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scene7-5 たまにはこういった手段も必要だよね

本日晴天、創立祭!


1日目の今日はやることが盛りだくさんだ。


創立祭は2日間に渡って行われるので明日はゆっくりとできるといいなぁ。


そんなことを考えつつ、ただいまトラブルがないか構内を見回り中。


見回りといってもただだらだらと歩いているだけだけどね。


問題が起きていないのは良いこと良いこと。


まだ午前中だが創立祭はそれなりの賑わいをみせている。


これからもっと人が増えるのかと思うと少々頭が痛いけど、見回りの担当時間が今というのは良かったのかも。


でも、


「今日朝飯食べてないんだよなぁ」


良い感じに空腹なところに追い討ちをかけるように焼きそばの香ばしい香りが漂ってきた。


その匂いにつられてふらふら。


「ちょっと!?」


後ろから声をかけられる、焼きそばが俺を呼んでいるのに。


「なんでしょう?」


同じく実行委員を務める白河さん。


クラスごとに見回りの時間が決められているので仲良く一緒に見回り中。


「仕事中に焼きそばなんて買おうとしてなかった?」


さすが、クラスの委員長を務めるだけあって真面目だ。


・・・副委員長だっけ?


「いや、うん、してないよ」


にっこりと笑ってごまかす、見逃してくれないのね。


「ならいいけど」


そう言ってすたすたと先を歩いていく彼女の後を追っていく。


「ねぇ、ひとりずつ別々に見回りしない?その方が効率良いしさ(お腹も満たされるし)」


「だめ」


「えー、なんで?」


「だってひとりにしたら見回りサボって遊びに行っちゃいそう」


まだ付き合い浅いのになんでこんなに信用ないの?しょんぼり。


「いや、行かないよ」


俺は焼きそばを食べたいだけだ、なんならたこ焼きだっていい。


「・・・嘘、絶対に月城さんのとこ行くに決まってる」


「え?」


やばい、焼きそばが頭の中の8割を占めてる、そんで1割がたこ焼き。


「気にしないで、独り言だから・・・って聞いてる?」


「ん?・・・あぁ」



別行動案却下、空腹をこらえながら見回りを続ける。


それぞれの場所を通り過ぎる度に漂ってくる食べ物の匂い、おいしそうに頬張る客たち。


あーだめだ、ついつい食べ物を持っている人を目で追ってしまう。


見回りに集中しろ、俺!雑念デリート!


そんなこんなで何とか空腹をごまかしていると前を歩いている白河さんもさっきから度々すれ違う人に気をとられている。


それもよく見てみると食べ物をもっている人ばかりだ。


「なんだぁ、白河さんもお腹すいて・・・」


と、言いかけて気がつく。


違う、白河さんが見ていたのは食べ物を持っている人は持っている人でも小さい子を連れて親子で来ている人たちだ。


なるほど。



「ねぇねぇ、綿菓子好きなの?」


「なに、突然・・・」


立ち止まって振り返る。


「あれ違った?さっきから綿菓子持ってる人をちらちら見てたから」


白河さんは少し顔を赤らめた。


「うそっ!?私そんなにジロジロ見てた?」


「うーん、いやジロジロってほどじゃないけどちらちらと」


綿菓子が好きとか・・・可愛いな。


「ぁ、なに?今のニヤって、バカにしてるでしょ!?」


うわ、顔に出てたか。


「いやいや、綿菓子とか可愛いなと思っただけだよ」


「ほほほらっ!バカにしてんじゃん!」


え?バカにするようなこと言った?


「あーそんなつもりないんだけど・・・はいこれ」


綿菓子の入った袋を手渡す。


「え、なんで?ていうか、いつの間に」


さっき耐え切れなくなって焼きそばと一緒に。


まぁいわゆる賄賂っす。


「どうぞ、お納めくださいませ」


そうして俺は焼きそばを食べはじめる。


う、うまい!


「ちょっと!まだ、見回り中・・・」


「いいじゃん、もう少しで交代の時間なんだし」


白河さんは綿菓子の袋と俺の顔を見比べている。


「し、しょうがないなぁ、これはもらっとく」



「ふぅー、ごちそうさまー」


食べ終えるとちょうど交代の時間になった。


ごみを捨てて戻る、白河さんは綿菓子の袋を大事そうに抱えていた。


結局、見回りの仕事中は綿菓子に手をつけなかったところが、律儀というかなんというか。


「小鳥くんクラスの仕事の方は私と同じグループだよね?」


「うん、そうそう」


「あのさぁ・・・この後ってどうするの?」


この後は演劇部の公演があるんだけど・・・何時からだっけ?


「えっと、たしか・・・」


「コウちゃーん!」


名前を呼ばれた方を振り返ると、加奈琉が小走りで近づいてくる。


「早くしないと公演始まるよ!」


加奈琉に腕を掴まれる。


「あれ?こんな早い時間だったっけ?」


「早く行っていい席とらなきゃ、それじゃ白河さん、コウちゃん借りてくね!」


「ぇ、ぁ、うん、どうぞ・・・」


「行くよっ!」


そう言って加奈琉は俺の腕を、痛っ!


「引っ張るのはいいけど、捻るのはやめて!」


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