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彼方より雫を求めて  作者: 春星
最終章 掴んだ「希望」と手放した「絶望」
48/50

第47話 哀しみが生む連鎖

王女視点

王女「.....」

変わらない日常

変わらない平和

変わらない世界


....これでいい

少なくとも、戦争や侵略が起き、争いが絶えない世界よりはよっぽどいい筈

.......でも何故だろう

何か行動を移さねばいけない気がしてならない

勿論、根拠なんてない

だからこそ、毎日悶々としている

...なんだろう

この違和感は

私がなにか世界に違和感を覚えている

平和な世界に違和感を覚えている?

いやそれは無い

それならどうして数十年間平和を見てきて1度もそういった症状が起きなかった?

王女「....だめだ、気分を変えに行こう」

私は側近に散歩に出かけると言い、出掛けようとするが護衛すると引き止められた

ただの散歩なのに何をそんなに警戒する必要があるのだろう

王女「.....」

....多分普段違和感を覚えていた正体はこの側近だろう

なぜ今まで気づかなかったんだろう

....いや、私自身が側近に対して欺瞞の目を向けたくなかったのだろう

ただ、この様子を見て確信した

側近はなにか隠している

その正体は王女として暴かなければ

王女「...ねぇあなた」

側近「....なんでしょうか王女殿下」

王女「私たち、部下と上司の関係になって長いわよね?」

側近「...そうですね」

王女「何か、私に隠していることありますね?」

側近「.......」

王女「答えなさい」

長年仕えさせてきた人だろうと、もしこの国を裏切るような真似があれば私はこの国を束ねる者としてこの人を断罪しなければいけない

だからこそ、私は彼に対して睨みつけることが出来る

....いや、出来なければならない

側近「...それが王女殿下にとって知りたくもない情報でも、ですか?」

王女「えぇ」

即答した

側近「....いや、やめておきましょう

もし口にして王女殿下の体調を害されたらこの国が滅んでしまいます」

王女「なら、私は貴方を処刑するしかないわね

国家転覆の疑いで」

側近「...貴方の為ならば、この命、喜んで差し出しましょう」

王女「....っ」

.....何故そこまで迷いなく死を選べるの

普通人間ならば死に抵抗するのは当たり前

なのに何故この人はなんの迷いもなく死ぬだなんて口にできるんだろう

王女「....本当に処刑しますよ」

側近「むしろ、先程のお言葉は冗談だったのですか?」

...ダメだ、少なくともこの人からは聞き出すことが出来ない

王女「...わかりました

認めましょう 貴方の忠誠心を

貴方を殺したところで情報を持ったまま死なれるだけです」

側近「お褒めに預かり光栄です」

....別に褒めてないんだけど

ひとまず下の者に側近の事を調べさせよう


〜しばらくたって側近視点〜


.....流石にそろそろ王女殿下には気づかれたか

まぁ、以前に伝説の勇者殿...確かシイナ殿といったか?

彼が謁見した際部屋から出た瞬間に王女殿下から聞いたことも無いような口調が現れた

その当時はびっくりして聞き耳を立てたが、見たところシイナ殿と王女殿下は相当な間柄

まぁ、数十年の仲ではあるだろうし、並大抵な仲では無いだろうがな

....だからこそ、王女殿下には隠す必要があったのだ

...........シイナ殿が死んだという情報をな

少なくとも、この情報は私とごく一部の部下しか知らないはず

その部下にも絶対に他言無用の口封じをしておいた

何故なら、もし王女殿下に知られたら国が機能しなくなる

この国において王女殿下の存在はとても重要な物だ

というのも、人々が生活するのに必要なエネルギーを全て彼女1人の力で賄っているからだ

つまり、数日王女殿下が塞ぎ込むだけで国中の人々が生活できなくなる

だからこそ、王女殿下のメンタルケアもこなしてきた

このことは王女殿下自身も理解しているはずだから何かあれば遠慮なく言われていた

何とか私から聞き出すのは諦めてくれたようだが、問題はこの事を知っている部下達だ

王女殿下は一見すると何事も慎重に情報を取捨選択する方だと思われるが、その実他人からの情報を信じやすい気質がある

だからなんとしてもこの事を王女に知らせてはいけない....!


