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023「私と魔法」

「私と魔法」


現在、作戦直前に・・・

空気を読まない男、ストゥディウムの爆弾発言が炸裂し

3つある目的地の1つ目に辿り着く前に立ち往生していた。


コクレアとユーニの後ろに逃げた私に、ストゥディウムが繰返し

『なぁ~フロース、俺モノになれよ』と言ってきている

勿論、私は・・・

『嫌です』『御断りします』『断固拒否です』と拒絶しています!


青い顔をしたプルウィアが

『その子、男の子でしょ?冗談よね?あ、そうだ…

アルブムみたいに、騎士見習いにするつもりなのよね?』と

救いを求める様にストゥディウムに声を掛け


ストゥディウムは、本当に不思議そうな顔をして

『ん?フロースは「見習いに…」になんかは、しないぞ

それに俺、嘘は言わないし…今、言う必要無いし

欲しいってのは、冗談とかじゃなくて本気だぞ?』と返した。


『そんな…そんな事…

世界が許しても、ワタクシは許しません事よぉ~』と

今回の「仕事の事」を忘れてしまったのか?

プルウィアが、来た道を引き返す様に走り去って行く


先に、ストゥディウムの隣りから

脱兎の如く、コクレアとユーニの後ろに逃げ身を顰めた私は

こっそりユーニに確認する

『ユーニ、御前等のボスは…

「男性少年愛」や「男性青年愛」が、極めて高尚とされる地域や

支配者の結束を高める為の義務になってる地域の出身だったのか?』


そう…私は、セププライの記憶には無かった

「セププライですら、知らなかった事実があるのか?」と、思って

念の為、ユーニに確認をしたのである


ユーニは神妙な面持ちで

『出身地は知らないけど

四十路近くになって、彼女も居た事の無い本物の童貞って噂だし

その気が無い事を僕は否定できないな』と言う

私は今、私的に求めていない

必要の無い無駄な情報を手に入れてしまった。


『いやいや…其処は否定しておけよ!』

何時の間にか私の横にやってきたアルブムが

『アレでもアノ人は、俺等の団長なんだぞ!

ユーニが事ある毎に真面目そうな顔して、そんな事言うから

俺がそう言う対象だとか誤解されて、何かのタイミングで

俺が、男に襲われたりするんだよ!止めてくれよ!頼むから!

そう言う風な誤解を産む様な発言をするの!』と

溜息混じりに静かに愚痴る


『あぁ~ソレで時々、アルブムは男に囲まれて

下半身を脱がされたりしてたのか?ごめん、ごめん!

でも今まで、多分だけど…何かされる前に僕は君を助けれてたよね?

取敢えず、無事って事で僕の事を許してやってくれよ』と

ユーニとアルブムが、軽くない事柄を軽く会話している


『うわぁ~、軽く言ってくれるぜ…ナニはされてないけど

俺は、触られたりキモイ事をされてんだぞコノ野郎が!

まぁ~実質、無事だから許すけど』と・・・

「あれ?それって、犯罪じゃね?未遂でも強姦されたのでは?」

って感じの、ちょっと笑えないネタで笑い合っていたのだった。


私が2人の会話にドン引きする中、ストゥディウムが

『で、フロース!俺のモノになるよな?』と、私に言う


冗談でも有り得ない!

『って、ならねぇ~よ!なる訳がねぇ~だろうがよ!』

私は全力で拒絶し、数歩下がり


『今のアルブムの話しを耳にして何で、それを了承すると思う?

貴様のモノになるくらいなら…

その場で油を被って、自らに火を放ってから自害するからな!』と

大きな声で宣言して、今進んでいる道の先にある1個目の目的地

教会のある方向へと向き直って、全速力で走り去った。


『『速っ!』』ユーニとアルブムが同時に呟き

『何もそこまでしなくても…』と、コクレアが小さく呟いた


『そうだ、そうだ!正式な騎士として迎えてやるって言ってるのに

そんな、其処まで拒絶しなくても良いだろうになぁ?』

『『『え?』』』

ストゥディウムの発言にコクレアとアルブムとユーニの声が重なる


『ストゥディウム団長!今の話の中の何処に

「聖騎士と迎えてやる」何て台詞が入ってたんだよ!』

『そうだよ!アルブムの言う通りですよ!隊長!

僕はてっきり、フロースの事を…まぁ~言うなれば

そう言う対象に見ているのだとばかり思ってましたよ!』

『私も2人と同意見だわ…きっと、プルウィアさんも誤解してたわよ

で!どうするの?どっちを追うの?

私は当然、坊ちゃんの所に行きますけどね』


コクレアの言葉でやっと、ストゥディウムが

連絡役であるプルウィアが行方をくらました事に気付き

『さて、どうしよう?プルの代わりを誰がする?』と言った。


『あらやだ!「どうしよう」だなんて、部下に訊いちゃいます?

