絶対恋愛宣言
第一話
早朝、今日から入学式である
ダイゴは支度を始めていた
しかし何やらその動作はかなり遅く
今にも倒れそうな顔をしている
「あれ?ダイゴもしかして寝てないの?」
姉である一条楓はダイゴの顔色を伺った
楓は麻からジャムパンを加えていてその姿は絵になる
と言えるほどの美人、のはずだが
酒癖が悪く男性と付き合っているところを見たことが
ある者はいない
「いや、気分が優れないだけ・・・」
ダイゴはそういうと冷蔵庫をあけ牛乳を取り出した
いつも通りでないのはダイゴの様子
それ以外はいつも通り普通、であった
突然だがこれは先日の話である
「なあ、ダイゴ」
「ん?何だよ」
友人の山岡隊長(偽名)が話しかけてきた
「俺、動画投稿するのやめにしようと思うんだ・・・」
「ぶはっ!?ちょ!?何言ってんだよ!!」
飲んでいたジュースを噴出すほど驚いた
「一緒に恋愛ゲーム実況がんばっていこうって言ったじゃないか!」
「分かってる!でも分かったんだ!!」
山岡隊長が叫んだ
「このままだと高校でも変な目で見られ!動画でも発言も馬鹿にされ!
先生からもすごくかわいそうな目で見られる!!そんなの高校でも続く
なんて!絶えられないんだ!!」
大体ダイゴの中では常日頃のことなんでぜんぜん気にしてないことを
山岡隊長は悔しそうに言った
「そこで考えたんだ、恋愛ゲームなんかやめて現実の恋愛を見つけよう
って。今なら間に合うって!!」
「何言ってんだ!そんなの今となっては気にしなくていいじゃないか!」
ダイゴは言い返した
「それに!はっきり言おう!!」
すると山岡隊長も言い返した
「君はヤンデレな子が好き。だろ?」
「あ、あぁ!愛していると言っても他言ではない!!」
それを聞いて山岡隊長は冷静に言った
「君は現実でそういう女性を見たことがあるか?」
「・・・え?い、いや、2次元だけかな?」
少し弱気になったダイゴに山岡隊長が言い放った
「宣言しよう!君はヤンデレと言うものに囚われている限り永遠に
幸せになることはないだろう!!」
そして、現在に至る
その暗いオーラを纏いながら高校への通学路を歩いていった
ダイゴの家から徒歩15分と言ったくらいの所に学校はある
しかしこの調子だと15分でつく自信が無い
「ええい!こんなにくよくよしても仕方ないじゃないか!!」
自分に言い聞かせる
実況動画の投稿だけはやめないと決意したが
山岡隊長の一言
「囚われている限り永遠に幸せになれない」
これが頭の中にずっと留まっていた
恋愛ゲームでも他のキャラクターの攻略は楽しかった、が
結局自分の目標は全ルーとクリア後に出ることの多い
ヤンデレキャラの出現だった気がした
いわゆる裏キャラである
「確かに変わらないと結婚なんかできずによい仕事に就いたとしても
ゲームに貢ぎ、ただの世に言うキモヲタと言うものの完全版になり、
家族にも相手にされず、挙句の果てには公園に散歩へ行くだけで職務
質問されるような存在へ成り果ててしまい・・・」
想像してるだけでも怖くなったダイゴの足取りが重くなる
すると、
「・・・・・・・・・よし、決めた」
少年の中で
ダイゴの中で
何かが変わった
「天然でもツンデレでも何でもいい!!何でもいいから!!」
「俺は現実で恋をしてやる!!」
それが、高校生活初日に少年がした
ひとつの宣言