002[私が望まぬ関係]
[私が望まぬ関係]
隠し部屋となっている自室を出て
3階の端にある隠し通路を備えた部屋からも出て、廊下を通り
私は誰とも会う事無く、一人で2階へと向かう
3階から2階へ降り始めると・・・
『おはよう!フロース!』と言う、底抜けに明るい声と
足早に歩く軽い足音が聞えて来た。
準騎士エスクワイアに昇格する年齢で騎士になり
2年前、此処へ14歳で先輩騎士達に遊びに連れて来られた
この国の王子様、現国王ウーニウェルスムの息子
私より半年前に
16歳になった我が国の第一王子様「ユーニウェルシタース」
通称「ユーニ」が、庶民が着用している様な服を着て姿を現した。
私はユーニに挨拶を返す事無く、出会い頭に溜息を吐き
苦笑いを浮かべる
彼の存在は・・・
前世の私、セププライの恋人だったウーニウェルスムが
過去の私、セププライを殺す前からずっと
「裏切り続けていた」と言う「物理的証拠」なのである
「マジで性質の悪い…冗談の様な本当の話だよな」
私は何だか悲しく虚しく、切なくなった。
目の色だけが、ウーニより青いユーニが
ウーニに似た姿で階段を上り
何の因果か、今の私に向かって嬉しそうに駆け寄って来る
ユーニは、私が起きて来なければ
私の部屋の鍵を抉じ開けてでも起しに来ようとする困った輩で
ある意味、私の最大の敵であった。
私は着替えて部屋を出る時間が
少し遅くなってしまっていた事に気付き、ゾッとしてから
ユーニに3階にある部屋まで侵入されなかった事
隠し通路がバレて、自室に入られなかった今日に感謝する
『フロース!迎えに来たよ!』
私はユーニの無邪気な笑顔に気が抜けて、脱力気味に笑い
『頼んでね~よ…お前が勝手に決めて来てるだけだろうが』
ユーニに対して、大きく大袈裟に溜息を吐いて見せた。
ユーニは16歳になった今でも、子供の様に頬を膨らまし
『何だよ、その態度!僕が折角、御迎えに来てやったのに!』と
恩着せがましい発言をして
感情的になった時や、光の加減で若草色に見える綺麗な瞳を
何時もより、キラキラと輝かせて
『まぁ~いっか、今日は違う頼み事をしに来たんだ聴いてくれ
そして今日こそ、良い返事を貰うよフロース!
君を「真っ当な真人間」にしてあげるから
僕の専用の従騎士「エスクワイア」の地位に付くと
今直ぐ、此処ででかまわない!宣言してくれたまえ!』等
本日もユーニ的に都合の良い、訳の分らん事を口走ってくれていた。
「ふざけんな!誰が貴様の命令なんぞに従うか!そもそも…
私の生き方にケチ付ける権利無いだろ!お前!」
と、言いたい所だが・・・
王子様の命令に、平民と言う立場の今の私が
真っ向から逆らうのは少しばかり立場上、都合が悪い
「出会って2年も経つってのに、成長しやがらねぇ~なぁ~もう
そもそも、私…騎士団に入ってないんだけどな!」
私はユーニの取り扱いに困り、最終手段に手を出す事にする。
私は眠る中で見る夢の中とは違い
感情を伴わない前世の記憶「セププライの知識」に問い掛ける
前世の私の知識で、現世の私が対処法を検索する
思考時間は一瞬、相手の思考を先読みした反論が導き出される
私は「これぞ夢日記の成果!」と頬を緩ませ
『困った坊ちゃんだな…騎士の勉強ちゃんとしとけよ?
誰であろうと小姓の仕事を最低でも数年
ペイジの位を経てでないと
エスクワイアには成れないんだよ、覚えとけ!
更に言えば、小姓の主人を決めるのは隊の隊長の仕事だろ?
諦めろ、お前に私の主人を決める権限は無い
ペイジの先のエスクワイアの主人を決める権限だって
ユーニには無かろう?』
想定通り、私の言葉にユーニが怯んでくれた。
聡明に育てられた前世の私の知識の力は絶大だ
『そうだっけ?って言うか何で?
騎士団にも入って無い、フロースがそんな事知ってるんだよ!』
但し案の定、ユーニは
隙を付いて食い下がって来ようとしている様子
私は隙を見せない様に注意しながら
本当は、前世の私が姫として勉強したからだけど・・・
『秘密じゃないからだろ?寧ろ、知っとくべき事だからだろ?』と
私はユーニに対してニヤリと笑って
こっそりユーニにバレない様に虚勢を張ってやった。
パン、パン、パン、パンと、誰かが私の反論に対して拍手した
2階にある、階段近くの部屋の扉が開いており
『良く知ってるな!君、身内に騎士でもいるのかい?』と
位の高い部類の者が纏う鎧を着た、若そうな騎士が顔を出し
ユーニの姿を見て、騎士はゴクリと息を飲み
慌ててユーニに敬礼をし
『おぉぉおう…じ…様…いえ、ユーニ様!
何で、こんな不浄な場所にいらっしゃるんですか!』と
騎士が無駄に大きな声を響き渡らせた。
私は部屋の中から覗く、パトロンらしき熟女系の女性姿を見て
最近、見聞きした記憶を探る
あの人の飼ってる男って事は、私の記憶に間違いが無いのならば
歴代、優秀な近衛騎士を輩出し続けている
立場の浮き沈みの激しい貴族の家の人間だった筈
私の中で、過去の記憶が少し開く・・・
目の前の騎士の父親の顔と、目の前の騎士の幼い頃の顔が浮かび
「そうだ、コイツって…
ウーニの取り巻きだった奴の息子じゃないか!」と
ちょっと、凄く意地悪してやりたい気持ちが湧きあがる
私は無遠慮に騎士を睨み付けたまま、階段を少し下り
2階に降り立って、自分より30cm程背が高い
騎士の間合いにスッと入り込み
自分の拳を鎧の胸プレートに、扉をノックする様にコンっと当て
『今の台詞、自分の連れの女性に対しても失礼ではありませんか?
