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039[逃亡した先の規則を守る方向で…]

ユーニによる強制で

地元で、女として過ごす事になった事に嫌気がさして


一人で逃げ出した私は、久し振りに胸をコルセットで隠して

雰囲気で性別を偽り、遠出して、他国に居る友人を訪ね

地元の知り合いが来なさそうな、南に有る隣国の

気分を変えたい時専用の行き付けの場所へと出向いている


そして、今は・・・

Barのカウンター席で、マグカップ片手に一息付き

チョコレートリキュールで作られた、ホットココアの

甘さと美味さと温かさ…

何にも知らない、友人の変わらない態度の心地良さで

目尻に涙を滲ませていた。


私の隣の席には・・・

今回の「カーリタースが作り上げた仮想の経緯」を知らない

浅黒い肌に黒髪、黒い目の4歳年上の男友達


私の剣闘士時代、私が当時10歳だった頃に仲良くなった

私と違い、今でも剣闘士を続けているグランツが

ビールジョッキ片手に座っている


『急に剣闘士の練習場にまで、会いに来るから驚いたぞ

お前から、俺に会いに来るなんて初めてなんじゃないか?

何時もは、目撃情報聞いて

俺がこの、お前の定宿を訪ねて来るのがセオリーだろ?』と

グランツは私の頭を撫でながら笑い、理由を訊ねて来る


私は素直に…でも、詳しくは訊かれたくなくて

『地元に居辛くなる様なトラブルが起きちゃってね』と

大まかな情報だけ話して、後は訊ねられても言葉を濁した。


今回、グランツには話す気もないが

此処で密かに詳しく説明すると、結果的な事なのだが・・・

相手の持ち金や、地位、権力、何かしらのポイントが高い者と

それ以下の普通の者とを「くっつけようとする者」が居れば


必ず、邪魔する者、与えられたチャンスを奪いたがる者

与えられる側に成り代わりたがる者の妨害を受け

それに便乗した、虐待者達を含めた「敵」の餌食になり


くっつけて貰う側になった者は

抵抗力が無ければ押し潰され、色々奪われ、何かを壊され

そのまま、死んでいなくても、色々な意味で殺されて行くのが

この世の、世知辛い世の中のセオリーなのだった。


そして、くっつけて貰う側になった私

実は…情けない事に・・・

今世、女の子達に「モテ栄される」事に快感を覚え

女の子達にチヤホヤされるのが、とても大好きだった為


チヤホヤされた経験から

嫌がらせをして来た女の子達を殺す程には、嫌いになれず

「恋しい相手」に、ではなく「恋」に「溺れた」女の子達を

「事故に見せかけて、殺して回る」何て事は

何となく惜しい気がして、できなくて・・・


今まで男として生き、女に恋される側になっていた為

「女としての恋愛スキル」も、とても低過ぎて・・・


ライバルを蹴落とす為に嘘を吐き

形振り構わず、自分や他人を傷付け、ソレが常識だと認識する

恋愛亡者の対処は、出来ない事のが多かったのだった。


因みに、コレは追加の余談だが・・・

女の子達の事は「嫌いじゃない」けれども

「ヤラレタのにヤリカエサナイ」のも性に合わず


『普通に陰湿でも…

私の所有物や、私自身に物理攻撃仕掛けて来てくれたら

証拠を突き付けて、相手を逆に追い詰めて憂さ晴らししたり

将来、幸せを掴む時を狙って

報復攻撃仕掛けられる事だってできるのになぁ~』と

カーリタースに、愚痴り混じりに言った序に

ちょっとした「報復攻撃」のできる仕事を斡旋して貰い


私は、私の所有物や、私自身に物理攻撃仕掛けて来てくれた

私に対しての前にも、前科の有った者達の「やった証拠」を

前にヤラレタ人にも使える様に加工して、売り飛ばしたり


前科の有った者達の「オイタする現場」を予測して

意図がバレない様に・・・

「恋敵を陥れたい御客様」の「恋しい御連れ様」を案内して

罪を暴いたりして得た報酬で


ユーニに近付いた女を虐める習性を持つ、ユーニの信者と

ユーニ自身から逃げて、隠れて…今に至る。


今に至った私は、最近「自覚した事」を思い、深呼吸して

「私ってば、好きになる相手が「王子様」とか

馬鹿じゃないのか?ハードル高過ぎでしょ!

