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scene2-5 解放

時刻はちょうど昼をまわったところ、ちょうど小腹もすいてきた頃合だ。


クラスメイトたちの中には、そそくさと教室を後にする者やこれから昼飯を食べに行こうと仲間で計画を立てている者などそれぞれで、教室内がいくらかざわついている。


咲坂さんは前者のようで、ようやく拘束から解放され俺が両腕を上に持ち上げてこった背中を伸ばしているときにはすでにその姿は無かった。


俺ものろのろと帰り支度を始める。


たぶん加奈琉も友達と昼飯を食べにでもいくだろう。


一方俺はというと、これから明日からの通学に必要な自転車を買いに行かなければならない。


たしか駅前に自転車屋があったはず。


しかしその前に俺も腹ごしらえをしたいところだ。


駅前で適当なファーストフードでも・・・と考えて、今日渡されたプリントたちをバッグの中へ滑り込ませているところへ不意に隣から声をかけられた。


声の主は隣の席になった女子で、名前は・・・そういえば自己紹介とかしてなかったな。


「お、小鳥くん・・・この後って時間ある?」


髪は茶色、毛先は若干ウェーブしていて全体的にふわふわしている。


顔のパーツは加奈琉のパッチリというかきりっとした感じとは違ってやわらかい感じでおっとりした印象を受ける。


加奈琉とは違ったベクトルでこれまた可愛い。


「いや、あの・・・とりあえずどこかで昼飯を済ませようかなぁと」


予想外の人物からの問いかけに違和感を持ちつつこたえる。


「そうなんだ?じゃ、じゃぁ一緒にお昼どうかな?よかったら学食とか案内するし。ぁ、で、でもほんとに迷惑じゃなかったらでいいんだけど・・・」


学食なんてものがあるのか、これからお世話になるかもしれない。


「じゃぁお願いしていいかな?」


思わぬうれしいお誘いに俺は喜んで応じる。


その子と一緒に教室を出る瞬間、背中に妬みの視線がグサグサと突き刺さってきたのは気のせい気のせい。



それからその子と並んで歩き始めたのだが、・・・まだお互い自己紹介をしていなかった。


それなのに、それなのにだ!なぜか彼女は俺の名前を知っていた。


なぜだ?


朝の掲示板前での咲坂さんのときもそうだった。


加奈琉から俺の名前を聞いたとたんに同じクラスだと言った。


そんなの物凄く珍しい名前か、事前に名前を知っていなきゃできないと思う。


そして今隣を歩いている彼女も。


もしかして以前にどこかであったことがあっただろうか?


もしそうだとして俺が一歩的に忘れているだけだとしたら・・・。


学食を案内すると言ってくれたのだから加奈琉と同じ中学出身なのは間違いないのだけど・・・。


聞けない、今こちらから名前を聞くのはためらわれる。


どうしよう・・・。

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