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036[「勇者と呼ばれた王子様と、竜」の絵本]

此処だけ、普段の文章チェック用の手抜き書き文章ではなく、

小説の清書とは呼びにくい、

絵本等の仕様の、清書している状況にあるのですが……。


それは、物語の演出だと思ってやって下さい!

037からは、普段の手抜き書き文章に戻ります!

・・・願わくば、

「この絵本を手にし、読んだ子供が、より良き、自分の正義に

辿り着けます様に……。」と、願いを込めて・・・


*[勇者と呼ばれた王子様と、竜]*


後に勇者と崇められ、王様になる一人の王子様が、

竜の住まう丘の上の御城で、柵越しに、

光を集めた様な色合いの、長い髪の少女と出会いました。


少女が居たのは、竜達が「竜の城の離宮」と、呼ぶ場所。

閉じ込められた少女は、

周辺の集落の人達から「竜の姫君」と、呼ばれていました。


今まで、人々が敬遠して話し掛けなかった為、

王子様が声を掛けると、「竜の姫君」は興味津々で、

王子様の近くまで寄って来て、

何の隔たりもなく、話をする事が出来ました。


それから、「竜の姫君」の側には、

家事に追われた、年老いた世話係の老婆しかいなかった為に、

年頃の近かった2人は、直ぐに仲良くなり

瞬く間に友達になりました。


「竜の姫君」と友達になった、御忍び好きな王子様は、

可哀相にも、閉じ込められて城の外に出られない、

寂しそうな「竜の姫君」の為に、

毎日、近隣の街や村から、沢山の友達を誘い出しては、

「竜の姫君」を喜ばす為に、遊びに来る様になりました。


ある日の事です。

「竜の姫君」と、世話係しか居ない筈の「竜の城の離宮」に、

竜の王様がやってきました。


少女を…「竜の姫君」を……御妃にする為に、

大切に、箱入り状態にして育てていた竜の王様は、

「竜の姫君」が、人間の子供達と楽しげに笑っている事を、

快くは、思いませんでした。


それからと言うもの・・・

竜の王様は横暴にも、人間達に理由すら告げぬまま、

周辺の人間達の街や村を襲う様になりました。


近隣の街や村に住む、王子様の友達が、

竜の報復攻撃の為に、家を焼け出されてしまい、

遊ぶ時間も無くなって、一人一人減って行きました。


知らなければ、平気でいられた筈なのに、

楽しい時間を知ってしまった「竜の姫君」は・・・


『此処に居るのは、とても淋しい……。』

『出来る事ならば、外に出て、皆に会いに行きたい。』

と、世話係の老婆に懇願していました。


友達になってくれた、子供達の現状を知った後は、

『私に何か、できる事が有るのならば、してあげたい。

一緒に遊んでくれた皆の為に、恩返しがしたい……。』と、

願う様になっていきました。


王子様は、「竜の姫君」の願いを知り、その願いを叶える為、

自分の父親である自分の国の「人間の王様」に、

竜の被害に遭う、竜の住まう丘の上の御城の近くの、

街や村の話を持ち掛け、

竜の住まう丘の上の御城に閉じ込められている、

友人である「竜の姫君」の事を・・・、

『竜の住まう丘の上の御城から、出してあげたいから、

知恵と、力を貸して欲しい。』と、言う風に話しました。


当時、竜の所有する領地を欲しがっていた人間の王様は、

「竜の国を攻撃する理由」を手に入れ、

『ソレハ大変ダ!助ケテアゲナケレバ!』と、

近隣諸国に対して、大義名分を掲げて見せてから、

自分の息子の申し出に、大手を振って応え、

