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021[巻き込まれてる私の現状]

[巻き込まれてる私の現状]


『あら?私に迫られるのは有りなの?』

『迫られるのは有りだけど、その先は期待するなよ?

コクレアは、私がアピスに操を立ててるの知ってるだろ?』と

コクレアと私が雑談していると

ユーニとアルブムが私の愛馬のアモルを連れて寄って来て

『アピスって誰?』と訊いて来る


私は一瞬だけ目を伏せ、俯き

『こんな私を愛してくれた

私にとって、今でもとても大切な女性だよ』と言う

この言葉に嘘は、無い・・・

彼女は「私を自分の子供の様に愛してくれた」

私にとって、本当にとても大切な

「母親的存在であり、姉的存在でもあった人」だった。


私はアピスの事を思い出し、アピスが死んだ時の事を思い出し

辛くなって少し涙ぐんでしまう


コクレアがそれに気付いて、ハンカチを出し

『化粧が崩れてしまいますよ、鏡を見ていらっしゃいな』と

逃げ道を作ってくれる


私はコクレアに感謝しながらカーリタースの店の中に入り

鏡のあるトイレ近くの洗面台の方に行って

化粧の崩れが無いか?確認しに行く事にした。


私がその場から逃げ出した後

私の醸し出す暗い雰囲気の為に、余計に気になってしまったのか?

ユーニとアルブムが、コクレアに説明を求めているのが微かに

私が移動した洗面台の方まで聞えて来る


コクレアはカーリタースに一度、視線を向け

『アピスは私と同い年で、私の幼馴染だった娘よ

色素が薄くて色白で、亜麻色の髪をした綺麗な女の子だったわ

真相は知らないけど…坊ちゃんの「教練士マギステル」で

最初の興行師ラニスタだったカーリタースの御父さん曰く

「母であり姉であり恋人でも有った」って言うのが

フロース坊ちゃんに付いての周知の事実ね

私から見ても、坊ちゃんにとってのアピスは

誰よりも特別な存在であった事は、間違いないわ』と

カーリタースを巻き込む形で、説明していた。


私は誤解を助長する為に、その話を止める事無く

話が終わるのを待ち聞き耳を立てながら、化粧を直し


「死んでしまった恋人」の無念を晴らす為だけの為に

「剣闘士養成所に匿われた犯罪者」を殺す為に

私が「二刀闘士ディマカリエ」になった話しが出てきた所で


私はそれ以上の情報を「騎士団の人間」に話されたくなくて

コクレアに近付き、コクレアの口を背後から手で塞いで

『それ以上話すな』と、会話を止めた。


その場に居た者達が、コクレアの話しに聞き耳を立てていた為

「カース(呪い)の筆頭剣闘士プリームス・パールス

死の贈り物をするフロース」と

ちょっと、何か恥ずかしくなる「二つ名」が周囲から囁かれ


その「二つ名」とセットとなった噂の為に

噂を知る者達から、私に対する同情含みの視線が向けられる

ソレはソレで嫌なのだが…


私の性別が女である事を公言されるよりは、まだマシなので

其処は色々、ウザイ状況を生み出してはいるが

取敢えず、我慢する事にした。


コクレアの話しの御蔭か…フロースについての噂の御蔭か…

はたまた、私が色々画策した結果か…


私が付け胸を外し、その平らになった胸に対して

何かしら納得し、あからさまに溜息を吐く男達が居る

その一方でまだ、それでも・・・

「男女のでは無く、女同士の恋人同士かもしれない」と考え

私が「女だ」と、疑いの目を向けて来る者達も存在していた。


現世で、ナウマキアへの参戦をしていた時代

それに続く、剣闘士時代から私を知るモノは兎も角として

現在、この場合に困るのは・・・

私の過去を知らない者達の中で、後者な思考を持つ者達の行動


コレは、前世の私と…現世の私の…

今までの経験上から導き出される憶測なのだが


私の事を良く知らない者達は特に、高確率で

私の性別を自分達が納得できる形で調べる為だけに

きっと、凄く非道な行動を平気で起こしてくれる事であろう。


「この手の輩は聖戦志向で、自分の正義の為になら

どんなに非人道的で、無秩序な手段でも、厭わないんだよなぁ~

で、自分達の正義に反する答えが出たら

自分達の正義を称える為だけに

自分達の考えに反する答えを持っていた者を強制的に

自分達の生贄にしてしまうから、面倒なんだよな

而も今回の案件では多分…

私が女である事は、嘘を吐いていた罪で裁かれ

私が男でも、期待を裏切った罪で裁かれるパターンだな!

