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022[今回、私が抱える不安要素]

[今回、私が抱える不安要素]


計画は、ストゥディウムが中心となって決め

プルウィアが、その指示書を「独自の見解」で編集したモノとの事

「それって、ボス猿の意見…どのくらい反映されてんだ?」と

私が密かに思ってたら


『俺が提案した事以上の事だらけで、俺の意見が半分くらい

見当たらない気がするのは、気の所為かな?』と

ストゥディウムが、プルウィアと話をしている

私は「独自の見解って便利な言葉だな…」と思った。


そうこうする内に

総ての人員配置が決まり、作戦の為に移動するタイミングとなった


私は、カーリタースに愛馬のアモルを預け直し

現場近くに配置される「別働隊」と

「囮部隊&そのサポートをする部隊」と言う編成で

カーリタースの統治する宿場町を出る事となる


現場の別動部隊は、プルウィアの意見をカーリタースが退け

カーリタースが、独自に選び呼び寄せた2組で

私的に信頼できるナウマキア参戦時代の仲間が多数配置されていた。


10年近く前・・・

20代だった者は30代、30代だった者は40代と

殆どの者が、ちょっと若さに欠け…体力的な心配が残り

そろそろ傭兵を引退するべき年代の者も含まれているのだが


その年長者達の戦いの勘や対応力、技術力等の経験値は

疫病の為に絶対数が少なく、騎士として訓練はされているが

才能を無視した、寄せ集めの若者達の「実質的な体力」よりも

戦力的には凄く大きいと、私は考えている


「烏合の衆より、少数精鋭!一騎当千!!流石、カーリタースだ!」

私は密かに、その配置に満足していた。


余談だが・・・現在、傭兵である彼等は

アピスの弟「テッレストリス」が代表を務める

城の南の武闘派スラムの傭兵ギルドに所属し

今も現役の傭兵として、南のスラムに住んで仕事をしている


私がアピスを死に追いやった者達の情報を交換する為

同じ様に同じ情報を求めている、傭兵ギルドの前の代表

アピスとテッレストリスの父親に、頻繁に会いに行き


チョイチョイ、彼等の傭兵の仕事を手伝わされる為

彼等を始め、今の傭兵ギルドの代表テッレストリスも

私の実力を把握し、緊急時の連絡方法も互いに知っている


だから「もしもの時ですら、安心できる」と、確信した!

のだが、しかし…最初にメンバーを知った時の不安が復活した。


現場近くに配置される別動隊と別れた後で

私は「今回の作戦」に対し

計り知れない程、凄く不安を感じる様になっていたのだ


敵となる人攫い達と最初に遭遇する予定の

「囮部隊&そのサポート部隊」の少数構成方は…と、言うと

何んとも言えない「不安の根源」でしかなかった。


囮部隊&そのサポート部隊の長所は・・・

私の性別を確かめようとしないメンバーが揃っている事だが

短所は・・・

チームワークが迷子な所なのである


私は、南方向へ続く街道を歩くメンバーの人員を見て

メンバーに対する

「残念感を何処で解消したら良いか?」を検証してみて挫折した。


囮部隊&そのサポート部隊の中の「囮役」として・・・

「コクレア・アルブム・私」の3人


作戦通りに囮役が捕まった後、アジトに着き次第に

囮を救出する役目を負う、そんな「サポート役」は・・・

「ストゥディウム・ユーニ」の2人


残った最期の一人「プルウィア」は・・・

人攫い達のアジトが判明し次第、連れてきた足の速い馬で

2か所配置された応援部隊を

順に近い方から呼びに行く事になっている…と、言う事だった。


そんな、今回の作戦の重要な役割を担う

現場の6人なのだが、役目を担えるのか微妙な所だ・・・


私の目の前で『フーちゃんに気安く触るな!』と

「死んでしまった父親」の傭兵仲間と、久し振りに再会した為か?

昔の言葉遣いに戻ったコクレアが、私を後手に庇い

歩きながら、何やらユーニと揉めている


『ずっと言いたかったんだけど…

フーちゃんの「母であり姉である立場」は、僕のモノだ!』

私は心の中で

「コクレア?ソレ…何時からそうなったのさ?」と突っ込みを入れる


『それを決めるのはフロースで、コクレアじゃないだろ!