自分の「息子の為」と、言う「名目」で・・・

竜を討伐できる、凄腕の精鋭部隊を準備しました。


竜の国を囲む近隣諸国も、竜の所有する領地を欲し、

王様と連絡を取り合い、

『色々ナ場所カラ、同時ニ、攻撃ヲ仕掛ケレバ、

少シデモ安全ニ、チョットデモ簡単ニ、

貴方ノ国ノ国民達ヲ、助ケラレルデアロウカラ……。』と、

個々の国の、竜の領地の隣接ヶ所から、

竜の領地に入り込んで行く手筈で、

竜の討伐に、意気揚々と参加する事となりました。


近隣諸国で、日時を合わせて決めた「竜の討伐の日」・・・


王子様は、細かい事を知らされぬまま、

周辺に居た、無害な竜達を不必要に本当に沢山殺し

討伐して回ってから、

「竜の姫君」の住まう「竜の城の離宮」、

その国の人間達にとっての「竜の城」を襲い、侵略しました。


結果的に・・・

竜の城と、竜の領地を奪った王子様は、国民に支持され、

「勇者様」と、呼ばれる様になりました。


その勇者様となる、王子様の手で直接、

竜の住まう丘の上の御城から、

直々に連れ出された「竜の姫君」は、王様の指示で、

今度は、人間の城の離宮に閉じ込められる事となりました。


その時やっと「勇者となった王子様」は、

「竜の姫君」と呼ばれていた少女が、人間では無く、

人の姿をしていても、竜の眷属である事を知りました。


「竜の姫君」が、人間ではない事を受け入れなかった勇者は、

暫くの間、「竜の姫君」との距離を置く事にしました。


その暫くの間に・・・

自分達とは違う、人でない者を受け入れる事が出来ない人間達、

竜に襲われた事の有る、国民達の御蔭で、

「竜の姫君」は、投獄される事になりました。


投獄された先は、

重罪を犯した者達を閉じ込める為の地下牢・・・


鎖に繋がれ、薄暗い、ジメジメした牢獄の中、

前より、酷い場所に閉じ込められる事になった「竜の姫君」は、

粗末な衣服に、無いよりはマシな、質素で不衛生な食事と言う

前より酷い待遇にも、何も言わずに、敢えて黙って、

物静かにそのまま、事態を受け入れていました。


それでも、そんな事をしていても、

憂さを晴らす事が出来なかった人間達は、

「竜の姫君」に、人間の罪人に押す焼印を押して、

「竜の姫君」を国民の為に、処刑する事に決めてしまいます。


そして「王子様」で、あった頃の勇者の手で、

竜の住まう丘の上の御城から、直々に連れ出された日から、

会う事のなかった「勇者」と、「竜の姫君」は、

王族の観覧席と、処刑台の上で、再会を果たしました。


「竜の姫君」の事で思い悩み過ぎて

人の話を聴いておらず、今回の事を何も知らなかった勇者は、

「竜の姫君の処刑を止める事」を願い出ました。


でも、既に時は遅く・・・

「今、国民の期待と喜びを奪えば、暴動が起きる」と言う、

已むに已まれぬ状況になってしまっている為に、

誰も勇者に従わず、勇者の話を誰も聴きは、しませんでした。


勇者が必死に、「竜の姫君」を助ける為に奔走する中、

「竜の姫君」はふらつきながら、処刑台に上って行きます。


「竜の姫君」をジワジワ殺して、

他の生き残りの竜が襲ってくる可能性を考え、

焚刑では無く、斬首で処刑をする為に昨日の内に、

光を集めた様な美しい長い髪を切り落とされた「竜の姫君」は、

既に健康を害し、痩せ細っていました。


国王の説得を諦めた勇者は、とある一つの覚悟を決め、

「竜の姫君」の元へと、駆け寄ります。


『この国の正義は、間違っている、

僕は、この間違った正義を許せません!

