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013[私のちょっとした悪戯]

[私のちょっとした悪戯]


ユーニが今回も、助け船を出してくれそうに無いので

ユーニからの手助けを諦めて「同業者って、どういう事だ?」と

コクレアに質問したかったのだが、しかし・・・


『おい!そこのガキ!よぉ~く聴け!

決闘を受けるなら、相手にしっかり敗北感を味あわせるやり方で

しっかりと対戦相手を倒すべきなんだぞ!』と言って

ボス猿団長が出没した為

私はコクレアに質問し、訊ねるタイミングを失った。


私がイラッとする中、ボス猿団長の説教は続く・・・

『決闘ってのはな…

剣の技を観客に見せる一芸大会じゃないんだ!

御蔭で今回みたいに、俺みたいなのが出張って

事態の収拾に努めなきゃ駄目になったじゃないか!迷惑極まりない

そこん所、ちゃんと理解できないなら次からは決闘を受けるな!』

ボス猿団長は、まるで私が悪い事をしたかの様に言ってきている


私は前世でも今世でも、ボス猿とは理解し合えないと理解した

『黙れボス猿!事態の収拾なんて私は頼んでないぞ!』

私の言葉に周囲がどよめいく


『そもそも私に「決闘とやら」が終わった後の事って関係なくない?

勝手に喧嘩吹っ掛けて来て、勝手に賭け事にして盛り上げて

自分達で勝手に作ったルールを押し付けて、私を巻きこんで

その自分達のルールで勝手に負けて、それで暴れる騎士達に対して

騎士でもない私が何故に譲歩せねばならないんだ?馬鹿馬鹿しい

自分達が作ったルールが守れないなら、初めから作るな!

守れもしないルール作って、決闘の相手にまで

そのルールを押し付けてんじゃねぇ~よ!胸糞悪い』


私は言いたい事を言い返して、少しだけスッキリした所で

テラスの座席に着くのは辞退し、帰る事にした。


その時、丁度・・・

店員が2台のワゴンで、それぞれ2方向から

注文の品を慎重に運んで来ていた


「ん~ちょっと邪魔かも」

私はしっかり、ぬかりない様に周囲を見回し

人と座席の位置配置の為、通れる場所は限られている事を確認する


『ボス猿って…もしかして俺の事か?』

ボス猿団長はビックリした様子で苦笑いしながら

私の行動に1つ1つに警戒している御様子だ

今、驚いた事で身構えているのが雰囲気から見て取れる様になった。


私の噂か何かを聴いて

自分が攻撃を仕掛けられる可能性を考えた様で

その為に、無駄な注意を払ってくれているのであろう


「噂に踊らされてくれているとは、有り難いな

逆に隙だらけじゃないか…無駄に拘わらなければ帰れそうだ」

私は簡単に通り抜けて、そのままの勢いで帰れそうな事を喜び

取敢えず、ボス猿団長とアルブムの間を通り抜け

テラスから建物の中に入る為の移動をした。


でも、見落としている事が有った

ボス猿団長とアルブムの間を通り抜けかけた途端

コクレアが慌てた様子で・・・

『あ!坊ちゃん!帰る気でしょ!帰っちゃ駄目ですよ!』と

私が此処に居続ける事に興味を失い、帰ろうとしている事に気付き

私を呼び止め様とする


歩いていた私は、そのままスピードを上げ軽く走り出し

ボス猿団長が『あ!コラ!待て!』と、私を捕まえようとした

が、しかし…私がボス猿団長に捕まってやる理由なんてない


私はボス猿団長により伸ばされた手から

普段、戦いの時に使う瞬発力を発揮し加速して逃れてやった。


ボス猿団長が眉間に皺を寄せ、舌打ちをし『捕獲せよ!』と叫んだ

私が「誰に命令してんだ?」と思ったのも束の間

ピンクのショートドレスを着用した店員全員と

少し離れた場所にある座背で食事をしていた客や

ユーニと、ボス猿と一緒に此処へ来たアルブムまでもが

一斉に剣や棒状の物を手に、私に向かてくる


「うっそぉ~…もしかして、皆さん全員が騎士団所属の人ですか?」

想定外の出来事に驚きつつも、私はちょっぴり楽しくなって

ちょっとした作戦と悪戯を思い付いた。


店員のピンクのショートドレスは、コルセット仕様で

筋肉質な女性の胸をキツク強く締め付けている

筋肉質な分だけ、動けばコルセットに掛かる内側からの圧力は

凄く増大してしまっている事だろう


「こんな時に、背中の紐を千切れやすくしたり切ったりしたら…

締めつけの反動で、胸がポロリしちゃうかもなぁ~」

私は刃物を扱う商店で廃棄に出す予定にしていた

切っ先が折れた短剣に、最期の仕事をさせてやる事にしたのだった。


そして、あちらこちらでキャーキャー甲高い悲鳴が上がる

店員の女性の背中に存在するコルセットを締め付ける紐は

筋肉質で有ればある程、背中との隙間が大きく

紐を切ると面白いくらい、胸か…胸を大きく見せる為のパットが

弾けるように飛び出し、時には弾け飛ぶ様に飛び出て来る

「コレは…想定以上に面白楽しいぞ!」


因みに男性陣は今・・・

赤面してオロオロしているか、しゃがみ込んでいる

初心そうな者達がいる一方


何か冷めた目で、こっちを見ている

男食家らしき男達の影も、ちらほら見受けられ


口先だけ『相手は武器を持っている危ないぞ!気を付けろ!』

『大丈夫か!怪我はないか?』と、言いながら女性陣に駆け寄り

状況を目で楽しんでいらっしゃる者達・・・

私を褒め称え、応援してくれる者達・・・

それぞれに一部、女食家らしき女達含むが無数に存在していた。


それはさて置き・・・

「誰も加勢に来ないとはコレ如何に!

