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scene2-4 教室

わーい、講堂だぁー♪


走り回りたくなるほど広い、しないけど。


間もなく始まった入学式は想像通り退屈なものだった。


もしかしたら今年『入学式=退屈』という公式を習うかもしれない、良い予習になった。



式が終わると退屈な時間に魂を抜かれたような顔をした生徒たちが講堂から吐き出されていく。


俺たちもその流れに飲まれるようにして講堂を後にした。


このあとはクラスごとに分かれて各教室で話があるらしい。


教室の前で加奈琉とは別れ、俺と咲坂さんはD組の教室へと入った。


教室ではすでにあちらこちらにグループができていて、会話に花を咲かせていたりした。


これを見る限りやっぱり知り合いどうしが多いらしい。


前のほうでは教師らしき服装の人が黒板にチョークをはしらせている。


女の人だ。


彼女はチョークを置くとこちらへ振り返った。


「それじゃみんな席についてくださーい」


透き通った感じのかわいらしい声だ。


声だけ聞いたら小学生と間違えてもおかしくないその声も、教師という職業にはむいているかもしれない。


教室にいた全員が彼女に注目した。


「先生、どういう順序で座ればいいんですか?」


前のほうにいた一人の生徒が質問した。


「どこでもいいですよ、好きな場所に座ってくださーい」


さて、どこに座ろうかととなりに立っていたはずの咲坂さんのほうを見る。


が、もうそこに彼女の姿はなく、すたすたと窓側の最前列の席に腰を下ろすところだった。


いつのまに!?


ひとりでは心細いので、咲坂さんの近くに座ろうかと考えていた俺。


しかし、前のほうには座りたくはなかったので仕方なく同じ窓側の後ろのほうに座った。



「皆さん座れましたかー?」


空いている席がないか確認している様子。


全員そろっていることを確認し終わると、先生の自己紹介が始まった。


女性の担任で、名前は水沢芳江みずさわよしえ、年齢はナ・イ・ショ♪らしい。


女性の年齢を詮索する趣味などないが、これはまた別の問題だろう。


気になる、気になる・・・。


気になったっていいじゃない、俺たちより幼く見えるんだもの!


ついつい腕を組んで水沢先生のことをまじまじと見てしまっていたことに気づく。


うーん、どう見ても・・・うーん。


「今日は席を決めて、プリントを配るだけでとくにすることもないから」


と言いプリントを前からまわしていく。


これといって不満も出なかったので席は最初に適当に座った場所で固定された。


「今日はつまらない話を長々と聞かされて疲れたでしょ?明日はいろいろ決めることがあるから休まないでね」


そんなこんなで登校初日はあっさりと幕を閉じた。

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