通常視点


それから時が経ち、炎と水の2つの国の会合の機会が設けられた


王女「それで、今回こちらにこられた理由はなんでしょう?」

火焔姫「うむ、それについてだが、()()()についてどう思っている?」

王女「例の件....と言いますと?」

火焔姫「....なに?まさか知らないとは言わせないぞ」

王女「......なんの事でしょう」

火焔姫「どうやら本気で知らないようだな....

ならば教えてやる 実は..」

火焔姫が言いかけた瞬間、側近の刃が火焔姫にあたる直前で火焔姫によって止められた

王女「....!?

何をしているのですか!?」

火焔姫「....何の真似だ?」

そういうと素直に刃を収め、側近は続けた

側近「申し訳ありません

それを言われるとこの国の存亡に関わることでしてね」

火焔姫「......なるほどな

事情はわかった だがそれだと遅かれ早かれ気取られるぞ」

側近「だとしても....王女殿下と国民の安全を1秒でも守るのが私の役目ですので」

火焔姫「....まぁ、それがこの国のスタンスなら部外者は関わらないようにするのが1番良いか

なら、我の目的は無くなったな 折角来たし少しだけ観光してから我は自分の国に帰る」

王女「待って下さい!まだ話したいことが....」

火焔姫「外交関係を終わらせるつもりではないから安心するといい

ではな」

そう言って火焔姫は立ち去った

王女「.....貴方少し話したいことがあります

後で玉座の間に来なさい」

側近「....仰せのままに」


〜玉座の間〜

王女「説明しなさい

何故彼女に刃を向けた?」

王女は冷ややかな目で側近を見下ろした

側近「...この国の存亡に関わる...」

側近が言い終わる前に王女が口を挟んだ

王女「その言い訳はもう聞き飽きました

もう一度弁明しなさい

何故彼女に刃を向けた?」

側近「....王女殿下に知らせるとまずいと思った所存です」

王女「.......なんでもそれをいえば免罪符になると思ってるんじゃないわよ」

王女は心の底から苛立ちを覚えていた

側近「申し訳ありません」

王女「本当にそう思っているのならば、私に知らせたらまずいこととは何?」

側近「........」

王女「説明しなさい」

側近「........」

王女「っ....!

説明しなさい!!!

彼女に刃を向けたことが何を意味するか解って言っているの!?

貴方は自ら戦争の火種を撒くところだったのよ!?

彼女は寛大だったから許して貰えた

でもその調子で私の側近として行動されると困るのよ!!!」

王女は王女の顔を捨てて自らの顔が出ていた

それほど、側近の行動は彼女にとって許し難いものだった

側近「........」

王女「ここまで言ってもだんまり....か」

側近「申し訳ございません」

王女「謝罪は求めていない」

側近「........」

王女「....もういいわ」

王女は立ち去ろうとする

側近「どこに行かれるのですか」

王女「.....伝説の勇者の所よ」

側近「....っ!なりません!!」

側近が止めようと手を伸ばした瞬間、その手は地面に落ちていた

王女「黙りなさい

それ以上私を邪魔するのなら命はないわよ」

側近「っ...!」


〜シイナ宅〜

王女「.....

すごく、久しぶりね....

確か、あれは神器を取り戻してくれた時以来かしら?」

王女はシイナ宅をノックした

ヒスイ「....はい?どなたでしょう?」

王女「あれ?貴方は確か....」

ヒスイ「.....えーっと......」

王女「あ、私は水の国の王女です

あの水の神器の」

ヒスイ「あぁ!

....って、え?なんで急に王女様が....」

王女「ちょっと事情がありましてね.....

ひとまずシイナさんを呼んでいただけれませんか?

少し、愚痴を零したくて....」

言い終わる前にヒスイは寂しそうな声で言った

ヒスイ「主人なら....

もうこの世にはいませんよ......」

王女「....っ!?」

それは王女にとって知りたくなかった事実だった

まだ第三者なら真実を疑う余地があっただろう

でも、彼の妻から聞いた言葉ならば、それはもう真実に値する言葉であった

その瞬間、王女は理解した

何故、側近はあそこまで何かを隠したがっていたのか

何故、側近は火焔姫に刃を振ったのか

何故、それを彼女は「仕方がない」と許したのか

それを理解した瞬間、王女は言葉では形容し難い絶望と後悔の念で包まれた

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