新たな遺跡へ(7)
俺は、ゾンビの返り血をサンダーの用意した即席のシャワーで洗い流すと、やっとこさ帰り支度をさせてもらえた。
「サンダー、ゾンビの返り血は洗い流したんだから、もういいだろう。乗っけてくれよ」
するとサンダーは、
「し、しかたないでござるな。分かったでござる」
と、少し嫌そうに応えると、ロボから自動車に変形した。
「これでやっと帰れるよ。ふぅ」
と、俺はグチをたれつつ、サンダーの運転席に乗り込んだ。後部座席には、巫女ちゃんとシノブちゃんが乗る。助手席はミドリちゃんだ。
「帰りも浮遊魔法を使うからね。流星クンは、ロボットになって屋根にしがみついていて」
「がってんだ。魔導師の姐御」
と言う事で、帰りもミドリちゃんの魔法で、封鎖された入り口の上空を見つからないように通ったのだった。
「あーあ、ひどい目にあったっすよ。俺、風呂入るから」
と言って、俺はホテルに帰るなり、そう言ってバスルームに入った。
バスタブに湯を張って深く浸かっていると、疲れが取れていく感じがする。やっぱ、日本人なら風呂だよな。
と、その時、いきなりバスルームの扉が開いた。
「うちも入るでぇ!」
入ってきたのは、鍛え抜かれた筋肉を持つ肉体派美人──シノブちゃんだった。
「う、うわぁ! 何で入ってくるんだよ」
俺は抗議すると、
「何ゆうてんねん。うちかてゾンビの返り血浴びたんやで。自分だけ風呂入って気持ちようなろうなんて、勇者さん、心が狭いやないかい」
「いや、そういう問題では……」
俺が口ごもると、またまたバスルームの外が騒がしくなった。
「くの一くん、自分だけ勇者クンと一緒にお風呂なんてズルイぞ。ボクもお風呂入る」
「皆さんがお風呂をいただているのに、一人だけ仲間外れは嫌ですぅ。わたくしもご一緒させて下さいぃ」
そう言って乱入してきたのは、ミドリちゃんと巫女ちゃんである。
「あわわわ。何で、ミドリちゃんや巫女ちゃんまで入るの。四人も一緒は狭いよ」
俺が慌てていると、
「何、了見の狭い事ゆうてんねん。この際、皆で入ったらええねん。ほらほら、入り入り。魔導師さんも巫女さんもおいでや。丁度いい湯加減やで」
「それじゃぁ、遠慮なく」
「勇者様、くの一様、ありがとうございます」
そう言って、巫女ちゃんもミドリちゃんも裸でバスルームに入ってきた。
「よーし、入るよぉ」
「お邪魔しますぅ」
と、言う事で、狭いバスタブに四人がひしめく感じで、湯に浸かる事になった。
「ちょっち狭いかぁ」
「大丈夫だよくの一くん。同じチームメイトじゃないか」
何が大丈夫なのか全く分からないが、俺は三人の美女の中で潰されそうになっていた。
「今日は、世話になったさかい、後で魔導師さんの背中、流したるわぁ」
「おう、頼むよ、くの一クン」
と、俺の事なんかお構いなしに、めいめいに風呂に浸かっていた。しかし、狭いな。俺は、身体の各所に当たってくる女性の膨らみの感触で、欲情しつつあるのをギリギリで抑えていた。こんな所で暴発は、絶対避けねばならない。
しかし、ガマンにもいつかは限界がやってくる。
「じゃあ、俺は身体洗って出るから」
と言って、そそくさと湯船から脱出しようとした。
ところが、
「何や勇者さん。もう上がるんかい。汗をダラダラかくまで浸かっとらなあかんでぇ」
と、シノブちゃんが口を挟んだ。
「い、いや。身体洗わなきゃね。ゾンビの返り血を浴びたんだし」
と、俺は飽くまでゴネた。
「そうか、勇者クン。なら、ボクが背中を洗ってやろう。いつも苦労掛けてるお詫びかな」
「じゃぁ、うちは頭を洗ったるでぇ。ゾンビの汁、大量にブッ掛けられたなぁ」
え? ミドリちゃんにシノブちゃんまで。これでは逆効果なんじゃないか。
「では、わたくしは前の方を洗って差し上げますわね、勇者様」
み、巫女ちゃんまで!
これは、男なら嬉しい悲鳴の筈なのだが。いかんせん、俺にはそういう事に免疫が無かった。彼女いない歴=年齢だもの。仕方ないだろう!
「では、洗いますねぇ」
「待って、巫女ちゃん。前はいい。自分でやるから」
「よろしいではありませんか。わたくしと勇者様の仲なんですから」
俺は焦った。
「ホントに前は自分でやれるから。お願い、勘弁して……わわっ、目、目がぁ」
その時、突然のシャンプー液に、俺は目をつぶった。
「勇者さん、髪洗うっつうたろう。しっかり目ぇつぶっとらんとしみるでぇ。ほらっ」
ガシガシと頭を掻かれる感触がした。ううう、目にしみる。
「ああ、いいよ。全部自分でやるから」
と、俺は抵抗を続けたが、
「なに水臭いことを言ってるんだい。ボク達と勇者クンの仲じゃないか」
「せやせや。遠慮なんてせんでええって」
「その通りですよ、勇者様」
と言いながら、美女三人は強引に俺の身体を弄んでいた。
うわわわ、理性かっ、理性がぁぁぁ。
と、突然、俺の一物が握られる感触があった。ああ、ヤメテ! そこだけはヤバイから。やめてぇー。
「あらあら、これは何でしょう?」
と、巫女ちゃんの声がした。お、お前かぁ、握っているのは。
「ああ、それはバナナや、バナナ」
「くの一様、バナナと言うと、黄色い皮の中身が美味しいやつですか?」
「せやせや。よおく洗って、一口にパックンてするんやで」
あー、コラコラ。巫女ちゃんに変な事を教えるんじゃない!
「シノブちゃん、いい加減な事を巫女ちゃんに教えないで。巫女ちゃん、それは自分で洗うから」
「そうですか? でも、だんだん大きく硬くなってきましたが」
それはそうだろう。この状況では無理もない。あああ、助けて。
「巫女くん、それはね、大事なものだから、手で掴んでよく洗わないとならないんだ」
「そうですか。やはり、魔導師様は、物知りですわね。でも……もしかして、これは、殿方のチン[ピー]ではありませんか?」
「せーかーい。巫女さんは見るの初めてかい?」
「鳥やイグアナの物は見たことが有りますが。勇者様のモノは大きくて硬いですね」
「勇者さんやさかいな。大事に洗わなあかんで」
「おいおい、くの一クン。巫女クンには早くないか?」
「そんなんいつ憶えたってええねん。……もしかして、魔導師さん、生娘か?」
「そんな事、どうだって良いじゃないか」
「じゃぁ、うちが手本を示したるでぇ」
そして、俺の股間に柔らかい物がねっとりと這う感じが。そして、背中までゾゾゾゾという感じが登ってくる。これは本格的にヤバイ。
「シノブちゃん、それは自分で洗うから。だ、だから、ヤメテ」
その後に起こったことは、読者の想像に任せよう。
事実だけ述べると……その後俺は、女子三人の前で醜態を晒してしまったのだった(涙)。




