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scene1-3 幼馴染は推理好き

夕食を食べ終えた俺は部屋へと戻った。


夕食のシーンについては俺の恥ずかしい過去話に花が咲くどころではとどまらず、大輪を打ち上げられていたので割愛させていただく。


ひとつ驚いたのは遥さんが料理上手であったこと。


こんな料理を毎日食べられるなんて加奈琉はなんて幸せな子なんだと思ったのだけれど、今日は俺が来るということでわざわざ仕事を休んでくれていたらしく、普段は帰りが遅いらしい。


思えば女手ひとつで娘を育てているのだから無理もないか。


それにしても加奈琉の成長っぷりには驚いたなぁ・・・ぁ、外見ね。



さてさて、ふむむ・・・。


昔の人は言いました、目標が高すぎると人間うまく動けないものだと。


おわかりいただけるだろうか、このダンボールの山。


ダンボールの山と向かい合い座禅を組むの図。


今からこれを全て整理するのは不可能!とりあえずすぐ使いそうなものだけ選りすぐってダンボール箱から取り出していく。



しばらく作業に没頭しているとドアをノックする音がして加奈琉が覗き込んできた。


「作業は進んどるかね?幸太郎くん」


「ぼちぼちですなぁ、手伝ってくれるのけ?」


「まぁそれはおいといてー」


でぃすいずあ放置ぷれい!


「明日はどーやって学校いくんさ?」


あーそうか、あの場所まで歩いて通うには距離があるよな。


これから通う高校について場所は確認済みだが、朝から歩いて通学するにはなんとも微妙な距離なのである。


「うーん、加奈琉は人力二輪車?」


「ほやほや、人力一輪車ならあるけど使う?」


さわやかな朝の風景に水を差すようなそんな愉快の度を超えた登校はしたくない。


「明日はとりあえず徒歩で行って、帰りに自転車屋でものぞいてくるよ」


「そかそか・・・もしうちの子の動力となってくれるのであれば明日は一緒に登校してあげてもいいけろ?」


・・・・・・。


これはもしや青春の1ページを飾るにふさわしい朝の二人乗り通学(相手は異性に限る)へのお誘いか!?


でも相手が幼馴染じゃなぁ・・・。


いや、せっかくのお誘いだ。


それで俺の時間と体力を省エネできるならば喜んでその動力と化そうじゃないか。


「いえっさー!」


「ぁぅ、君を我が部隊の動力隊長に任命する!」


動力隊長ってなんぞ?


ビシッと敬礼をする加奈琉。


「明日は寝坊しないようにねー」


「ぁ、荷物整理は手伝ってくんねーの?」


「ごめんねー、天才推理少年如月くんが呼んでるの。そいじゃ!」


如月くん?あー、あれか。


毎週この時間に放送されている探偵もののドラマ。


主演は最近活躍の場を広げてきた注目の若手俳優如月忍きさらぎしのぶが役名そのまま演じている、毎回様々な有名人がゲストで出演し犯人役を演じるのだが、そこが視聴者にうけているらしい。


俺としては、最初から犯人がわかってしまっていることにどうも物足りなさを感じるのだが。



それにしてもあいかわらずだな、加奈琉の推理オタクっぷりは。


小さい頃から謎解きが好きだった加奈琉。


この手のドラマや推理小説が大好きで、幼い頃、探偵ごっこに付き合わされる俺の役割はもっぱらミステリーを仕掛ける犯人役だった。


簡単すぎず、かつ加奈琉にでも解くことができるようなミステリーを提供していた(させられていた?)俺。


なんという接待犯罪!


今思い返せばセピア色でよみがえる微笑ましい記憶。


再会した加奈琉は見た目はともかく中身は記憶の中の少女と変わっていないように感じた。


そのことに俺は少なからず安堵感のようなものを抱いている。


なんだろうこの感じ・・・。


ってか、なんだこれ?


ダンボールの中から1枚の写真を取り出す。


こんなの入れた記憶ないけど・・・。


そこに写っていたのは幼き日の俺と加奈琉、そして・・・。


「・・・誰だろうこの子?」

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