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1話

リメイクですよー!

 光と闇は、表裏一体である。光があれば闇が出来、闇があるからこそ光が光と認識できる。

 世界にも、光と闇がある。

 かつて世界を導くために生まれた光は、現在までに世界を幾つにも引き裂いた。

 しかし闇は、その逆の道を辿った。

 そして、時は経ち、世界から闇は忘れられていった。

 しかし、闇に生きるモノたちは、決して消えたわけではなかった。




 ―――A・D・2030 7 30 2:■■:■■

 Japan/Nagano―-prefecture/■■■■■■■/■■■■■■

 Operation:■■■■■■

 “Stain”:■■■■■ ■■■■■■



 肌にまとわりつくような、熱く湿った夏の空気。だけど肌に感じる、払いようのない気持ち悪い感覚はそれ以外の何か(・・・・・・・)の存在をはっきりと感じさせる。

 無我夢中で走る。あれ(・・)に追いつかれてはならない。既に靴は片方何処かへ行ってしまったが、それでも走り続ける。濡れた制服が重い。後ろからは、悍ましすぎる、この世のものとは思えない何かが彼女を狙って追いすがる。

 走り続けて限界が来たのか、電灯の下で脚が唐突にもつれた。バランスを失い、転ぶ。激しい痛みが肘や足を襲った。

 慌てて立ち上がろうとするが、全身がまるで鎖につながれているかの様に重い。これが疲労によるものなのか、それとも今起こっている正体不明の何かによるものなのか、追いすがるそれに、彼女は一瞬目をやる。

 表現しがたい、そもそも実体を持っているかどうかも怪しい物体。強いて言うと、なぜか老婆の形を思い浮かべる。

 それは、彼女が転んだ電信柱の一つ先の電信柱の下で、まるでスポットライトを浴びているかの様にいた(・・)


「ひっ……」


 酸欠気味の肺からはそんな声しか出なかった。

 それは、嗤った。少なくとも、そう感じた。


「あ……あ……」


 重い体を無理に後退させようとする。空しく脚が地面をこすった。

 開きっぱなしにしていた目が限界を迎えたのか、自然と瞬きが起こる。

 次の瞬間、『それ』は彼女の目の前にいた。


「     」




 唐突だった。

 鋭い、風切り音のような音。次の瞬間、それの胴体に腕が優に通りそうな穴が斜めに穿たれた。


「■■■■■■■!!」


 それが叫ぶ。怒りにも、断末魔のそれにも聞こえた。

 再び風切り音。『それ』の頭と思われる部位が、消し飛んだ。『それ』はゆっくりと傾き、後ろに向かって倒れていく。そして、地面に倒れ込む直前、周囲の闇に溶けるようにして、消えていった。

 土砂降り雨の音の中、乾いた、何かを打つ様な音が遠く響き渡る。1回、2回。纏わりつくような気配は、もうない。

 彼女は、崩れるようにして意識を手放した。




「対象を発見、これより保護します――ステイン、運んでやれ」

「了解。ってか、これよく見たら俺の高校の制服ですよ。なんでこんな所に」

「大方飛ばされたか、ここまで何か目的が合って来たのか―――ついでだ。着替え終わったら家まで運んでやれ、制服でも着てれば怪しまれることはないだろう?」

「了解。どうもお疲れです」

「こちらこそ。いい腕だったな」










 "多分世界ってのは一人がどうあがいたって変わんないのだろうし、人が産まれようがくたばろうがお構いなく日は昇るし月は沈む。

 世界には光と闇があり、どんなに光が強くなっても闇が濃くなるだけで何も変わらないんだろう。結局、星空に物語を描き、自然に意識を見出した頃と人間は何も変わっちゃいなかったんだ――"



初めての方は初めまして、それ以外の方はこんにちは。

失木 各人です。

 今回はリメイク、という事で。拙作『先生、俺の平穏な日常が行方不明です』をリメイクしました。直したい部分だらけでしたし。

 かなりリメイクし、場所によってはほぼ別の話になっている今回の『平穏の魔術領域』。どうぞよろしくお願いします。

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