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009[私が買い物に連れて行かれる]

[私が買い物に連れて行かれる]


私はカーリタースに『日が暮れてしまうぞ』と、揺すり起こされ

半覚醒状態で、カーリタースに優しく手を引かれて

店の前まで連れ出され


・・・立ち止まる・・・


店の前には、都会か教会か別荘地でしか見る事の無い

後部座席に、開閉式の革張りフードの付いた

2頭の馬が牽く、ヴィクトリアと言う種類の高級馬車


メタルホイール&漆黒のハードラバーが目を引く

銀色が光を反射し輝き、光沢のある黒が黒光りする

シックで豪華な4輪中型馬車が鎮座していたのだった。


『坊ちゃぁ~ん!早く乗車して下さぁ~い!』

ラテン系からゴシック系に着替えたコクレアが、帽子に長い髪を隠し

高級馬車の御者席から、私に向かって手を振っている


『えぇ~っと…コレは何?』

『馬車だな』

カーリタースが、温い淀んだ目で馬車を見て笑っている


コノ馬車を何処かからともなく借りてきたのは

カーリタースでは無い御様子だ


勿論・・・

実家は金持ちだが絶縁状態にある、コクレア自身には金が無い為

こう言うのが趣味だからって、コクレアが自腹で

こんな高級な馬車を借りて来る可能性も無いであろう


私はさっきまで、夢現の中・・・

ユーニとカーリタースと時々、コクレアの3人の会話を

寝ながらもちゃんと聴いていたつもりだったのだが

ちょいちょい完全に眠っていたらしい


誰が、誰の為に「高級そうな馬車」を呼んだのか?

何で、何の為に「華美なデザインの馬車」にしたのか?

全くと言って良い程に、私は訳も意味も理解できなかった。


そう、私とカーリタースの目の前には

成金趣味の人が、自己顕示欲を発揮する為に乗る様な・・・

金のある人種の結婚式の時に、経済力に物を言わせ

新郎新婦が、白い花を飾り付けて乗車する様な・・・


そぉ~んな、一般人が普段乗るのに勇気が必要な・・・

乗ると見世物的な感じで、強制的に周囲から注目される

素敵な馬車が鎮座しているのである。


しかも御者は・・・

白い羽飾りと帽子のつばにフリルの付いた、真っ黒な帽子

黒地に金の刺繍が成された、裾に黒いフリルの付いたジャケット

朱色の布地に、真っ赤な花柄が刺繍されたパンツ

黒い革紐で締めつけを調節するタイプのロングブーツを身に付けた

偽巨乳を揺らす、コスプレ仕様のコクレア


『坊ちゃん!見て下さい!素敵でしょ?

ユーニ君の御優しい御友達から制服を譲って貰って

可愛くリメイクしてみました!』と

幼少の頃から相変わらず、セクシー好きを発揮してくれている。


そのコクレアが御者の中型馬車の後席・・・

柔かそうな革張りの座席には、ユーニが座っていて


ユーニは私達を見るや否や、瞳を若草色に変化させ素敵な笑顔で

『フロース!待ってたよ!

さぁ~!花を買いに行って、御墓参りに行こう!』と

私に向かって、大きく楽しげに手を振っていた。


この状態を作り上げた犯人はユーニらしい


心の声は、私の口から零れ落ち

『コレは、何の冗談なのだろうか?』と

私は思わず、カーリタースに訊ねてしまっていた。


『フー…世の中にはな

直視して「考え過ぎない方が良い時」ってのも、あるモノなんだ

そして、きっと今が…

現実逃避をするのに、正しい時期なのだと俺は思う』


カーリタースが私の髪に触れ・・・

寝ている時に、解れて下りて来てしまった遅れ毛を

私の紅茶色の髪に飾られた髪留めの留め具の中に戻してくれる。


私は『ありがと』と

カーリタースに髪を直してくれた事に対しての御礼を言いながら

「うわぁ~…嘘だろ?コレに乗るの?…は…恥いぞぉ~」

馬車の乗るのを私は躊躇していた…の、だが


『頑張れ!こう言う時もあるモノだ!

俺は絶対に何があっても、一緒には乗らないけどな!』と

カーリタースは両手で、私の背中を押してくれた。


カーリタースに、その場から押し出されなければ

馬車に向かって、前に一歩も出られなかったであろうが

「力尽くで押さなくても良くないか?」

私は躓きそうになりながら数歩、前に進んでしまい


ユーニに腕を取られ…次の瞬間には、ユーニの胸に抱き抱えられ

私は軽々と、馬車の上に引っ張り上げられて

ユーニの隣の席へと、ユーニの手によって半ば強引に

座らされてしまっていた。


『カーリタースの言った通りだ

怪我してる時や…一定以上、体調が悪い時は抵抗しないんだな』

ユーニが少し残念そうにクスクス笑う


私はちょっとイラッときて

ユーニの言葉を無視し、聴き逃したかの様にユーニに顔を向けず

御機嫌斜めに振る舞う事にした。


そして、高級馬車に対する取敢えずの感想を此処に記す


椅子の座り心地が、体や尻を柔らかく包み込む様で

尚且つ、クッション性に優れおり

モノゴッツゥ~事前に振動から守られている感じでした!