君が、この場所を不浄だと思うなら
この界隈の店をこれから先、二度と利用しないでくれたまえ!』と
見上げる様に見詰め、低い脅す様な声色で騎士殿に囁き掛け
相手が動揺した所で、軽く突き飛ばしてやった。
打って変わって・・・
『早朝に無駄に騒ぎ、申し訳ありませんでした。』と
奥に隠れて様子を見る貴婦人に対して
優しい微笑を浮かべ、営業スマイルを見せる私
女性は私の顔を見ると一瞬驚き、頬を染めて私に微笑を返し
『大丈夫よ!気になさらないで』と、言ってくれた。
騎士殿は・・・
突き飛ばされ、転び掛けたのと
その後の私の行動が気に入らなかった御様子で、顔色を変える
私はそんな事を気にせず、女性にだけ恭しく頭を下げてから
颯爽と1階への階段へと向かった。
『待て、フロース!まだ、話は終わって無い!』
暫く呆気に取られていたユーニが、慌てて私を追って来る
更に、ユーニのモノでは無い
重く金属の擦れ合う音の混じり合った足音が・・・
ユーニの足音を追い越し、私の方へ向かって来た。
騎士殿が、私を捕まえようとするだけなら
「当て身を食らわして、その場に尻餅でも突かせてやろう」
なぁ~んて思っていたのだが
『私とユーニ様に対する無礼を悔み、地獄に堕ちろ!』との
騎士殿の御言葉
私の態度が最初から悪かったのが悪いのだが
騎士殿の心は狭く、どうやら私の当てが外れた様子だ
私は騎士殿が剣を抜いた音を確認して、タイミングを見計らい
楽しげに振り返りながら階段の下に向かってジャンプし
ユーニからは騎士の背中に隠れ、見えない場所で
斜め下から鎧を止める紐を狙い、太くて短いナイフを投げた。
私はナイフを投げた勢いで進んでいた正面に向き直り
そのままもう一度、今度は上へジャンプして
階段の上り口を照らすシャンデリアに手を掛け、ぶら下がって
落ちて来る騎士をやり過ごす
体に固定していた鎧が外れ、無様に転げ落ちる騎士殿
それに驚き、慌てて助けようとするユーニ
「何か事を起こすのではないか?」と心配して
騎士殿を追ってきたパトロンの女性が、騎士が落ちて行くのを見て
階段の上で大きな悲鳴を上げた。
父親の所為で命を狙われ続けていたセププライが
実践で学んだ身を守る技術・・・
相手を怒らせ、倒しやすくする話術と殺し方
「顔が醜い」と言う理由で「取柄くらい無いと不味いだろう」と
優しさや、愛情を与えられる事も無く
代わりに「夫となる者を身を挺して守る為の術」と
「多種多様な暗殺知識」を強要される形で詰め込まれた
セププライの人生に存在する闇の部分は、私にとっての御宝
それを今の人生で、私が進んで学んで現在
「腕の立つ、フリーの傭兵」として、生活している
なので、当てが外れた時点で趣味と実益を兼ねて
「殺してしまおうかなぁ~…」と、少し思っていたのだが
今回は、命までは取ってしまえなかったらしい
私はシャンデリアから飛び降り
階段の下の方に転がる騎士殿の息と意識を確認して
何があったかをちょっぴり口止めする為に
『「階段から落ちただけ」と
「背後から襲いかかって返り撃ちにあった」の…
どっちが、騎士として恥ずかしいんだろうね』と、囁いてやった。
w本篇と関係が有る様で無い御話w
つぅ~か既に、沿ったネタが思い付かなくて脱線中です!
で、唐突ですが!西洋の鎧って気になった事ありませんか?
一人で着脱できないからと
鎖帷子の裾が来る事もありますが、用を足す為の為だけに
下半身の一部の前後を完全には護らず
ミニスカートやチュニックの裾で茶を濁すスタイルの鎧に対し
「腐女子」と言う言葉が存在していなかった大昔
腐女子の世界に片足を突っ込み掛けてた、小2の頃
当時の私は・・・
闇に屠られ系の裏側の時代背景を完全に把握しておらず
『そこは急所じゃなかったんですか?』と
無邪気に突っ込みを入れたモノです。
私の場合、その少し前に…BLの師匠に運命的に出会い
後々、色々な事情を訊く事ができ、一個人的に納得しましたが
普通の人は気になったり追及したりしないモノなのでしょうか?
腰を護る部分を繋ぐ「ベルトやボタン・革紐」を外し
胸のプレートを脱ぐと、下半身は・・・
女性であっても勇気の有る人しか着用しない
膝上15cm~20cmオーバーの・・・
フレアスカート
フリンジ付きのスカート
キルト(民族衣装)・プリーツスカート
・・・なんですよ!凄くないですか?
まぁ~足元は、ニーハイソックスでもニーハイブーツでも無く
鎧なんですけどねw
でも、スカート捲れるとパンツが見えます!
って、誰へのサービスなんでしょうか…。意味行方不明w
捜索願は出さない方向w




