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彼方より雫を求めて  作者: 春星
第三章 桜剣と神器と雫
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第40話 意志を継ぐ翠剣

シイナ「......ん」

黒ヒスイ「あ、おはよう」

シイナ「あれからどれくらい時間が経った?」

黒ヒスイ「1時間くらいかな?

それにしてもそんなに待つなんて聞いてないんだけど?」

シイナ「すまんな.....

だが全て上手く行った

俺にしては珍しくな」

黒ヒスイ「逆に君は極端なんだよねぇ....

全て上手くいくか、全くもって上手くいかないかのどっちかだし

君は0か100しかないの?」

シイナ「そんなこと言われても困るな......」

ヒスイ「ん.....」

シイナ「おはよう」

ヒスイ「あー....やっぱ夢ですよねぇ

あ、師匠起きたんですね

おはようございます」

シイナ「....何か勘違いしてるようだから言っておくが、お前のその夢は俺が作り出した夢だ

つまり、その夢の内容は俺も知ってるからな?」

ヒスイ「.......

今更なんですけど、師匠って格が違いすぎませんかね?」

黒ヒスイ「それはわかるかも

黒炎っていうとんでもない能力(ちから)持ってる私が言うのもなんだけどさ、そんな能力持ってる相手に抱きつけるほど身体能力が高いって、どんな体してんの?」

シイナ「俺に言われてもな.....

ただ、幻影投影(フォルムチェンジ)は少なくとも俺の世界のヒスイが死んでからだ

恋人が死んだ哀しみからか今更能力に開花するんなんて馬鹿馬鹿しいにも程がある

今思えばこんな超人的能力もその時からかもな」

ヒスイ「それにしてもすっかり外は暗くなってますね」

シイナ「まぁ....そこまで急いでる訳でもないし、出発は翌朝にするか」

黒ヒスイ「はぁー.....やっと寝れる

ってか、1時間も女の子をほっぽっとくなんて酷くない?

労働の対価として添い寝を要求する」

シイナ「は?何言ってんだおま....」

ヒスイ「ずるいです!私も添い寝したいのに!」

シイナ「いや....は?

お前ら男の寝床に入るとか正気か?

なんなら俺は外でもいいが」

二人「それは絶対にだめ(です)!」

シイナ「.....

(忘れてた...そういえばこいつら俺に惚れてる奴らだった.....

ったく、どうしてヒスイっていう存在はこんなにも尻軽なのかねぇ....)」

二人「今すっごい失礼なこと考えてた(でしょ)(ましたよね?)」

シイナ「.......別に尻軽だなんて思ってないが」

二人「自分で言っちゃった!?

ってか私たちは別に尻軽じゃ(ない)(ありません)からね!?」

シイナ「仲良いなお前ら

んまぁ今更寝取ろうとしても無駄だ

とだけ言っておく」

ヒスイ「....別にそういうわけじゃないのに」

シイナ「...なんかもうどうでも良くなってきたな

それじゃあおやすみ」

ヒスイ「おやすみです」

黒ヒスイ「ん..おやすみ〜」



シイナ「やっぱり....お前も寝れないよな」

ヒスイ「師匠....」

シイナ「どうだ?夜風は心地いいか?」

ヒスイ「.....心なしか寒いです」

シイナ「....そうか

なぁ....もしもの話だが、お前と俺、どちらかしか生き残れないとしたらお前はどうする?」

ヒスイ「どうするって.....私なら迷わず自分の命を犠牲にしますけど、どうせ貴方がそれをさせてくれないでしょう?」

シイナ「よくわかってるな」

ヒスイ「はぁ.....どうしてうちの師匠はこんなに頑固なんでしょうか」

シイナ「それに関して言えばお互い様だけどな」

ヒスイ「ですね...ふふ」

シイナ「そうだ.....

お前に贈ったその剣、今持ってるか?」

ヒスイ「はい、ここに」

シイナ「お前も剣の名前決めてきたらどうだ?

しばらく相棒にする気だろ?」

ヒスイ「うーん.....私の翠の字を取って、翠剣ソプラソスって言うのはどうでしょう」

シイナ「...っはははは!」

ヒスイ「なんですか!そんなにセンス無かったんですか!?」

シイナ「いや、全然そんなことは無い

いい名前じゃないか」

ヒスイ「じゃあなーんで笑ってたんですかねぇ...?」

シイナ「そんなに怒るなって

実はもしお前が決めれなかったら俺も同じ名前を付けてたからな

あまりにも偶然でつい笑ってしまった」

ヒスイ「....

あの、もしかして何か特別な名前なんですか?」

シイナ「どうせ隠したってバレるし、そこまで隠すようないことじゃないから種明かしするが、その名前は昔、俺の世界のヒスイが持ってた桜剣ネフリティスを羨ましがって翠の字を借りて当時相棒としてた剣に名付けたんだ

しかしその剣は壊れちまってな

まぁあいつがいない以上再現したり直す意味も無かったから適当に他の武器を作ったけどな

しっかし....まさか自分の弟子に贈った2つ目の剣が意志を引き継ぐとは.....

人生何があるかわかったもんじゃねえな」

ヒスイ「翠剣ソプラソス.....

....気のせいでしょうか 月明かりに照らされて刀身が緑に光っている気が」

シイナ「御月様もこの偶然を祝福してくれているのかもな

さて....俺はいい感じに眠くなってきたから寝るがお前はどうする?」

ヒスイ「そうですね....もう少しだけ夜風に当たってます」

シイナ「そうか....じゃあおやすみ

....早く寝ろよ?」

ヒスイ「はい...おやすみなさい

........」

ヒスイは頬をさする

ヒスイ「.....

(今でも思い出そうと思えば思い出せる

あの痛みを

私は今まで、死を身近に感じたことがない

いっぱしの剣士なのにもかかわらず、だ

生と死の瀬戸際に立ったことの無いやつがまだ負けてないとかほざくな...か

確かに私は少し気の緩みがあったかもしれない

あの師匠と炎に包まれた時だって、別に死にかけた訳じゃない

実際はなんてこともなかった

私はきっとこれからも他の人に守られていくだろう

でもそうじゃない

他人に頼ってばかりではダメだ

「守ってもらう側から守る側になる」

その為にも.....)

貴女の力を貸してね?翠剣ソプラソス

って....剣に性別なんてないか

私も早く寝ようっと.....」


その夜、翠剣ソプラソスが微かに刀身が光ったような気がした

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