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049[今までにない失態]

弾力の有る革張りの一人掛けのソファーの上

背凭れに押し付けられ

ユーニに半ば、馬乗り状態になられた私は

上がっていく心拍数を減らす為に冷静になろうと心掛けながら

如何、抵抗すれば正解なのか判断できなくて動けず


内心では、パニック気味に自問自答を繰り返し

足を開けば、「女神の刻印」をユーニに見せる事はできるが

「この半裸の格好で足を開いて、女神の刻印を見せるのか?

イヤイヤイヤイヤ…何か駄目だろ!

1つしかボタンが留まってないシャツとパンツ1枚だけの格好で

足を開いてとか、マジでないわぁ~」と、取敢えず結論付ける


私は、気恥かしさから涙目になり、自分的に耐え難い

このエロイ感じのシチュエーションから脱却する為

『ホント、マジで頼むから、風呂に入った後にしてくれ

刻印は後で、ちゃんと見せてやるから』と

ユーニに懇願したのだが、しかし・・・


私の今日までの

ユーニに対する日頃の行いが悪過ぎた所為であろうか?

『信用できない!そう言う事を言って

フロースは、何時も行方をくらますじゃないか!』と

御機嫌斜めなユーニに言われてしまう


そのユーニの手が、私の肩からシャツの襟に移動し

襟からシャツの中に入って、シャツを脱がそうとしてくる。


シャツの裾は脱がされる工程で上に上がり

私の肩や、今着用している唯一の下着が丸出しになっていく

『ユーニ!本当に嫌だ!冗談抜きで止めてくれ!

刻印は上半身に無いから、これ以上、私を脱がすな!』

『え?本当に?嘘じゃない?で、何処?』

ユーニは、風呂上がりを待つ事も、諦める事もしてくれないらしい。


顔が燃える様に熱く、耳まで真っ赤になっているであろう私は

刻印を誰にも見せずに逃げる事を諦め、顔を引き攣らせながら

『えぇ~っと…内腿なんだけど……』と

シャツの裾を両手で手繰り寄せ

下着を隠しながら、ゆっくり足を開いて行く


ユーニが後ろに少し下がり、軽くしゃがんで私の膝に手を掛ける

刻印が刻まれた方の足がどちらなのか分かると、ユーニは早速

私が開いたのより更に大きく、自分に見易い様に

刻印の有る方の足を軽く持ち上げて、押し開いて

私の股の間に割って入り、床に座って顔を近づけ

刻印の有る方の膝を強く押さえ固定して

真面目な表情で刻印に指を這わせていた。


「ユーニにドキドキさせられるのは、コレで何回目だ?」

上がっても意識すれば何んとか

一定以上は上がらなかった筈の私の心拍数が急上昇し

留め金を無くしたかの様に上がり続けて行く


更に、ユーニに女神の刻印のある、片方の足を持ち上げられ

強くソファーに押さえ付けられた為に私の体は

縫い止められたかの様にソファーに完全に固定されてしまい


触られ慣れていない場所を触れられ

一度大きくビクッとなって、全身を震わせる


相手が欲情とかしてる訳でもない中

そう言う方面で反応させられると言う、屈辱的な事態に私は

それを齎したユーニに対して理不尽な怒りを覚える


私は『ちょっ!見るだけじゃなかったのかよ!』と怒鳴り

刻印を指先でそっと撫でられ、爪でカリカリ引っ掻かれ

指の腹でゴシゴシ擦られる、バリエーションの有る刺激と

微かに刻印付近に届く、ユーニの吐息のくすぐったさに

見を捩り、悶え苦しむのだった。


『ユーニ…もう、触られるの嫌だ……。

なぁ~…もう、ホント…マジで勘弁して…くれよ』と

私が擦れ気味の声で、ユーニに御願すると

『ん~…これって濡らして擦っても消えないのかな?』と

ユーニは、眉間に皺を寄せて言う


『は?何言って…』と

私がユーニの言っている言葉の意味を理解する前に

ユーニが、内腿に存在する、女神の刻印に舌を這わせる様に舐める

それと同時にプチッと、私の中で何かが切れた。


一瞬、私の意識が遠のいた

窓が閉め切られ、風の吹かない筈の室内に突風が吹き荒れ

この部屋の総ての窓硝子が割り、新たな風を呼び込み

室内に竜巻を起こす


私はユーニに、一人掛けのソファーに押し付けられると言う

体勢の悪い中、腕を突き伸ばして

勢いが無いながらも力いっぱい、ユーニの額に掌底を当て

ユーニが私の股からユーニが離れた所で、体勢を立て直す


ユーニは「何でこんな扱いを受ける事になったか?」を

理解していない様子な顔をして、突風が吹き荒れる中、平然と

『え?あれ?何で怒ってるの?』と私に訊いて来る


その悪気の無さに、私は一瞬だけ脱力感を覚えて、溜息を吐き

制御を失っている風に体力をガンガン奪われながら

その場でへたり込んだ


『刻印がインクで書かれた物でないかどうか?本物かどうか?を

確かめただけじゃないか』と

何事もない様な雰囲気で言ったユーニに対して、私はイラついて

『ふざけんな!だからって舐めんじゃねぇ~よ!

