プロローグ
俺は、ある日突然に異世界に召喚され、勇者となった。
何かしらの予兆も前フリもなく。夜に眠って朝起きたら、異世界だよ。取り説も、心踊るオープニングもなく、いきなりゲームをやらされるようなものだ。
ただラッキーな事に、俺は、見た相手の属性が分かる『魔法の眼鏡』と、強力な必殺技を放てる『勇者の木刀』を手に入れることができた。これらが無かったら、きっとレベル1でゲームオーバーだったろう。
兎に角、俺にはラッキーなことが続いて、今日まで死なずに勇者を続けることができた。そして、心強い仲間も出来た。
さて、この異世界について、分かったのは次のようなことだ。
①この世界の人達は、皆『元勇者』であると云うこと。
②元々この世界は『アマテラス』と云う神に守護され、『アマテラスの祭壇』をネットワークして秩序が保たれていたという事。
③遥か昔に、この異世界に『邪の者』が入り込んで、アマテラスの祭壇を封印し秩序を乱した事。
④これに対向するため、アマテラスは別世界から才能がある者を勇者として招き入れていたこと。そして、勇者が挫折する度に、新たな勇者を呼び込むということを、際限なく繰り返してきた。
⑤勇者の使命は、封印されたアマテラスの祭壇を浄化し、この異世界を元に戻す事。
⑥元勇者達の築き上げた今の異世界は、俺の元居た世界とほとんど変わらないくらい、科学文明が進んでいる事。恐ろしいことに、銀行や携帯電話、インターネットさえあるんだよ。
アマテラスの祭壇を浄化する旅を続ける過程で、俺のレベルも上昇していった。今のレベルは10だ。だが、それは俺一人の力によるものじゃない。出逢った人達や、仲間達のお陰なんだ。
そうだ、俺の仲間を紹介しよう。
一人目は巫女ちゃん。生粋の異世界人で、邪鬼に封印されていたところを、俺が助けたんだ。この異世界の仕組みが分かったのは、巫女ちゃんの手助けによるところが大きい。しかし、元勇者達が作り上げた現在の異世界の常識には、さすがについていけず……。見当違いの行動をしたり、『精の付く珍味』を無理やり食べさそうとしたり……。まぁ、兎に角天然で可愛い女の子だ。
次が、サンダー。俺達の危機の時に、アマテラスが呼び寄せてくれた勇者ロボである。長距離移動の時は、自動車型のビークルモードに変形する頼りになるやつだ。更にはサポートメカの『ブレイブ・ローダー』と合体することで、無敵の巨大勇者ロボの『ブレイブ・サンダー』になる事も出来るんだぜ。ただし、ムッツリスケベで、下ネタが大好きなのが玉に傷である。
そして、ツンとした美少女がミドリちゃん。巨大な魔力で敵を撃退する魔導師なんだ。元の世界では超能力者だったらしい。一見ただのツンデレお嬢様に見えるが、昔、見殺しにしてしまった師匠がゾンビヘッドとなって蘇り敵として戦うことになるなど、悲しい過去を持つ。基本的には、彼女が一番の常識人で今の異世界については、一番詳しい。
それから、このグラマラスなお姐さんが、シノブちゃん。くノ一なんだって。でも、戦う時は、何故かプロレス技を連発する。普段は関西弁の憎めない美女なのだが、切れると恐ろしい破壊魔人だ。この人の扱いには、ホトホト苦労させられる。悪く言えば体育会系の脳みそ筋肉なんだけれど、こと戦闘になった時は、頼りになる戦士である。
ああーっと、忘れるところだった。こいつは、シノブちゃんの相棒で、バイクロボの『流星号』。元々は彼女の乗ってた中古のバイクだったのを、サンダーの予備パーツで、勇者バイクロボに改造されたのだ。当然、変形機構も備えている。バイクからロボに変形したり、シノブちゃんのパワードスーツに変形したりする、応用の効くやつだ。シノブちゃんとのコンビプレイは、機械魔獣やゴーレムだって撃破してしまう。ただし、ケツに関しては一家言あるようで、主人のシノブちゃんのケツは異世界一だって信じている。
これが俺の仲間だ。
俺は仲間達と共に、この異世界を巡り、封印されているアマテラスの祭壇を浄化する旅をしてるんだ。
おっと、忘れていた。この異世界って、ウンコ出ないからトイレ行かないでもいいんだぜ。