむ。

その様子を見て、龍也は瞬時にパワー系の増強型か純粋なパワータイプのどちらかかと検討付ける。

だが、アインスとツヴァイの二人は特に気にした様子がない。

「で?」

「それだけ?」

それが何であるかと二人は男に問う。

「それがって。ビビらないのか、お前らは。」

「驚きはしますが、恐怖はしませんね。」

「同感。」

うんうん、と二人は頷く。その様子を見て、男は二人がなぜ『不良品』と呼ばれるのか、呼ばれているのか理解する。

龍也は男の反応に気付いてだろうな、と思う。

『不良品』、確かにそうなのかもしれない。

一般向けに作られたはずの戦闘用アンドロイド。一般の、平均的なタイプで表情の変化も可能な一般向けのアンドロイド。

そういう意味では、表情の変化が乏しいアインスと表情の変化が激しいツヴァイ。

一般向けとしては欠点しかないように思うまさに『不良品』としか言いようがない。

そうなのだが、龍也は『不良品』とは決して思わない。むしろ二人は『完成品』であり、『完璧』であるとも思える。

なので、『不良品』とは思えないし、『不良品』だとは言えない。言う必要も言うこともないからだ。

「『ヘルズドッグ』に痛い目あわしてやれ、アインス、ツヴァイ。お前らは『不良品』なんかじゃない。『それ』は俺が知ってる。」

「ja。そのお言葉を聞けまして、恐悦至極。感謝の極みでございます、『マスター』。」

「ja。姉さんの意見と同じ。嬉しいよ、『マスター』。人前で言うのはちょっち恥ずかしいけど。」

「後継機が恥ずかしいと言いますか。姉として涙が出ますね。」

「姉さん。それ、ひどくない?」

「お前らな・・・・・・・・。」

鼓舞させるつもりで言ったのだが、いつもの調子で話し始めた二人に対して龍也はおいおいと言いそうになる。

その様子を見て、『ヘルズドッグ』の男は激昂する。

「てめぇら!!ふざけてんじゃねぇ!!!」

その様子を見て、アインスとツヴァイの二人はキョトンと不思議そうな目を男に向ける。

「ふざける?はて?」

「ふざけてるってさ、姉さん。どこがだろ?」

「ループ、ループしてっからな、現状。話進めようぜ。」

「nine。きっかけは『マスター』かと。」

「たしかに。」

「えっ、俺か?」

アインスの言葉にツヴァイはうんうんと頷くのだが、龍也はそんなことに自覚はない。

その言葉を聞いて男は龍也を指差す。

「思えば、お前だったな。調子のりやがって。」

「どこがだよ。」

「うるせぇ!!くたばりやがれ!!」

男はそう言うと、爪先を地面に差し入れる様に突き刺し、地面を蹴り上げる。

ベギベギッと音を立てながら、捲り上げられるコンクリートを見て、龍也は男の能力を理解する。

恐らくは、自身の力を増強する類いの能力である、と。

そう理解したと同時に蹴り上げられたコンクリート片が龍也に向かってくる。完全防備の警備員服姿の防具といっても弾丸のように打ち出されたコンクリート片を完全に防げるものではない。あくまでも、貫通を防げる程度だ。それもほんの僅か程度でしかない。

銃弾であれば、防げるように作られてる防具ではあるが、銃弾よりも大きく銃弾よりも重いコンクリート片を防げるかどうか。

そこはもう一般用に売られてる防弾耐刃チョッキの防御レベルを信じるしかない。

あっ、これやばいと龍也が考えていたときにはもう時は遅い。遅いのだが、思考ができるということはどういうことか。

「ja。なるほど。『マスター』に私たちが話を振って集中出来ていないと。そう判断して、『これ』ですか。」

アインスの声が龍也の耳に届く。

その瞬間、『なにか』が龍也の目の前に現れ、『それ』にドゴォンとコンクリート片が突き刺さる音が響く。

目の前に現れた『それ』を龍也は見る。

鋼鉄のボディに灰色に胴体を彩られ、両翼の端を蒼く彩られた『それ』は小型、小さい胴体でありながら美しい身体をしている完成された芸術品のような衝撃を周囲に与える、人類が『空』を追い求めた結果に出来たより高く、より速く『飛べる』兵器、戦闘機であった。

「ja。しかし、『これ』が『ヘルズドッグ』の挑戦状、いえ、『戦争』というのであれば、可愛いものですね。」

アインスはつまらなそうに言う。

出現し、龍也の盾になった小型の戦闘機に近い飛行ユニットはゆっくりと体勢を変えるとアインスに寄り添うように、アインスの正面へと身体を浮かし、移動する。

その移動に合わせて、アインスの身体にも変化が現れる。変化といってもそれほどのものではない。腰の両側に更に小型の飛行ユニットが現れ、両サイドに接続された形で固定される。

その瞬間、ツヴァイもアインスと同じ様に姿を変える。

「あーあ、知らないよ?でも、喧嘩売っちゃったのはそっちだかんね?」

「ja。私たちは『マスター』を護る者。『マスター』の命を脅かすモノは排除するのみ。『それ』が『マスター』の、鉄龍也の仕事、いえ、望みとあれば。」

「『マスター』に売った喧嘩を買う。買うのは『マスター』じゃなくて私たち。安く売っても高く買うよ?」

「三倍、いえ、十倍が妥当でしょうか?」

きゅるきゅるとその飛行ユニットから不快な音が聞こえると、『ヘルズドッグ』の男は、ガクガクと口元を揺らす。

「安値で頼みます。」

「「無理。」です。」

男の頼みにアインスたちは瞬時に否定する。

その言葉を聞いて、龍也は。

「あー。警察が出てこない程度でやれよ?」

「ja。『お手柔らか』に、ですね?」

「ja。骨二、三本ね。ラジャラジャ~。」

龍也からの許可が出たことに嬉しく反応する二人に軽く不安に思いながら、龍也は空を仰ぐ。

平和とは混沌と正反対に位置するものだ。

平和って難しいものだな、と龍也は男の悲鳴を遠くで聞いていた。


え~、ということで始まりました、「三分間のメタルウルフ(仮)」。(仮)ということなので、タイトル未定です。ですので、タイトル変更する可能性が微粒子レベルで存在するというレベルではありません。近いうち変更になります。プロローグということは1話もあるわけでして、次回からスタートになります。えっ、今回?雰囲気作り、かな?失踪はたぶんないかと。終わらせたいなー、うん。というわけで、次回に続きます。

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