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004[私とユーニ、2人きりの時間]

[私とユーニ、2人きりの時間]


崩壊した椅子に座っていたユーニは

今、自分が何処に居るのかも分からないのであろう…

私の弓を抱締め、キョロキョロ周囲を見渡している


私はまず『それ、返して貰って良い?』と言い

自分の弓と矢筒をユーニから引き取り肩に掛け


『立てるか?』と、ユーニに手を貸し立たせて

ユーニの衣服とユーニの柔らかい金髪に付いた埃を払い

『小屋に移動するぞ』と言って、ユーニの手を引いた。


酷い目にあった筈なのにまだ、寝ぼけ眼なユーニは

小さな子供の様に目を擦りながら、私に従いゆっくり歩く

途中で馬達の安全の為、厩の扉を締め


少し歩いて小屋に辿り着き

矢筒と、弓弦が緩んだ弓を手近なテーブルの上に置いてから

雑魚寝できる様に作られた高床にユーニを案内すると

膝より少し高めな床に座ってユーニは、動かなくなった。


普通に寝ればいいのに

ユーニは時々、カクン、カクンと首を落とし舟を漕ぎ

何故だか寝ない様にしている様子だった


私はユーニの側に寄り添い

『取敢えず仮眠を取れ!今寝ないなら…

今後、お前とは口を聞いてやらないからな!マジで!

ほら!ちゃんと上に登って寝ろよ!』と、ユーニを促すと


ユーニを促した私の右腕をユーニが強引に引っ張り

私が体勢を崩した所で、ユーニが私の腰を強引に取り押さえた。


ユーニは私の意図に勘付いていたのか?