私的には捕獲対象側だから、増援が来ない事は助かるんだけど…

騎士団がこんなんで大丈夫なのだろうか?」


集団は大きく成れば大きくなる程に1枚岩ではいられなくて

ミルフィーユの様に折り重なる構造になるのが普通だがしかし・・・

自分で「こんな事」をやっておいて何なのだが

行動開始以降、統率を取り続けられない騎士団ってどうなの?

私的にコノ国の先行きが、とっても心配になってしまう


「一時はコンナ国、滅びてしまえば良いのに…とまで

思っていたのに、こんな風に心配してしまうなんて…

コレは、私に何処か気の迷いが有るのか?気の所為か?」

と、余計な事を考えていると…私の背後に誰かが近付いてきた。


溜息を吐き、呆れ顔をしていたコクレアに、動きは無い


ボス猿隊長の命令に従おうとする者達の内・・・

女性陣は粗方、胸ポロか…それでも挑んできた女性は半裸

更にそれでもって女性は、全裸に近い状態にして動きを封じ

そうされてない女性も警戒して近寄って来なくなっている


真っ赤になってオロオロしているユーニとアルブムも

そのままオロオロしっぱなしだ


現状を喜んでる男性陣や女性陣が来る事は無く

女を恋愛のライバルとして、敵対視している男達にも動きが無い

で、その他…自己責任から動けるのは

頬を少し赤く染めたままの「ボス猿団長」だけだった。


ボス猿は、セププライが生きていた頃と変わらずに

やっぱり「女」と言う生き物が苦手なままらしく

女性陣から目を背け、私に『勝負だ!』と言って挑んできた


正直な話、セププライの時代で実証済みなのだが

正攻法で、私がボス猿に勝てる可能性は殆ど無い

技量を互角にまで引き上げられたとしても難しいだろう


何せ、前世の肉体並みに現世の肉体も鍛えられてはいるが・・・

前世の肉体も今世の肉体も所詮「女」の体なのである

幾ら努力して鍛えても「男」の鍛え抜かれた体の筋力には勝てない


「さて、準備した卑怯な手立ては使いモノになるのかな?」

私は周囲をこっそり見回し、其処に一つくらいしか存在しない

弱点を利用した戦法を使う事に決め、行動を改めて開始した。


私は肌の露出を上げた女性陣が、ボス猿の視界に入る様に動き

動揺したボス猿の横をすり抜け、後ろに回り込むと同時に

ボス猿の腰の左側に無防備に下げられた剣を引き抜く


それから、その体勢を大きく変える事無くそのまま

バックステップを掛けて

剣をボス猿の鎧の腰の隙間に突き立ててやろうと思ったのだが

笛の音を耳にして、私は何時もの癖で

攻撃を外す行動に出てしまった。


ユーニが、カーリタースの笛を鳴らしたのだ


私は笛の音に気を取られ、攻撃の狙いを一度完全に外してしまい

軌道を戻しはしたが、攻撃を避けたボス猿団長の鎧の脇部分に

切っ先を当て、発された金属同士の擦れ合う音に

思いっきり顔を顰める事となった。


今回の事で、私にできた隙を突いて

ボス猿団長が再び私を捕まえようと手を伸ばして来る


私は距離を大きく取る様に離れ、振り返り

ユーニに対して『犬じゃあるまいし、従わねぇ~ぞ』と

ユーニが鳴らした、笛の音に対しての返事をした。


『坊ちゃんってば、ちゃんと従っちゃてるじゃないですか』

コクレアが楽しげにクスクス笑う


一方・・・

咄嗟に動く事も出来ず、一部始終を見ていたアルブムの顔が

驚きと青褪めで彩られ


ボス猿団長が苦笑いを浮かべて、溜息を吐き

『はは…あっぶねぇ~、あぶねぇ~

でも、躾はそれなりに出来てるじゃないか

必要なのは、躾より道徳教育だな』と零していた。


コクレアは小さなメッセージカードを懐から出し

遠くから私に見せ『カーリタースからの追加の依頼だよ』と言って

近付いてきてカードを私に手渡す


メッセージカードには

……我が小柄こづか「フロース」へ……

今回の任務の追加指令だ!君を一時、騎士団に預ける。

暫くの間、ユーニ君の言う事を聴いていなさい

そして、メイン指令は「秘密裏」にね。

……組織の鞘「カーリタース」より……

なぁ~んて事が書いてある


私は溜息を突き『謀られた…』と、呟いた。

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