あの娘等みたいに、諦められなくならない内に距離を保って

溺れる様な恋愛感情を持たない様に気をつけなきゃな!」

と、言う「自分の意思」を固める為


『地元に居辛くなって思ったんだけどさ

やっぱ、平和に生きていきたくて、人付合いをするのなら

身の丈に合った人間相手じゃなきゃ、駄目だよな』と

前世の私、セププライの意見を自分自身に言い聞かせる様に


グランツに「相談する」と、言うのではなく

私の意図を察してくれるグランツに対し、一方的に私が話し

私が自分で納得するまで

グランツには、何も言わずに相槌を打って聞いて貰って・・・


私は、溜まっていた総ての憂さを出し切り

マグカップの中で湯気を上げる、まだ暖かいココアを呷り

精神的な落ち着きを取り戻した。


私がココアを飲んでいると、足音が近付いて来る

『フロースは…国境を越えて、行方を眩ました上に

身の丈で、付き合う人間を選ぶのか?』

グランツに話す、私の言葉を聞き付けた人影が

私の側に寄って来る


私は声から相手を特定して大きく溜息を吐き、振り返り

『駄目か?国境を越えてまで追掛けて来てる

執念深い、我が祖国の王子様』と

多分、カーリタースから情報を買って追跡して来たのであろう

ユーニの顔を見上げた。


今回、私は無駄にドキドキする事もなく

本当に久し振りに、ユーニの顔を見る事が出来た。


ユーニは少し不機嫌そうに

私が飲んでいたマグカップを取り上げ、中身を飲み干し

『色々、駄目だろ?関所を通らずに隣国に侵入してるし

っつーか、未成年が飲酒してるし…』とか言う


私は私の年齢を知る、この国の住民であるグランツに目を向け

『いやいや…こっちの国では、この程度のアルコールは

年齢的にOKでしょ?』と、グランツや店の店員に同意を得る


私とグランツ、私を追って来たユーニは今

南方に有る隣国の・・・

宿屋が1件しかない海道から少し外れた小さな町に居た。


飲酒の事に同意してくれたグランツが

何か言いたげに、ユーニを黙ったまま眺める中

ユーニは、グランツの事を無視して


『でも、フロースは!僕の国の国民だろ?

僕等の国のルールでは、フロースの年齢での飲酒は禁止だぞ!

でも、今は取敢えず…今回、飲酒の事は不問にしてあげるから

本国まで、僕に連行されてくれないかな?』と、迫って来る


私は店員に、さっき飲んでいたのと同じ物を注文しながら

『嫌だから断る!

そう言うユーニだって「他国で、儀礼的に」だとしても

飲酒した事くらいあるだろ?無い事は無いよな?

そもそも、他国で他国のルールを守って

他国での飲酒を楽しんでるのに、それを何で、ユーニ何かに

上から目線で批判されなきゃ駄目なのさ?』と

ユーニを睨み付け、本題を有耶無耶にする為に話をずらした。


ユーニは、一瞬だけ怯み

『あるけど…他国との良好な関係を保つ為の儀礼だぞ

飲酒OKな他国での、会食での飲酒は話が別だ!』等と言う


私は、ユーニの御都合主義的な言い分を耳にし

『勝手な言い分だな…

まぁ~、王族って言うのは、そう言う生き物だったか…』と

そっぽ向いて店の店員に、今居る隣国では

この国では、子供でも飲む事を許されている

世界共通の酒場での定番の飲み物を

ユーニに対する反発心を持って、更に追加で注文した。


牛乳を温める時間が必要である「ココア」より

後から、追加で注文した「ビール」が先に到着する

私は躊躇なく手を伸ばし

『だから駄目だってば!』と、ユーニに腕を掴まれる


私の腕を掴んだユーニは

『そもそも、注文が手慣れ過ぎてないか?

それに、この国の飲酒可能な年齢の16歳にも

フロースは、なったばかりだろ…もしかして、年齢偽って

今までも飲んでたんじゃないのか?』と

凄い形相で詰め寄って来る


私は、「ウザイな」と、思いながらユーニに微笑み掛け

『嫌だな、年齢偽ったりした事は無いよ』と、言うと


グランツが・・・

『ん?あぁ~コイツ、確かに年齢を誤魔化した事無いと思うぞ

酒飲む為に態々、14歳から飲める国に出向いて

俺等と飲み歩く事はあったがな』と、真相をばらし


その上で・・・

『まぁ~それより、俺とちょっと話さないか?

北側の国の第一王子のユーニウェルシタース…だったかな?

申し訳ないんだが…コレ以上、フロースに

王族に対する悪いイメージを持たせてくれるなよ

今居る「この国の王族」の俺にも同じイメージ持たれたら

笑えないじゃないか』と、溜息混じりに微笑んだ。


ユーニは、何かを思いだしたかの様に驚き

私は『マジで、グランツって王族なのか?』と

近くに居た店員に訊き『第一王子ですよ』と返され

自国の第一王子と、この国の第一王子を見比べてから

『割と最近、沿岸部の国の80代の王子様を見て

夢の壊れる現実だなって思ったんだけどさ…』と、零し


店員に・・・

『あぁ~そう言えば、アソコの王様100歳近くでしたっけ』と

相槌を売って貰って、私はユーニとグランツを指差して

『コレはコレで、女の子の夢を壊す光景じゃね?』と言った。


店員はクスクス笑って『そうですか?』と言い

『大人の男の人から、上から目線でからかわれて

必死で反論する男の子の姿って…私は萌えちゃいますけどね』と

その女性店員は、垂れた涎を拭いながら幸せそうに微笑んでいる


私は『あぁ、そうなんだ…』と、腐女子だった店員を見詰め

別に気付かなくても良い事なのかもしれないが…

自分の認識の甘さと、視野の狭さに気付いたのだった。

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