第一に、そんな確認は

風呂上がりにすれば必要無かったんじゃね~のかよ!』と叫んで

私を立ち上らせようとし、私の二の腕を掴んだたユーニに

平手打ちを御見舞するのであった。


一発、ユーニに平手打ちをしてから

涙目になったユーニの顔を見て、私の中に何故か罪悪感が広がる

それと一緒に、周囲に吹き荒れていた突風は収まり

室内に存在していた風に吹き飛ばされていた小物達が床に落下して

ガシャ~ンとかガチャ~ンとか、甲高い音を複数させる


私は室内の惨状を見て、ゾッとする

城に飾られている物は総て「高価な物」である事は

国民総てが知る周知の事実だった。


この惨状の犯人は、明らかに私で

その証人は、この国の第一王子のユーニである

その上で、そのユーニの額に打撃を与え、頬を叩いた訳で

多分じゃなくても色々、言い逃れはできないであろう


それにしても・・・

風の強い場所で、私が身に纏っていた筈の風を私が暴走させ

周囲を破壊してしまう事は何度かあったのだが

風の無い場所での「コレ」は、私にとって

前代未聞、今までに経験した事のない事であった。


「力を持って行かれるのは、さっきの命の危険があった時よりも

今のが重要度高かったのか?何か、間違ってないか?」と

私は私を守る風達の発動に対して、疑問に思いながら

冷汗を掻き、血が下がっていくのを感じる


指先が冷たく感じられるようになり、微かに全身が震えだす

風の吹かない場所で、風達に持って行かれたのは

体力とかではなく、生命力と言う種類のモノなのかもしれない

私は再び、途切れそうになる意識を気力で手繰り寄せ


想定される部屋の外の気配に意識を集中させる

でも、様子を探る前に

部屋の前に集合した衛兵達によって、部屋の扉が開かれた。


衛兵達がシャツの胸元を押さえ座り込む半裸の私と

額が赤くなり、赤くなった頬を押さえ

私の前で尻餅を突いて涙目になっているユーニを見比べ

衛兵達は、私の方に剣を向けて近付いて来る


私は衛兵達の攻撃に備えて身構え

「一度、祖母を諦めて、総てを投げ捨てた振りをして逃げ

体制を立て直し、尾花栗毛な愛馬アモルを始めとする海馬達に

力を借りて祖母を奪還する」そんな計画を考えたのだが

不意を突かれて

気付けば、ユーニに抱締められ、床に押し倒されていた。


押し倒された衝撃で後頭部を打って一旦、私の意識が消失し

抱き起こされ、ユーニの胸に抱締められた状態で

私は全身が思う様に動かせず、瞼も重くてを開けられないまま

意識を復活させる


ユーニのたどたどしい言い訳が耳に届く

ユーニは、私を守ってくれようとしているのであろう・・・


ユーニは私がやった事を誤魔化す様に『外からの襲撃だ』と断言し

外側に飛び散った窓硝子について突っ込まれて黙り

『そ…そんな事言われたって僕に分かる訳が無いじゃないか!』と

自分が吐いた嘘を嘘だと固定していた。


何時も通り、嘘がバレバレで突っ込みどころ満載だが

変な話、私的に、そんなユーニの事を

何時の間にか愛おしく感じてしまっている事に今、自分で気付く


セププライの記憶にあるウーニも

「そんな所があったな」と思い出して

私は「ヤバイな…私ってば、この手のタイプが御好みなのか」と

ちょっと失礼ながら、自分が残念な生き物の様に感じてしまった。


「それにしても…このまま、ユーニに言い訳させてしまうと……

この国の第一王子と言えど、ユーニの立場が悪くなってしまうよな」

私は、そんな自覚したばかりの「私の愛しい人」の事を

窮地に追い込まない為に

必死で目を開け、動かし辛くて震えてしまっている手で

言い訳をするユーニの口を塞いだ


ユーニが驚き、自分の口に押し当てられた私の手を握り

私の目をじぃ~っと見る

私は、この場の収拾をする為の言葉を紡ごうとして

それが出来ない事に気が付く

言葉を発するにも、体力が必要なのだと、私は初めて知った。


口を動かしても、腹や咽喉に力が入らなくて、言葉は吐息となり

一言も一音も言葉にならない

私は焦り、もどかしくて顔を顰める


『フロース?大丈夫か?もしかして苦しいのか?』と

ユーニは、何を勘違いしてなのか?悲痛な声を上げた。


其処からのユーニは

「頼りになる」と、言ってのか?いけないのか?

『取敢えず、僕等は

何か良く分からないモノに襲われたんだ!信じてくれ!』と

『多分、僕の所為なんだ!

フロースを助けてくれ!誰か、医者を呼んで来てくれ!』と

何度も何度も繰り返し

都合の悪い事は『分からない』としか言わず

有耶無耶の中、ユーニは自分の意見だけを我儘に押し通した。


私は「この時」疲労の為に寝入ってしまう前に

「風の力を借りて、逃げる算段を立てておけばよかった」と

本気で、後悔していたりする。

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