5年間「好きです」と言い続けた僕と、5年間「お断りします」と言い続けた君
こちらはなろうラジオ大賞5応募作品です。
キーワード「5年」
「好きです、付き合ってください」
僕の渾身の告白は、彼女の「遠慮します」で玉砕した。
でも僕はあきらめなかった。
「すごく好きなんです」
「お断りします」
「付き合ってください」
「お断りしますって言ったんですけど?」
「断らなくていいです、付き合ってください」
「バカなの?」
逃げられてしまった。
次の日も告白した。
「好きです、付き合ってください」
「嫌です」
次の日も告白した。
「好きです、付き合……」
「無理です」
次の日も告白した。
「好きで……」
「消えて」
こんなやりとりが数ヶ月続いたある日。
彼女は言った。
「今日から5年間、毎日『好き』って言ってくれたら考えてもいいよ」と。
僕は有頂天になった。
「うん、今日から毎日君に『好き』って言うよ」
その日から僕は毎日彼女に「好きです」を連呼した。
もちろん彼女からの返答は「お断りします」だった。
それでもよかった。
僕の告白に返事してくれるだけで満足だった。
休みの日はメールを送った。
『好きです』
彼女からは『お断りします』という返事が送られた。
僕はそのメールを大切に保存した。
いよいよ今日で5年目という日になった。
僕はドキドキしながらいつものようにメールを送った。
『好きです』
けれど僕のこのメールに対する返信はなかった。
心配になって何度もメールを送った。
返事はなかった。
やがて彼女の妹と名乗る女の子からメールが届いた。
『お姉ちゃんが事故にあって意識不明』
慌てて病院の場所を聞いて彼女に会いに行った。
そこには人工呼吸器をつけたまま眠る彼女がいた。
まるで死んでいるかのようにピクリとも動かなかった。
僕は愕然とした。
今日で5年目なのに。
初めて彼女から本音が聞けると思ってたのに。
僕はゆっくりと眠る彼女の元に歩み寄って耳元でささやいた。
「君が好きです」
なんの反応もなかった。
僕の声なんか届いてなかった。
でも僕はあきらめなかった。
「君の笑顔が好きです」
「君のツンとしたところが好きです」
何度も何度も告白した。
すると彼女の眉がピクリと動いた。
「付き合ってください」
何度目の告白だろう。
僕の言葉にようやく彼女が目を開いた。
生きてる! という歓喜が僕を包み込む。
彼女は僕に顔を向けてほほ笑みながらこう言った。
「お断りします」
5年目の告白も玉砕だったけど僕は彼女が生きてるだけで満足だった。
安堵のため息をつく僕に彼女は続けてこう言った。
「だって今度は私があなたに5年間『好き』って言い続けたいから」と。
お読みいただきありがとうございました。
規定の1000字以内にするため、内容を大幅に端折ってます。
読みづらい箇所が多かったかと思いますが、申し訳ございませんでした。
最後までお付き合いくださって心から感謝いたします。