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scene6-1 目指せバラ色のスクールライフ

「うんうん・・・うん、すごく良いと思うわ」


「よかった、間に合った・・・」


「それじゃ、放課後までに人数分コピーよろしくねー・・・って聞いてるの?」


「・・・・・・」


「まぁいいわ、私は先に行くからね」



高校生活がスタートして1ヶ月が経ち、この学校にもだいぶ慣れてきた。


その証拠にほら、目をつむっていても構内を自由自在に歩ける。


ガンッ。


「コウちゃん・・・教室のドアは自動ドアじゃないよ」


目を開けると加奈琉が不審者を見るような目でこちらを見ていた。


どんなかたちであれ加奈琉の瞳に自分が映っているのは誇らしい。



ここ天ノ宮高校に通うようになってから、俺はなんだかんだで加奈琉と一緒に登校している。


クラスも違うし、加奈琉は部活(まともな活動をしているのかはあやしい)にも入っているので帰りは別だが。


そのせいでクラスの男子(天ノ宮中出身)に詰め寄られることがあったのだ。


なんでお前が月城と一緒に登校してるんだー!


とか、


お前らまさか付き合ってるとか言い出すんじゃなかろうなー!


とか。


要は、中学時代から加奈琉は男子にそれなりの人気があったらしい。


まぁ俺は常套句


『ただの幼馴染だよ』


を巧みに使いこなしその場を切り抜けたわけだが。


もし一緒に住んでいるなんてことがばれたら、靴の中にささやかな画鋲のプレゼントが贈られてくるくらいじゃ済まない、そんな雰囲気だった。



じゃあね。→うん。


いつものやりとりをして教室前で加奈琉と別れる。


ガラッとドアを開けて窓際の後ろのほうに俺の席はある。


1ヶ月経つのに席はあれから変わっていない。


別に一生この席でもいいと思う・・・いや、卒業はしたいけど。


「小鳥くん、おはよー」


隣の席は七瀬さんだ。


朝からペダルをフル回転させてきた俺を一瞬で癒してくれるその笑顔。


はなまる。


「おはよう、七瀬さん」


実は七瀬さんとは同じ小学校に通っていた。


彼女は途中で転校してしまったのだが、それでも今はこうして再び同じ高校に通い仲の良いクラスメイトとなることができた。


なんか運命的なもの感じるよね。


え?うん、まだ熱中症とかそんな季節じゃないです。


クラスの中で親しい女子といったら七瀬さんとあとは、


「・・・小鳥くん」


「あ、咲坂さんおはよう」


咲坂さんくらいだ。


「・・・うん、この前読みたいって言ってた本、これ」


「覚えててくれたんだ!?ありがと」


彼女は加奈琉の友達でもあって、入学式のときに加奈琉に紹介してもらった。


いつも包帯を体中にぐるぐる巻きにしている女の子。


毎日少しだけど巻く位置や長さが変わっているから本当にケガをしているわけじゃないんだろうけど・・・。


違いに気づくようになっただけでもずいぶん成長したかな。


最初はなかなか話しづらい雰囲気を持った人だと思っていたけれど、今ではこうして本を貸し借りする仲になっている。



それなりにクラスにも馴染んで、バラ色の高校生活に向けてまずまずなスタートを切れたんじゃないかな、と自己評価をしてみる。


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