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scene3-1 自転車屋で大男をみつけたよ

昼下がりの駅前は大勢の人でにぎわっていた。


昨日ここを通ったときは日が暮れていたこともあり、それほど人通りがあったわけではないのだけれど、今日の光景をみると渦巻く人々の波に圧倒されてしまう。


なにを隠そう俺の地元はなかなかの田舎レベルを備えていたわけで、近隣の市町村と合併するまでは駅のひとつも存在しなかったくらいだ。


駅ビル、スクランブル交差点、街頭テレビ。


変わったデザインの時計台の周りには、待ち合わせをする若者が目立つ。



高校前から乗ったバスは駅前が終点で、必然的に俺たちはそこで降りることになった。


七瀬さんが紹介してくれた自転車屋は駅前の大通りから1本外れた道に店を開いている。


バス停から歩いて10分くらいだろうか。


『よつばサイクリング』と書かれた看板。


その店の前で体格の良い男が自転車のパンクを直していた。


隣を歩いていた七瀬さんが呼びかける。


次郎じろうさーん!」


次郎と呼ばれた男がこちらを振り向き立ち上がる。


「よお、ひかりちゃん」


体格の良い男と言ったが、前言撤回だ。


体格の良い大男がにこやかに手をあげた。


「こんにちはー」


てか、七瀬さんの下の名前はひかりっていうのか。


どういう字書くんだろう・・・。


「そちらさんは・・・もしかしてあれかい?ひかりちゃんの」


「クラスメイトの小鳥です、はじめまして」


簡単に自己紹介を済ませる。


この人・・・次郎さんっていったっけか、190センチはありそうだ。


年は30前半くらいかな?


ヒゲを生やしているので実年齢より老けてみえているのかもしれない。


こう正面から向かい合うと相当な威圧感がある。


その大きな身体から俺たちを見下ろすようにして見比べている。


「ふーん」


ふーんってなんだ、ふーんって。


「自転車みたいんですけど、いいですか?」


「おぉ、すぐにこっち終わらせるから中入って勝手に見てな」


そう言うと大男改め次郎さんはタイヤの修理に戻った。



それにしてもこんなに体格のいい大男が自転車修理のような細かい作業をしているのはどうにも似合わない風景ではある。


腕の太さやごつごつした体だけみれば、廃車を担いで投げ飛ばしていそうなのに。



店内は外観から想像した以上に広いスペースだった。


壁にはいくつかの最新の自転車がインテリアのように飾られ、フロアには等間隔でテーブルが置いてある。


無駄なものが一切ない快適空間!


まるで小洒落たカフェのよう。


・・・ってあれ?


ここ自転車屋だよね?


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