だから僕は…この国を捨てます!一緒に逃げて下さい。』

勇者の言葉に「竜の姫君」は、静かに微笑み返しました。


『この国の人間に、裁かれる謂れはありませんが、

もう、遅いのです。私は穢されてしまったのです。』

「竜の姫君」は、勇者の手を拒絶しました。


『私は、同胞を死に追いやった、私を許せないのもありますが、

それより何より、私を穢した人間を許す事は、できません。』

と、言いながら「竜の姫君」は、

人間達に、自分が処刑される事を拒絶しませんでした。


「竜の姫君」は、悠然とした笑みを湛え

『私が死ぬ事によって齎される、

この国の国民達の、一時的なストレス解消と引き換えに、

私は私より、罪深い行いをした者達、総ての者に、

将来、私より重い罰を与える呪いを与えましょう。』

と、宣言する。


呪いを信じる者が一瞬、沈黙し、

呪いを信じない者達の、

「竜の姫君」に対する嘲りに、勇気を貰って、

『自分達には罪が無い!』と、笑って断言してから、

「竜の姫君」を罵倒するのを再開した。


「竜の姫君」が、処刑の位置に置かれる。

処刑人が持つ、首を切り落とす為の斧が振り被られ、

斧が振り下ろされて、歓声が一際、大きくなった瞬間・・・

勇者の腕一本と引き換えに、「竜の姫君」の命は延ばされた。


「竜の姫君」は、片腕を失くした勇者の姿にショックを受け、

竜の声で一声鳴き、仲間の竜を呼び寄せてしまいました。


見上げた空には、優雅に旋回する、2ケタの数の竜達の姿、

空から舞い降りて来たのは竜の王様、

なのに「竜の姫君」は、自分の保身よりも、

勇者の保護と、治療を願いました。


余りにも必死な願いに、竜の王様が折れて、

その願いを叶えるのと引き換えに、

「竜の姫君」は、仲間の竜の元に帰って行きました。


数日後……。

肌が鱗状になって、剥れ落ちて、

最期には、痛みで死に至る奇病が、国中で流行り、

その病で国王が死去し、

急遽、「竜の姫君」を助ける為、隻腕となり

竜に命を救われた勇者が、竜と対話できる可能性から、

王様になる事に決定しました。


「竜の姫君」に酷い事をした人間が、次々に奇病に罹り、

酷い死に方をしてしまうからです。


『私より、罪深い行いをした者達、総ての者に、

将来、私より重い罰を与える呪いを与えましょう。』

「竜の姫君」が残した、言葉の呪は、

勇者に救いを求める形として、その広がりを示していました。


勇者は「竜の姫君」に会う為、一人で旅に出ます。


そうして、他国に有る、竜の領地だった場所を巡り、

辿り着いた竜の城で、竜の王様に会いました。


勇者が再開した竜の王様も、同じ奇病に侵され、

鱗が剥れ落ち、生きてはいましたが、

もう、普通に生きる事は、出来そうにありませんでした。


「竜の姫君」は、元から弱い竜だった上に、弱っていて、

弱肉強食な竜社会に、溶け込めず、

竜の王様が連れ帰ったその日の内に、他の竜に当て擦られ、

意地悪されて、死んでしまったのだそうです。


結果的に勇者は、冷たくなった「竜の姫君」と、再開しました。

死後までも酷い扱いを受けていた「竜の姫君」の遺体、

勇者はその事が耐えきれず、竜の王様に断りを入れ、持ち帰り、

綺麗にして棺に入れて、「竜の姫君」の冥福を祈りました。


深い悲しみと、

切ない愛しさの詰まった優しい願いに引き寄せられ、

『神の加護を必要としていませんか?

私を国で祭る神様にしてくれるなら、力を貸しますよ?』と、

新米の女神様が、王様になった勇者の元に舞い降りました。


王様になった勇者は、藁にも縋る思いで、

女神様を守り神として、国家的に祭る事を約束をしました。


女神様は『竜の呪いは強力なので』と、前置きをして、

王様になった勇者の願いを叶える為に、

「竜の姫君」と、王様になった勇者の縁を繋ぎ、

王様になった勇者の、生れ変った先の未来に使命を与えます。


『2人が初めて出会った場所を中心にして、

2人は、これから何度も生れ変って、

擦れ違い合いながらも、何度も巡り合う事でしょう。

君が愛する「竜の姫君」の幸せを求めるのならば、

呪いの力で、来世に持ち越し続ける人間への殺意を、

「竜の姫君」から、取り除いてあげて下さい。』


女神は、王様になった勇者に自分を祭る為の御神体を授けると、

『貴方の作る、これからの新しい国と、

私を祭る教会が出来るのを、楽しみにしています。』と言って、

「竜の姫君」の入った棺と共に、消えてしまいました。


こうして、竜の住まう丘の上の城の場所に、

新しい国と、新しい神様を祭る場所が産まれ、

勇者と呼ばれていた者が、「竜の姫君」だった者を求め、

幸せにする為の国となりました。

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