聞きしに勝る駄目な人ね…

今回の作戦に坊ちゃんが必要になる理由が透けて見えたわ』

コクレアはストゥディウムに優しく微笑み掛け


『アタシには、素質が無くて使えない方法なのだけど

南の武闘派スラムの傭兵ギルド員には

特殊な連絡方法が使える者が存在するから、連絡役は居なくても

坊ちゃんに必要に応じて連絡をして貰えば問題無いわよ?

坊ちゃんはアレでも、魔導の素質もあるオールマイティー型の

魔法剣士ちゃんだから』と

1つ目の目的地を目指してコクレアも歩き出した。


『魔法って…水晶や水鏡を見て予言が出来るとか

トランプやタロットで未来を予知したりする事とか

錬金術とか言って、トンデモナイ物で煮物作ったり

呪ったりする事とかかだろ?何で、魔法と剣士がくっつくんだ?』と

コクレアの言った事にアルブムが食い付いて来た


コクレアは、追掛けて来るアルブムに対し

『あらやだ、無知なのね』と、小さな子供を見る様に笑う


『ん?違うのか?それじゃ…

子供向けの童話に出て来るドラゴンとか、魔王とかと戦う

勇者や魔法使いが攻撃に使うアレですか?

でもそれって、現実には無いモノでしょ?』と

続いて追い付いて来たユーニに対し


コクレアは・・・

『実は、全く無いと言う事もないのよぉ~…

但し、魔法の効果は凄いと言い切れるモノでは無くてね

本人ですら、気付かれなかったりする程度の力しかないの…

例えば!炎の魔法を使える人の魔法の効果を説明すると

他の人より早く、火起こしが出来ますとか…

火の番をすれば、他の人よりも少ない薪の量で

他の人より少し長い時間、火を焚き続ける事が出来ますとか…

攻撃的なのでは…

火矢を放てば、確実に火矢が当たった所に火を着火できたり

弓で放った火矢の炎が、他の人より消えにくかったりする

そんな程度のが、ホントは魔法だったりするの』と、楽しげに語った。


『『へぇ~…』』とアルブムとユーニが

感心しているのか?していないのか?分からない声を発する


『と、言う事は…もしかして』

黙って聴いていたストゥディウムが

『フロースは、そんな「炎の魔法」も使える剣士なのか?』と

コクレアに話し掛ける


『も?』

コクレアは首を傾げてから、少し考えて首を横に振り

『坊ちゃんのは、火では無くて風らしいわよ

どう言う理屈で、何処まで使えるモノなのかは知らないけど

犬笛を使って、遠く離れた同じ風の魔法を使える者と

ちょっとした連絡が取れる程度の事はできるらしいわ』と答えた。


『ソレって…ただ単に耳が良いだけなのでは?』

『そう思うならそれで良いわよ、魔法ってその程度のモノだから』

そう言って、疑問を呈したユーニの頭をポンっと叩き

コクレアは付いて来る3人を置いて行く勢いの速足で先に進んで行く


残されたユーニは、視線でアルブムとストゥディウムに答えを求め

その答えを・・・

『俺は他に、フロースみたいな「風使い」を知ってるから断言できる

フロースが「風使い」なのは、間違い無いだろうな…』と

ストゥディウムから受け取る事となった。


『マジかよ』アルブムが疑いの眼差しを向ける

ストゥディウムは『マジだよ』と返し


『一度しか見てないが、戦い方やフロースの剣捌きは普通

物理的に、あの細腕じゃ不可能だ…それを可能にする為には

何かしらの付加能力の存在があると、2人は思えないか?』と

アルブムとユーニに質問する


2人は視線を合わし

『フロースの以外の他の人って誰ですか?』と、ユーニが訊ねた。


『現国王が、城の神殿で遺体を剥製にして祭ってる

「セププライ」って名前の女騎士が

「旋風の姫君」って呼ばれてるのを知っているか?』

ストゥディウムは問いに対して、新しい問いを返す

ユーニとアルブムが怪訝そうに「知っている」と答えると


『セププライは、先々代の国王の実の娘で

先王の名の元、革命軍に参加していたって方向で

「旋風」って名前が付いているってのが、通説になってるんだが』

ストゥディウムは其処で言葉を区切り


『此処だけの話、実はソレな…』と、真剣そうな表情を見せ

『教会の権力を着て「魔女狩り」をやってる奴等の標的に

セププライがなってしまわない様に、俺が流した

偽の噂だったりするんだな、コレが…』と続けた。


ユーニとアルブムは、ちょっと人事手なさそうな雰囲気で

『そうなんですか』とか『ふぅ~ん』とか適当に相槌を打つ


話を聴いて貰っている事を確認したストゥディウムは自覚なく

『セラは、その「旋風の姫君」って名前に相応しい風の力を持ってて

風の恩恵を受けて、俊敏に動いたり、速く走ったり

弓矢を遠くまで正確に飛ばして射たりをやってたんだ…』と

私の知らない所で、

今世と前世の私の強さの秘密を暴露していたのだった。

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