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scene6-3 冷ややかな視線再び

「そーいえばさぁ、今度の演目って結局どうなるんだろうね」


「うーん、田之上くん必死に書いてるみたいだけどそろそろ練習始めないとマズいよね」


ガチャガチャ。


「あれ?」


「どしたん?」


「なんかカギかかってる」


「え、いつも普通に開いてるよねぇ?ぁ、でも私カギあるから」


ガチャッ、ギー。


「なんで閉まってたんだろ?」


「てか、窓は開けっ放しじゃん!」


「まぁそれより、早くご飯たべよっ」



放課後、俺は先生への用事を済ませ職員室から教室へと向かっていた。


どーでもいいことだけど、あれからじゅんごは一度も起きる気配すら見せなかった。


それでよく先生たちから注意を受けないものだと途中からはもうなんか尊敬すら抱きそうになっていた、あぶないあぶない。


授業も終わったのでさっき無理やり叩き起こしてから教室をでてきたのだが・・・。



さすがにもう帰っただろうと思いながら教室のドアを開けた。


うっ、まだいたのかよ。


そこには机に座ったまま頭を抱えているじゅんごの姿があった。


放課後の教室にひとり待ってくれているのが女の子ならともかく、ガラッと開けた教室のドアの向こうに男を見つけても何にも嬉しくない。


俺はスタスタとじゅんごの横を通り過ぎる。


「ないんだ」


じゅんごがつぶやく。


「何が」


椅子に座りバッグに荷物をまとめる。


「脚本が・・・俺が死ぬ気で書いてきた脚本がぁ!!」


そう悲鳴のごとく叫ぶと、ガクッと頭を机の上にふせた。


「そっか、早く見つかることを願ってるよ、それじゃ」


バッグを肩にかけ、再びじゅんごの横を無言で通り過ぎようとした。


が、そのとき突然体が前に進まなくなった。


見ると俺の腕をじゅんごががっちりと掴んでいる。


「・・・・・・」


「・・・・・・」


一瞬の沈黙。


グラウンドで部活をしている生徒の掛け声が教室にまで届いてくる。


「小鳥」


「いやだ」


じゅんごの手を振り解こうとするが・・・くっ、とれない。


「まだ何も言っとらんだろうが」


「俺は忙しいんだよ」


ブンブンブン!


こいつ、意地でも俺の腕を離さないつもりだ。


「わかったわかった、一旦落ち着いて話そうよ(離そうよ)」


「あぁそうだな、手荒なマネをしてすまなかったな」


わかってくれればいいんだ。


それじゃ、俺はこれで、


「って、いいかげん手離せよ!」


「離したら逃げるだろうが!」


「・・・コウちゃん何してるの?」


加奈琉が不審者を見るような目で教室の外から俺たちを覗き込んでいた。


1日に2度も不審者扱いされるとは・・・。


累積2回目で退場していいですか?

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