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彼方より雫を求めて  作者: 春星
最終章 掴んだ「希望」と手放した「絶望」
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第49話 「私たちのご主人様」

ヒスイ「.......未だに状況が飲み込めていないんですけど......

.......桜剣ネフリティスと翠剣ソプラソスって.....

......どっちなんですか?」

桜翠剣「.....最初にする質問がそれ?

まぁいいんだけど、結論から言うならどっちもかな」

ヒスイ「...答えになっていないんですが」

桜翠剣「詳しく説明すると、私...いや、「私たち」は、ヒスイさんの神器、桜剣ネフリティスと

亡くなったヒスイさんの旦那さんの神器、翠剣ソプラソスが混ざりあってできた存在

だから、どっちもが正しい」

ヒスイ「....わかるようなわからないような........

...あれ?ちょっと待ってください

翠剣ソプラソスって、彼のお弟子さんがその名前を継いだんじゃ?」

桜翠剣「だからかな、ちょっと私たちは歪でね

一応、私たちの中にいる翠剣ソプラソスは「かつて付与魔法(エンチャント)を付けられ、数百年一欠片も刃こぼれすることなく、一時も離れなかったシイナの相棒」かな

でも、翠剣ソプラソスは別に、ご主人様の弟子がその名前を引き継いでしまったが故にこの身は少し不完全でね....

でも多分、シイナさんの弟子が名前を引き継いでいなかったら私たちが生まれることもなかったと思う」

ヒスイ「...じゃあ、今になって現れた理由は?」

桜翠剣「え?それはヒスイさんがよく知ってるんじゃ?」

ヒスイ「えっ?私?」

桜翠剣「ヒスイさんが言ったんじゃん

一見するとただの剣だが、この剣はどれだけ乱雑に扱っても刃こぼれせず、いつ使っても1番切れ味がいいという幻のような剣

彼はただの武器と言っていたが、並大抵ならぬ力を持つ武具は、その時点で神器と言っても良いのでないだろうか

と、私は考えている」

って」

ヒスイ「....いつ言ったっけ...?」

桜翠剣「私達をご主人様の墓の前にお供えした時」

ヒスイ「あー....なんかそんな感じのことをその時考えてた気が....する?」

桜翠剣「いやご主人様が言ったんでしょ.....

それにヒスイさんが言ってなかったら私たちそもそもここにいない」

ヒスイ「....さっきから気になってたんですけど、どうしてシイナと私の呼び方が名前とご主人様で一定にならないんです?」

桜翠剣「さっきも言ったけど、私たちはあくまで桜剣ネフリティスと翠剣ソプラソスが混ざりあった存在

桜剣ネフリティスからしたらヒスイさんがご主人様だし、シイナさんはご主人様の旦那さんになる

でも翠剣ソプラソスからしたらシイナさんがご主人様だし、ヒスイさんはご主人様の奥さんになる

だからその関係でそうなってるだけかな」

ヒスイ「なるほど.....

...思ったんですけど、桜剣ネフリティスはシイナに使われてる時どう思ってたんですか?」

桜翠剣「別になんとも

ただ、ご主人様の旦那さんだし、他でもないご主人様....いや、大切な妻のために剣を振るうんだからやっぱり力を貸してあげたくなっちゃうんだよね」

ヒスイ「.....まぁ、大体聞きたい事は聞けました」

桜翠剣「なら良かった

そしてこれからが本題」

2つの剣は神妙な面持ちで続ける

桜翠剣「ヒスイさん、あなたはご主人様もとい自分の夫のシイナさんを助ける為に命を張れる?」

ヒスイ「.....それは、命を賭けて、という意味なのか

それとも私の命を犠牲に、という意味なのか

どっちです?」

ヒスイは少し気迫がある声で言う

桜翠剣「勿論、前者

私たちにはシイナさんを助けれる手段がある

でもそれは、ヒスイさんの命を奪う....ひいては、この世界までもが失われるかもしれない

それでも、貴方はたった一人の旦那に命を、世界を賭けれる?」

ヒスイ「..................

.........世界の人々の命を天秤にかけるのは私にはできません

けど、私一人の命なら天秤にかけるまでもありません

私は、また平和な日々の為に、シイナの為に、皆の為に自分の命をたった一人の馬鹿な男に賭けれる

....私という人との繋がりが薄いたった一人の女の為に命を差し出す本当に......本当に馬鹿な男の為に.....」

ヒスイは拳を強く握りしめた

桜翠剣「うん、よく言った

流石に世界の人々っていうのは嘘

ヒスイさんの覚悟が知りたかっただけ

けど、そこまで言うならシイナさんを....ご主人様を助けてもいい」

ヒスイ「.....具体的にどうやって?」

桜翠剣「一先ず行きたい場所がある」

ヒスイ「どこです?」

桜翠剣「平行世界にいるご主人様の弟子さんと、黒い炎を扱える方のヒスイさんがいる世界」

ヒスイ「っ.........」

桜翠剣「どうしたの?」

ヒスイ「いえ.....平行世界転送装置は原理がよくわかっていない都合で絶対に使うなとシイナが....

それに、彼が施した術が...」

桜翠剣「原理については私もよくわかってない

だから「賭け」なんだよ

果たして彼だけが異例だったのか、それとも元々全員扱えるものなのか

術に関しては問題ないでしょ?

なぜならあの術はヒスイさんも使えるから」

ヒスイ「.......わかりました

それが彼を助ける唯一の手段なら...」

桜翠剣「早く行くよ

手遅れになる前に」

ヒスイ「えっ......?