私の耳元で『置いて行かないで…』と、言って

力を込めて一度、強く抱締め直し


体格の変わらない私の抵抗が

子供騙しであるかの様に、私をいとも簡単に自分の胸に収め

正面から私を抱いて、高い床の上に引き上げ

私を道連れにしたままで、ユーニは床に寝転がってくれた。


完全に油断していたとは言え

ユーニの下敷きにされた事は、物凄い敗北感に繋がった

私は、ユーニの胸板に左手を突き

右手でも同じ様にしようと動かして、痛みで息を詰まらせる


ユーニが私を道連れに寝転がる時に、私が抵抗した結果・・・

私は右手首を痛めてしまったらしい


そして、今・・・

ユーニからは、規則正しい寝息と静かな鼓動が聞こえて来る

『ガチで寝てやがる…』

私は無駄な足掻きをするのを諦め、全身から力を抜いた。


私が体の力を抜き、寝心地が変わったのだろう

ユーニが身動ぎし、視界の端に見えていたユーニの顔が近付き

額を私の耳元に摺り寄せて来る

私は吐息がくすぐったくて、ユーニから顔を背けた


ユーニに圧し掛かられ・・・

でも、伝わって来る人間の重みと

数枚の布地越しの人肌の温もりが意外な事に何故だかとっても

居心地が良かった。


幼き日のセププライの記憶の中に

ウーニがそうやってセププライ動きを封じ

強引に無理矢理、セププライを自分のベットで寝かし付ける

そんな荒技をセププライとして受けた記憶があった様な気がする


今の自分の記憶では無いとは言え

前世の記憶にある「そう言うの」は、今世の私に影響する事が多い

私が「ヤバイ」と思った時には、

次第に眠気が穏やかな波の様に、寄せては返し…襲って来ていた。


もう、眠気に抵抗する事は出来なかった

それにしてもだ・・・

ユーニと、こんな風に触れ合う事は初めてだったのだが

ユーニからは、とても懐かしい匂いが感じられた


「この記憶にある匂いとかも…

セププライの記憶の中にあった、匂いの記憶なのだろうか?」

私はまどろみ、何時の間にか意識を手放していた。



生まれて初めてかもしれない、夢を見る事も無い静かで深い眠り

幸せを感じられる安息の眠り・・・

それを私から奪い、眠る事を妨げる様に

『うわぁ~あ』と言う悲鳴が、私を現実へと強引に引き戻す


私の首と腰に巻き付けられていた、ユーニの腕

それを引き抜かれ落とされた振動と衝撃、落とされた痛み

痛い場所を右手で押さえようとして、手首が痛んで

私は覚めたくない眠りから、覚めさせられてしまった。


更にユーニの重み体重で、血流が悪くなっていたのだろう

体が重く感じられ、痺れている様に思う様に動かない


しかも・・・

硬い床で寝たのと、軽く落とされたのと、痛めた右手首で

私の体は、満身創痍に近い感じになっていた。


私は暫く動けないんじゃないか?と言う状態だったのだが

ユーニに見降ろされるのが腹立たしく思え

右に寝返りを打ち、右肘と左手で体重を支え起き上がる


起き上がってみると

後頭部と背中と尻、床に当たっていた部分が何処よりも重く感じた

「暫く、血流が正常に戻るまで動かない方が良いのかもしれない」

私はふらつきを自覚し、体をゆっくり床に戻した。


体を床に戻して寝転がると、体の力が抜け脱力感が体を支配する

ユーニが『フロース!もしかして僕は、君に…』云々かんぬん


もしも私が、ユーニに襲われたりしてたら「私の服装が乱れてる」か

「服を何処かしら着て無かったりする」だろうに…って事を

気付かせてやらねばイケナイ事をユーニが口走っていたが


私はユーニと話す事すら面倒で

そのままユーニを無視する事に決め、そのまま目を閉じた。


暫くすると、ユーニが黙り込む

意識だけはあるので、私に耳にユーニのモノであろう衣擦れの音や

床の軋む音だけが聞えて来る


そんな中、不意に私の腰辺りと咽喉元に温度を感じた

私は嫌な予感がして目を開け・・・

自分に馬乗り状態になているユーニの姿と

私の服のボタンを外していくユーニの手を確認した。


一瞬で頭の中が真っ白になり、イラっと急激に怒りが込上げてくる

私はついつい右手で、ユーニの頬に目掛けて平手打ちをし

手首に伝わる衝撃で私自身、涙目になりながら距離を取る


私は胸元の服を右手で寄せ抱いて、体制の整っていないまま

十分な距離が取れず、投げ辛い近過ぎる距離

利き手ではない左手で、ナイフをユーニに投げつけていた。


それでも一瞬「しまった!やらかしちゃった」と、後悔したのだが

私の投げたナイフは、ユーニに当たったが何時もの様には刺さらず

頬を叩かれ呆然とするユーニの膝の上に落ちた


それでも痛くはあった様子で、ユーニは顔をゆがめ

私が投げたナイフを拾い

『さ…刺さらない様なナイフでも

人に向かって投げるなよ!痛いじゃないか!』と、怒っている


「あっぶなぁ~…今朝、使って無かったら

心臓に刺さってたかもな…騎士殿の腹身油に感謝しなくては…」

私は、自国の王子様を手に掛けかけた事で肝を冷やし

深呼吸して、精神を落ち付け


『馬乗りになられて、服を剥がされ掛けりゃ誰だって驚いて

抵抗するもんじゃないか?』と言ってやった。


『だからって、抵抗し過ぎだろ…

刃先が欠けてなきゃ、僕がそれなりの怪我をしてたんだぞ』と

ユーニはナイフを返してくれる

ナイフは切っ先を2cm程紛失し、投げナイフとしては

もう、使えない代物になっていた


私はナイフを受け取りながら

「偶然に感謝しなきゃな」と吐息を洩らし・・・

今日の目的を果たせなくなった右手を見て

何もする気が起きなくなって、再び床に寝転ぶのだった。


私は予定していた物の採取を諦め、目を閉じた状態で

頭中で、私が生まれ直したた日に死んでしまった

産みの母親に贈るに相応しい花の咲いている場所を検索する


だが、その思考を邪魔するかの様に、ユーニが声を掛けて来て

私の左側に寄り添い私を見下ろす様に正座し、神妙な面持ちで

『君を抱いて寝る前に…もしかして、僕は…

フロースに嫌われる様な事、何かしてしまったのかな?』と

本気で訊いて来る


正直、ウザイ…

そんな事どうでも良いから、もう私の事は放って置いて欲しい!

「それより何より、抱いて寝る部分に問題は無いのかよ!」と、

突っ込みを入れたい所だが、そこは堪えて


『そうだなぁ~、強いて言えば…

使うつもりで持って来た弓を変形させて、使い辛くした

今日は、ユーニの所為で弓が使えなくなった!

それ以外、何にも無かったよ』と、私は言って

不用意に右側に寝返りを打ち、痛めた右手首に体重を掛けてしまい

痛みを堪え、顔を顰めた。


『ごめん!それは「弁償する」か…

弓が大事な物なら、代金僕持ちで「修理」に出させて貰うよ

後、右腕か何処かに怪我してるんじゃ…』と言いながら

ユーニは、私が逃げれない様に私の左肘を私の体ごと押さえ付け

ピンポイントで、右の手首を掴んでくれる


私は小さく呻き声を上げ、痛みで全身を震わせ涙目になり

冷や汗をかいてユーニから逃れたくてもがき

最終手段、私の手首を掴んだユーニの腕に噛み付いた。


ユーニが私を解放し、私に噛みつかれた部分を押さえ

『齧るなよ!痛いじゃないか!』と怒り出す


「こっちのが痛いわ!」と私は心で叫び、無言でユーニを睨み付け

自分の胸元・・・

左手で、さっきより更に痛む様になった右手首を押さえ

振り向きもせずに小屋を出る

それは、瞬く間に過ぎた短い時間での出来事だった。

w本篇と関係が有る様で無い御話w

とか言いつつ、今回は100%関係無い暖炉の御話w


皆さん御存知でした?暖炉にも種類があって

暖炉の中全体で、焚き火しちゃ駄目な物もあるんですってよ!


ちゃんとファイアーブレスなる金属の台の上で

焚き火をしなきゃ、家が火事になってしまうそうですw


適当に火を焚いて居たら・・・

木製のマントルピースとか…フローリングとか…絨毯とか…

暖炉から伝わってきた熱で、燃えますよねw


因みに、ファイアーブレスにも種類があって


暖炉に灰貯めが設置されている物には

薪を立てて、炬火的要素を取り入れたタイプの物

薪を上に置いて使うだけの物を利用するらしいですけど


無い場合は、下に灰受けが有る物の方が良いらしいです。

灰受けが有る物の中には・・・

上に焜炉が付いている物もあるそうですよW

挿絵(By みてみん)

って・・・本篇の季節を冬じゃなくしてしまったから

本気で本篇と関係無いなぁ~…。

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