なぁ~んて余談は置いておいて

私は、親友である「馬のアモル」が居る筈の馬置き場に目を向ける


『ユーニ!ちょっと待ってくれ!降ろして欲しい…

此処にアモルを残して行けない』と

私が、尾花栗毛な自分の愛馬を指して言うと


『大丈夫!カーリタースから事情を聴いて

臨時で、アモルの為に馬を扱える女の子達を雇ったから!

御墓参りを終えて帰って来るまで

どんなに時間が掛かっても、ちゃんと面倒みてくれるよ』と言った。


想定をしていない訳では無かったけど、どうやらヤッパリ

ユーニが、今回の事にポケットマネーを投資してくれているらしい


「ユーニの場合、ポケットマネーも元は税金だから

無駄に使って欲しくなかったんだがな…」

私はワザとらしく溜息を吐くが


私の隣に座るユーニは…と、言うと

『この馬車、格好良いだろ?高かったんだ』と自慢げだ


そして、アモルの隣には・・・

ユーニが準備したであろう、アモルの好きそうな女の子が2人

キャッキャうふふと笑っている


「一体これだけの事にどの位無駄遣いしたのであろうか?」

ちょっと気になる所だが、訊いて何かしら得する事もなさそうなので

誰にも訊ねる事も無く


「うぅ~ん…大丈夫そうで良いけど、こっちは何か複雑だな」

女の子が大好きな♀馬を眺め

アモルを理由にコノ馬車から逃げ出せない事に対し、涙した。



なんだかんだで抵抗する事も、反論する事も封じられ

街道を歩く者達に対して、ちょっとした晒し者にされ

私は見せびらかし専用の高級馬車に揺られて城下町に入る


城門では・・・

ユーニに対して、表面上友好的に振る舞うユーニの同僚や上司から

影でニヤニヤ笑われ

街ですれ違う人々からの視線も痛く感じさせられた。


私はユーニに背を向け、猫背に成り、俯き、

馬車の隅っこに向いて隠れ、馬車のフードの隙間から街並みを眺め

時々、自分の存在に気付かれては

紅茶色の前髪を掻き上げながら深く溜息を吐くしかなかった


「今日、私は…最低でも1カ月分の溜息を

今日1日だけで吐いてしまっているのではなかろうか?」と

「しかも今日、今が一番不幸なんじゃないかな?」と、思った事が


後でもっと沢山、本当に本気で後悔し

「錯覚であった事」に気が付く事になるのだが

そのネタは、一時放置


現在の「唯一の救い」は

「花まで準備されていない事」である様に、この時は思え

私はその事だけで、自分の気持ちを慰めた。


自分を産んだ人の墓石に供える花は

絶対に自分で選びたかった私は一度、胸を撫で下ろし


「町中に」と言うか・・・

「お花屋さん」なる、花を専門に取り扱う商店が存在しない

この世の中、街中で花売りをしている女子供の姿を探す事になった。


城門を抜けた大通り近く・・・

何時も、娼館や劇場の周りには

身や才能を売る者達に贈る花を買い求める者が多く

花を売る者達も集まっているのだが


店や劇場の「開店・開場」には、まだ時間的に早く

花売りの姿もそっちの方面にはまだ、無い様子だった。


次に花売り達が集まる場所・・・

昼のデートに適した「公園・美術館・カフェ」等が多い通りに

乗車している者を晒し者にする馬車が進む


此方にも花売りの姿が無かった


何時もなら道端で、籠に花を詰めて売り歩くか

花を乗せ、綺麗にペイントされたワゴンを引いて売り歩いている

そう言うのが定番なのだが、今日は何処にも見当たらないのは

どう言う事なのだろうか?


城下町を一周してしまう前から

その事を異常に思った私は、ユーニとコクレアに気付かれない様に

カーリタースから貰った依頼書の内容を再度確認した。


同じく、花売りが街中に居ない事を異常に思ったユーニが

『フロース…ちょっと詰め所に寄らせて貰うよ』と

私に対して、事前に断りを入れ


コクレアに地図を見せて

大きな人通りの多い道から、少し離れた

それでも大きめの道へと入り、城のある方向へと向かうのであった。

w本篇と関係が有る様で無い御話w


「ルビを外したくなった為、序に余談を追加してみました企画」

『w本篇と関係が有る様で無い御話w』今回で最終回です!


って…あれ?知らない人は知りませんよね…はい、ごめんなさい!


でもでも・・・

本篇と関係無さ過ぎて読んでない人が多いと推測される

「大きく意味を為さない文章」と

「微妙な画力」で御送りしてきました「コノ企画」も


この先にルビを付けて無くて、この先、改稿予定も無いので

御終いなのですw


で、今回のネタは馬車!

つっても、私に馬車の知識は殆ど無し!さてどうしましょ?


仕方が無いからスケッチした「ヴィクトリア」と

[憎めない王子様と私の異聞]の世界設定の一つ

「平民の馬車設定イラスト」を此処に書き残しておいて

御茶を濁し、逃げる事と致しましょうw

挿絵(By みてみん)

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