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scene7-4 過ぎたことを悔やんでもしょうがないよね

大体の買出しを終えた俺の両手は完全にふさがっている。


持ち手の紐が千切れんばかりの重さ、こんなの女の子に持たせるわけにはいかん!という俺のいつ登場したかもわからない謎のプライドで左右に1つずつ。


「でも小鳥くん、なんで中等部出の男子からあんな・・・」


敵対心持たれているか?


「白河さんもたしか天ノ宮中の方から高校に進学したんだよね?」


「うん、そうだけど」


「じゃぁ加奈琉のことわかるかな?」


「月城さん?」


「そうそう、あいつ相当男子から人気あったみたいで、一緒に登校してるの見られたらなんでお前がー!ってね」


「そーだったんだぁ」


なんとなく打ち解けてきたような気がするぞ!


ここで俺は調子に乗ってたたみかける。


「うん、幼馴染でね、今は加奈琉の家に居候させてもらってるんだ・・・ぁ」


少しでも白河さんと仲良くなりたいと思うあまり余計なことまで話してしまった。


小鳥幸太郎、気持ちが先走るあまりの軽率な行動、圧倒的失敗!


「そそそそうなんだ?へ、へー・・・いいんじゃない?べ、別に、私には関係ないし」


白河さんもとまどっている。


「あー・・・白河さん、こ、このことはどうか内密にお願いします、特にクラスの男子には。俺、まだ死にたくないんで」


自ら弱みを握らせるとは・・・やってしまった。


これでこのことを知ってるのは新聞部の浅倉さんと白河さんのふたり。


・・・浅倉さんが誰にも言ってなければの話だけど。



・・・・・・。


沈黙が怖い、これをネタに脅されるかもしれない・・・。


「もしかして・・・」


しばらくして白河さんが口を開いた。


「もしかして、このこと知ってるのって私だけだったり・・・」


「いや、どうしてか浅倉さんにも知られてて」


ほんとどこから情報仕入れたんだろう?


「クレープおごって」


「え?」


「あそこのお店のクレープ、おごってくれたら黙っててあげる」


くっ・・・クレープひとつで俺の平穏が保たれるなら、


「わかったよ、それで手を打とう」


「決まりね!」


「それじゃ俺、両手ふさがってるから白河さん好きなの買ってきなよ、俺の財布ズボンのポケットに入ってるからさ」


そう言ってクレープを買いに行ってもらう。


クレープ屋にはそこそこの行列ができていた。


そういえば加奈琉が行きたいって言ってた駅前にできたクレープ屋ってこれのことか。



しばらくして白河さんが戻ってきた、クレープを両手に持って。


「おまたせー」


「いえいえ・・・2つお召し上がりになるんすか?」


「そ、そんなわけないじゃん!ひとつは小鳥くんのだよ、私ひとりで食べてるのやだもん」


クレープをひとつ差し出してくれる。


この場合両手がふさがっている俺の正解は・・・


「あー」


口を大きく開いてみる。


「ばばばばバカじゃない!?自分で食べてよ!」


不正解だったようだ、おとなしく口を閉じる、恥ずかしい。


「だって両手ふさがってるし」


「私がひとつ持つから」


そう言って荷物を受け取る代わりにクレープを渡してくれる。


クレープを食べ終えた後、俺はバスで帰るという白河さんと別れた。



「ただいまー」


持ち帰った買い物袋をぶら下げてリビング入ると加奈琉と遥さんが紅茶を淹れて飲んでいた。


「お帰りなさい、幸太郎君」


「遥さんただいま」


一旦、買い物袋をリビングの隅に置かせてもらい手を洗っていると加奈琉がいつの間にか近づいてきていた。


「うわっ!」


くんくん、くんくん。


「なに?そんなに匂いかいで」


香水の香りがする・・・女ね!とでも言われるのだろうか。


「甘い香りがする・・・クレープね!」


「すごいな!駅前でクレープ食べてきたんだよ、たぶん加奈琉が行きたいって言ってたところ」


「えーっ!誰と!?」


「同じクラスの白河さんだけど」


「ぅー・・・かなるなみだ目」


加奈琉はがっくりと肩を落としている、そんなにクレープ食べたかったのか、買ってきてあげれば良かったかな?


でも、向こうで食べた方がおいしいし今度誘ってみよう。


「あらあら」


後ろのテーブルでは遥さんが微笑んでいた。


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