待って....待ってください

手遅れになり前にって........どういう」

桜翠剣「...どうやらシイナさんはしっかりヒスイさんに説明してなかったみたいだね

命脈の雫の代償は使用者の命を奪うだけじゃ留まらない

対象を風化させ、その後に魂を輪廻転生の理から外れさせ、やがて世界中の人々から「シイナ」という人物の記憶が無くなる

まるで、そこだけ記憶が最初からなかったかのように作り出される

世界からその存在を抹消する事で代償は完遂される」

ヒスイ「で....でも、彼はそんな事......」

桜翠剣「きっと喋らない方が都合がいいって思ったんだろうね

むしろ、自分を忘れてくれた方が色々と精算できるし、ヒスイさんや他の人が自分に引き摺られることも無い」

ヒスイ「わ、私は彼のように引き摺られてなんか」

桜翠剣「でも、ご主人様はこの状況で命を賭ける事を選んだ

多分、こういう状況になったらヒスイさんは迷わず命を賭けるって見越しての行動だろうね」

ヒスイ「っ.......

本当に....嘘つき.........っ」

桜翠剣「こうやってる間にも事態は進行してるんだ

...行くよ」

ヒスイは息をついて

ヒスイ「.....わかりました

行きましょう」



ヒスイ「.....ここが.........」

辺りには平原が広がっていた

それは、今まで過ごしていた世界とはまた違った平和を感じさせる風景だった

桜翠剣「着いてきて」

言われるがままにヒスイは二つの神器について行った

すると、人影が見えてきた

その人影は5名程見えていた

その中の1人を見てヒスイは驚いた


ー自分にそっくりな人がいたから


弟子ヒスイ「...ん?」

ヒナタ「どうしたの?」

弟子ヒスイ「いや、なんかすごい勢いで近づいてくる人がいる気が.....

しかもこっちに」

黒ヒスイ「私も感じるね

2人....かな?」

ヒナタ「うーん....?

あ、見えてきた」

カズキ「.....なんかどっかでみたことないか?あの白い髪の女の子」

カナデ「奇遇ね 私もよ」

弟子ヒスイ「いや....見たことあるというかこれは........」

桜翠剣「やぁやぁどうも」

5人「!?」

突然気配を表した桜翠剣に驚く5名

しかし、それよりも驚いたのは遅れてきた女性であった

ヒスイ「は....速いですって

シイナ並の速さで走られても追いつけるわけない.....はぁ.....」

弟子ヒスイ「えっ......?

えーっと......??」

ヒスイは息を整えて告げる

ヒスイ「申し遅れました

私、シイナの妻のヒスイと申します

まぁ、既にご存知とは思いますがね.....」

弟子ヒスイに目線をやりながら苦笑する

黒ヒスイ「待った

どうして貴女がここに?

別世界に渡るなとシイナに言われているんじゃ?」

桜翠剣「それについては私から説明する」

二つの神器は自身がシイナが使っていた神器の化身であること、シイナが辿った末路、ヒスイの意思、何としてでもシイナを救いたいという3名の意思について語った

カナデ「....やっぱり、シイナって何かと規模が違うというか桁が違うというか.....」

弟子ヒスイ「それより、どうやって彼を救う気です?

輪廻転生の理から外れた者など救えるものなんですか?」

桜翠剣「それについてはまだ目処は立ってないと言うべきかな....

けど宛が無いわけじゃない

彼とこの世界を冒険する時に思ったんだ

この世界は何かがおかしい」

カズキ「おかしいって具体的には?」

桜翠剣「まずご主人様がヒナタ、カズキ、カナデ君たち3名から何も能力を得てない点

これに関していえばご主人様があなた達に戦い方を教えていたからっていうのもあるけど、十人十色、千差万別

仮に同じ教え方をしても絶対に同じ能力を持った人間は二つと居ないのと同じように、人や妖怪には「個性」がある

この個性をわかりやすく具現化させたのが妖怪達の能力....とも言えるかな

話を戻すけど、ご主人様が君たちに戦闘を教えていたからと言って能力を君達から得てないのは不自然と考えるのが妥当」

ヒナタ「一理あるけどたまたま僕らにはそういった能力が無い

もしくは、シイナが既に似通った能力を持っている可能性は?」

二つの神器は首を振る

桜翠剣「この世の人間は何かしら突出した能力を持って生まれるものだよ

例えば、五感のどれかが人並みより優れていたりとかかな

勿論君達に何らかの固有能力がない可能性のあるけど、個人的にはまだ才能が開花してない可能性の方が高いとは思うけどね

話を戻して2つ目

なぜこの世界に命脈の雫があるのか

ご主人様が散々探していたのにも関わらず見つからなかった命脈の雫

命脈王に会えなかったと考えた方がわかりやすいかな

彼はさも様々な世界を渡り歩いてきたかのような口ぶりだった

でもご主人様は数百年間1度も会えなかった

それは何故か

三つ目

「なぜ弟子のヒスイさんや黒いヒスイさんがこの世界に渡ってきたのか」」

2名「.........」

桜翠剣「彼女たちは違う世界からやってきた筈だ

でもご主人様みたいに何か装置を使ったわけでも、意図して世界を渡った訳でもない。

では何故か?

この世界には謎が多い

故に、私はご主人様を救う手立てのような「何か」がまだこの世界には眠ってるとは思うけどね」

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