scene6-2 眠れる男じゅんご
ところで、
「こいつはどーしちゃったの?」
後ろを振り返りながら尋ねる。
“こいつ”とは、俺の後ろの席に座っている男子、田之上じゅんごだ。
じゅんごとは席が近いこともあってけっこう話したりするようになった。
そいつの様子が今日はおかしい。
ばったりと机にうつ伏せになって動かない。
大丈夫か、息してるよね?
「うん、なんかね、週末ずっと徹夜続きだったんだって。脚本書き上げるのに」
じゅんごは演劇部に所属している。
そーいえば今回は念願叶って自分が脚本を任せてもらえたって張り切っていたっけ。
「ほーぅ」
「寝かせておいてあげよう」
そうだな、起きたら起きたで騒がしくなりそうだし。
「お昼どうするー?」
「部室行こっ!」
午前中の授業が全て終わり、それぞれが昼食をとるために散ってゆく。
そんな中、後ろの席のじゅんごはあれから全く起きる気配がない。
生きてる・・・よね?
「おーい昼だぞー、飯食わないのかー?」
じゅんごの肩をゆすってみるが反応がない、まるでただの屍のようだ。
まぁいいか、寝かせておこう。
「七瀬さん、今日昼はどーするの?」
隣の席でまだ必死に黒板を書き写していた七瀬さんに話しかける。
「今日は自分でお弁当作ってきたの、友達と作ったお弁当見せ合おうって話しをしてて」
へぇー、七瀬さんの手作り弁当かぁ、すごく興味をそそられる。
かわいい弁当なんだろうなぁ、絶対りんごはウサギに、ウインナーはタコさんに化けてるよね。
っと、俺はどうしようかな。
そこに教室を出て行こうとする咲坂さんを見つけた。
「咲坂さーん!」
俺は咲坂さんを呼び止める。
いつも昼休みになると気づいたら姿が消えている咲坂さん、どこで昼ごはんを食べているんだろうと少し気になっていた。
たまには彼女を昼ごはんに誘ってみてもいいよね?
俺は財布を持って立ち上がった。
「これからお昼でしょ?」
「・・・うん」
最初は話しづらい人なのかと思っていたのだけれどそんなことは一切なく、むしろ咲坂さんは他の女子と違って気軽に食事に誘えるようなそんな感じだ。
「もし咲坂さんひとりなら一緒してもいい?」
「・・・いいよ」
ここで突然ですが最近気づいたこと発表していいかな?
咲坂さんって、実は隠れ美少女だよね。
文字通り片目は包帯で隠れているんだけど、眼鏡を外したら可愛かったみたいな一昔前の感覚で。
身体も細くてスタイルいいし(胸はないけど)、肌も白くてキレイだ(包帯のおかげ?)。
「いつもどこでお昼たべてるの?」
「・・・だいたいいつもB食だよ」
A食で見かけないと思ったらB食でお昼をお召し上がりになっていらしたのか。
この学校には食堂が2つある、学食Aと学食Bだ。
俺まだ一度もB食で食べたことなかったなぁ。
「B食で食べたことないんだ、案内してよ」
「・・・うん」
今、少し笑った・・・かな?