第32話 生命に満ちた洞窟
シイナ視点
どうやらそろそろこの体も限界のようだ
何やらこいつらが話をしているが正直聞いちゃいない
というより、平然としてる風を装う事で手一杯とも言える
この身体も持ってあと数十年と言ったところだろうか
だがこれ以上新しい世界に行けない都合上、もしこの世界になかったらそろそろあいつの死を受け入れて成仏させて余生を過ごすとするか
.....そういえば俺の家は今どうなっているのだろうか?
もしかしたら老朽で崩れているのかもな
一応知り合いにはかなりの間不在にするとは言ってあるが........
もし住む家が無かったら暇つぶしに復興でも手伝ってやるか
数百年経っているが未だに復興は成し遂げられていない
.......それでも数百年前のアレに比べたらマシだが
ヒナタ「シイナ?」
シイナ「ん?どうした?」
ヒナタ「ああいや、なんか上の空っていうか話を全く聞いてなさそうだったから」
ヒスイ「どうかしました?具合でも悪いんですか?」
シイナ「アホか
そもそも人間では無い俺が具合悪くなったら人間はもっと苦しむことになるだろ」
黒ヒスイ「いや、人間誰しもが状態が一致することないからね?
まるでキミと全員状態が同じみたいに言わないでくれるかなぁ」
シイナ「いや、俺が言いたいのはそういうことではなくてな
まぁ上手くまとまらんが人間じゃない俺がそう簡単に体調を崩すことなんか無いって事だ」
ヒスイ「....やけに人間じゃない事を強調しますね
もしかして、この中で一人だけ人間じゃないことに気づいて拗ねてるんですか?」
シイナ「んな細かいこと気にするような器の小さい人間じゃねぇって
ただ数百年前は逆だったからその時の境遇を重ねてるのかもな」
ヒスイ「......あれ、冗談が通じて無かったりします?」
シイナ「そんな冗談などというつまらん事言ってる暇あったら他のことしてろ」
ヒスイ「うーん.....おかしいですね
昔の師匠ってもっと冗談言ってる方だった気がするんですが
そしてその度にからかわれてる記憶があるんですが」
ヒナタ「確かに言われてみればなんか最近変わったよね
こう.....どう変わったのかは明確には出ないけど」
カズキ「そういえば確かにヒスイと出会った当時はヒスイのことをかなりからかっていた気がするな」
シイナ「そうだな......強いて言えば、余裕が無くなったからだな」
ヒナタ「余裕が無くなった?」
カナデ「まぁ確かにもうこれ以上シイナの探してる......その.....なんだっけ」
シイナ「命脈の雫だ」
カナデ「そう命脈の雫
それがこの世界になかったらもう存在しないことになるものね........」
シイナ「....まぁ、意外と整理は着いているさ」
ヒナタ「なるほどねぇ」
......少々喋りすぎたか?
それなりに頭痛がする
「人間じゃないから体調を崩さない」なんてのはまっぴらの嘘だ
確かに人間と違って比較的身体が強く、長寿ではあるが、病気になったり、体調を崩したりすることは普通に有り得る
まぁ大体が自身の魔力が関係しているが。俺の場合は例外って感じだな
にしてもこれ以上話を振られると流石に精神的に疲労する
元より痛覚には慣れてるが、それが長期間続くと流石に疲れる
.......長期間と言えば、あいつも病気にかかって長期間苦しんでいたんだよな
その長期間に自分が愛する人が居ないのはどれほどの苦痛なのかは今の俺には知る由もないが......
あれは一体どれほどの月日が経ったのだろうあの頃の俺はかなり焦っていたからな
タイムリミットや何日経過したとかは覚えてなかったな
.......いや、タイムリミットは覚えてるか
忘れもしない。俺の目の前で突然、笑みを浮かべた状態で死んだんだからな
「亡くなった」なんて綺麗な言葉を使うつもりは無い
もとより俺はそんなタチじゃない
.....そういえば、俺の知り合いに「時間を操ることが出来る」奴がいたが、逆行や加速することは出来るのかと質問したら「そのふたつだけはできない」と返答されたことがあったな
だが奴は「でも時系列が崩れ去ってしまうから停止程度にしか使ったことが無いし、それしか使えなくていい」とも返答した
「時間を操る」のと、「時間を止める」のは同義なのかもしれないが、おそらくやつは下手な干渉を恐れて停止にぐらいしか使っていないのだろう
ヒスイ「師匠」
シイナ「なんだ」
ヒスイ「さっきから自分の番以外話聞いていないですよね?」
シイナ「いんや?しっかりと話は聞いているつもりだが」
ヒスイ「「つもり」ですか.....
つまり何の話をしていたか聞いても「聞いていたつもりだった」と返すだけという意味なんでしょう?」
シイナ「さてなんのことかわからんな」
図星だ
ヒスイ「それじゃあ正解を言いましょう
「異様に生命に満ちている隠された洞窟をみつけた」です」
シイナ「なんだと?」
頭がかなり痛いがそれでもこの情報は入手しておかなければならん
ヒスイ「ですが」
と間を置いてこう告げた
ヒスイ「この先に師匠を絶対に進ませてはならないと勘が言っているんです」