僕がその立場を目指しても問題は無い筈だ!』とユーニまで

自分の性別が「男」である事を棚に上げて争っているのを耳にして


私は「其処を目指すのかよ…方向性を間違えてないか?」と

苦笑いするしかない


更にコクレアが・・・

『王子だか何だか知らないけど

フーちゃんは絶対に、君に何て渡さないからな!』と、言うので


私は・・・

「お母さんって言うより、お父さん的な台詞だな」と、思いながら

もっと厳しく揉めている後ろに視線を移した。


後ろは後ろで、アルブムとプルウィアが地味に激しく

無駄な口喧嘩をしている


アルブムの言い分を要約すると

『騎士団の代表、ストゥディウム団長の右腕は俺だ!』

と、言う事をアルブムはプルウィアに主張していた。


それに対し、プルウィアは・・・

『右腕?小姓ペイジの間違いでしょ?

そもそも、乗馬技術が低過ぎて騎兵の資格も取れない御子様が

王子の御学友だからって、従騎士エクスワイアになったり

騎士としての階級を貰ったりする事自体、オカシイのよ!』と

コネで騎士になったらしいアルブムを嫌い、批判している


口喧嘩の切っ掛けとなった、直接の原因は何か知らないが

根本的な要因は総て

ストゥディウムに繋がっているのではないだろうか?と…

容易に推測されるのだが、ストゥディウムはそれを止める事は無い


『馬と歩きたいから貸してくれ』と、プルウィアから・・・

教会と、教会に併設している孤児院へ寄付する贈り物を詰め込んだ

大きな荷物を乗せた馬を預かり

私の隣を何食わぬ顔で、歩いて行くだけだった。


私の目から見て、ストゥディウムの行動は

アルブムとプルウィアを喧嘩させる様に仕向けた

確信犯的な行動に見える


「セププライの記憶の中のボス猿のままなら、しなかった様な

狡猾的な行動だな…」

私はストゥディウムの変化に興味を持って、ストゥディウムに対して

『ストゥディウムさん、部下の人達が揉めてますよ?

止めないで大丈夫ですか?』と、話し掛けた。


ストゥディウムは、私に話し掛けられるとは思っていなかったらしく

少し驚いた表情を見せ

『あぁ?不味いと思うなら、お前が止めろよ』と

怪訝そうな表情を私に見せる


『嫌ですよ、面倒臭い』コレは、私の正直な意見だった。


『じゃ、気にすんな!』

『軽っ!それでも団長かよ…』

『ん?お前…時々、言葉づかいがセラ並みに悪いな…』


私は「セラって誰?」と思いながら、ストゥディウムと数言話し

セププライとして生きていた時代のストゥディウムと

今世出会った、大人になったストゥディウムが思ったよりは

そんなに変わっていない事を知って、何故だかちょっとだけ安心し


私はコレ以上、ストゥディウムに拘り、ストゥディウム経由で

今世の私の存在が、現在の国王に・・・


女神の刻印を持つ者の中から

「セププライの転生体」を探していると言う噂のある

国王「ウーニウェルスム」の耳に入り、目に留まるリスクを考え


リスクを無駄に背負わない為だけに

ストゥディウムに対する興味を「気の所為」だと自分に納得させた。


ストゥディウムの方は…と、言うと・・・

新しい玩具を見付けた子供の様な表情で私を見て

『でも残念ながら、それが団長な俺の信念なんだ』と笑顔を見せる


結果、私は少しイラッとし

『団長の責任感が行方不明じゃ、団員は大変だな』と吐き捨てた。


ストゥディウムは、私の言葉に気を悪くする様子は無い

『それ程でもないぜ?』と、ニヤニヤ笑いながら

私との間の距離を詰めて寄って来る


『は?何それ…空気読めない系?

そんなんじゃ、何時の間にか部下に恨まれて寝首掻かれるぞ』と

私は近寄られた距離分だけ、大袈裟に離れながら

皮肉を言ったつもりだったのだが


私の言葉に対し、ストゥディウムが何故か大声で笑い出し

『お前…俺の部下だけでなく俺をも心配してるのか?』と

想定外な反応をして来て、私は戸惑うばかりだった。


もしかしたら、騎士団と言うモノに入ると

変な方向に見聞を広げ

笑いのツボまでも変な所に設定されるのかもしれない


私は本気で嫌そうな顔をストゥディウムに向け

『おいおい、寝言は寝てから言えよ?』と、溜息混じりに言った。


ストゥディウムは、懐かしい物でも見付けたかの様な

物憂げな表情を見せ

『本当にお前は、セラみたいに天邪鬼で御人好しだな』と言い

私がヨロケル程に私の肩をバシンと叩き

『フロース!お前、俺のモノにならないか?』と言う


先陣を歩くコクレアとユーニが、驚き振り向き立ち止まる

私は無言で走り逃げ・・・

振り向き立ち止まった、コクレアとユーニの背中に隠れ


結果、馬を連れたストゥディウムが馬と一緒に止まる

後ろで口喧嘩をしながら歩いていたプルウィアとアルブムも

ストゥディウムを凝視して立ち止まった。

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