ホントマジで救いが無い!今回は、ヤラレル前に狩ってしまうか?」


なぁ~んて事を思案しなきゃならなくなったのも

それもこれも、総ては・・・

我が国の第一王子「ユーニウェルシタース」の

想定外な発言による余波の御蔭である


その余計な発言をしてくれた当人であるユーニは…と、言うと

「無知の罪」か「空気が読めない罪」で

「天罰が下れば良いのに!」と言うレベルの無邪気さで

私の隣で、私に無垢な微笑みを掛けてくれているのであった。


そして今、更に、私は正直「家に帰りたい!」と思い始めている

もしくは・・・

「帰宅途中に罠を仕掛け

私の性別を確認する為にオイタをする者達を

憂さ晴らし序に狩り虐め倒したい」何て、そんな気分になっている


何がどうしたって・・・

私が「付け胸を外す」と言う「パフォーマンス」を

態々しなければいけなくなったエピソードの後


コクレアが人知れず、本人も知らず

私の性別に関する誤魔化しの手伝いをした後くらいに

遅れてやって来た、騎士団の団長「ストゥディウム」の

明らかに杜撰で簡素過ぎる作戦の説明の為だった。


ストゥディウムはやって来て早々、一段高くなっている

カーリタースの店の入り口付近にやって来て

『今から指令を伝える!』と、唐突に雄叫びを上げ


『まずは第一の作戦!

これは、アジトまで案内して貰うのが目的だ!

コクレアを中心に、フロースとアルブムの3人が囮役として

教会の街道を挟んだ向かないの墓場に入り、人攫いをしてる奴等に

プチっと簡単に、ワザとらしくなく拉致られる!』と

コクレアと私、ユーニの隣で嫌そうな顔をするアルブムを

ストゥディウムが、指で指し示し


続いて・・・

『次の第二の作戦は!我々が、その後をこっそり尾行して

アジトの場所を掴み、人攫い集団を一網打尽にする!

どうだ?皆、異論はないか?』と言った。


其処で、カーリタースが辛そうに申し訳なさそうに

『アイツ…アンナノでも俺の友人なんだ

仕事に失敗しそうだし、手伝ってやってくれ』と

早々に言って来ていなければ・・・


カーリタースが直々に頼んで来てなきゃ即!

狩りをする準備を整え、家までの道中、寄り道をいっぱいして

私を付け狙う者達を片っ端から狩り、楽しんでいる所である


私は舌打ちしながら、ボス猿…いや、傭兵のコスプレをした

騎士団の団長を嫌そうに見詰めた。


ユーニの「女」発言と、騎士団の団長の企画のダブルアタックで

私はマジで「逃亡してやろうかな?」とか

「暴動を起しちゃおうかな?」と言う気持ちに陥っていた


ユーニが私の抱えた苛立ちを知ってか?知らずか?

私の髪にそぉ~っと触れ、優しく撫でてくる


私は髪型が崩れるのを恐れ、ユーニの手を跳ね除けるのを我慢し

『私の許可を取らずに勝手に撫でてんじゃねぇ~よ』と、低音で

ユーニに聞こえる様に呟くが…効果は無く


『母親や姉みたいな存在が欲しいなら僕がなってあげるよ』と

ユーニは、意味不明な事を言い出した。


此処2年の付き合いで理解している事だが

誰が何を言おうとユーニは、自分で言い出した事を暫く

無理矢理強引に実行する事であろう

下手に抵抗すれば、ユーニが意地になってしまい長引いてしまう


私は今まで以上に、ユーニに付き纏われるのを恐れ諦め・・・

『付け毛が外れるから、髪に触るのは止めてくれよ』と

伝えるに抑えて、大きく溜息を吐いた。


丁度そこに「騎士団の団長の副官」だと言う

見覚えのある真面目そうで綺麗な女性騎士が姿を現し

『予定通りに別動隊の編成をしても良いでしょうか?』と

団長であるストゥディウムに話しかける


来た時から「こんな大所帯でどうするつもりだ?」と言う目で

カーリタースの支配する宿場町に集まった

普通っぽい鎧に身を包んだ騎士達と、傭兵達を見ていたので


私はその話を耳にして、ストゥディウムの事を

「あぁ~全くの考え無しの御馬鹿のままじゃなかったんだ」と

普通に見直した。


そして、私はストゥディウムの直属の部下である

その女性騎士の「プル」と言う愛称を名前を耳にし…

『あ!コイツ!

前世セププライだった頃に、私に頻繁に突っ掛かって来てた

ストゥディウムの幼馴染のプルウィアだ!』と、確信して


「この計画立てたのプルウィアか?

もしかして…もしかしなくても、ボス猿って御馬鹿なまま?」と

私は計画の方に安心感を持ったが…

ストゥディウムに対して、大きな不安を抱えるのであった。


綺麗な女性騎士のプルウィア指示で

烏合の衆が綺麗に選別され、幾つかの部隊に分かれて行く


3方向に延びる街道の先にある宿場町に向かい

そこで、この国の子供の奴隷を連れた奴隷商人が居ないか?

その奴隷の子供が、攫われた子供でないか?を

脅してでも、強制的に調べるらしい…


私は自分が含まれる囮メンバーと

そのサポートに当たるメンバーの顔触れを見てまた、溜息を吐いた。

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