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彼方より雫を求めて  作者: 春星
第三章 桜剣と神器と雫
29/50

第28話 二度も別れを告げた世界

ヒスイ視点

ヒスイ「チューリップ......一般的には愛だとかそういう意味が込められるけど、どこにも師匠が居ないこの状況にこの花があるということは師匠がこの花に込めた想いは恐らく「永遠の別れ」

はは......今度こそ正真正銘の2度目って訳ですか......」

私自身花に詳しい訳では無い

だけど、一度目はチューリップと共に紙が置いてあった

そこに書かれていた文章は

「このチューリップは「愛」だとかそういう意味じゃない

チューリップの色ではなく、チューリップ自体の花言葉を知ってるか?


「永遠の別れ。」つまり「さようなら」って意味だ」

2度も同じ手に芸がないなぁ

とは思いつつも半分、師匠のことを諦めきれていた部分もあった

このタイミングでこの花を渡すという行為はかなり重い意味を持つことは師匠自身もわかっている

つまり、恐らくもう既に自身の世界に帰っている

そうなったらもう追跡するのは不可能だ

私はそろそろ、「恩人」......いや、「初恋の人」から巣立つ時なのかもしれない


通常視点

ヒナタ「それじゃあ探しに行こうか」

ヒスイ「あ、皆さん待ってください

その、私の部屋にこの花がありまして......」

そういい、ヒスイはヒナタ達にチューリップを見せる

カナデ「チューリップ?愛とかそういう意味を持つ花だと思うのだけど....なぜ今?」

ヒスイ「実は1度目に師匠.....いえ、シイナさんがいなくなった時にもこれが置かれており、同じく置いてあった手紙によるとこのチューリップは「永遠の別れ」を意味する花だそうです」

黒ヒスイ「「永遠の別れ」.......」

ヒスイ「そして私の推測ですが、おそらくシイナさんは既に自分の世界に戻っていると思われます

つまり、追跡はほとんど不可能かもしれないという事です」

カナデ「推測がどうであれ、大丈夫なの?あなたの大切な家族達がいなくなって、その後シイナが師匠となって居なくなり、今に至るんでしょ?

少なくとも3回は大切な人が居なくなっていると思うのだけど....

いや、気持ち的には4回かしら

シイナが死んだ時....いやまぁ厳密には死んでいないけれど」

ヒスイ「大丈夫です

もう....シイナさんが死んだと思いこんだ時のように取り乱したりしません」

カズキ「.......強くなったんだな....」

ヒスイ「感覚が麻痺しているだけかもしれませんが、三度も失うともう心の整理はつくようになりますからね」

ヒナタ「それじゃあ、シイナは探さなくていいの?」

ヒスイ「探さなくていい、とまでは言いませんが、これまで通りに旅をしましょう

そしてあわよくば見つけられたらいいという気持ちで探していただけたら嬉しいです」

ヒナタ「わかった。それじゃあ行こっか」


そうして今日もまた、ヒナタ達一行は旅をするのであった


シイナ視点

シイナ「......」

ヒスイにあの花を贈り、また俺は次の世界へと向かう

実の所、隅々まで探しきれてはいないが、もうこの身体も限界が近い

時を止めて無理やり動かしているからか、段々と身体が動かなくなっていく

あの時ヒスイが「挙動が少し違う」と言っていた

その原因は疲労もあったが、もう一つの理由にそもそもの身体が朽ちてきているからという理由もある

俺が知っている花の中に、「スカビオサ」という花がある

その花の花言葉は「私は全てを失った」

恋人も失い、仲間も失い、弟子も失い、挙句の果てには自身の身体すら失いかけている

そんな俺にピッタリの花だな

もはや猶予は残されていない

さぁ、次なる世界を顕したまえ

.........

世界が出てこない....?

まさか、あの世界が最後だったのか?

確かに俺は何百年と世界を旅し、旅した世界は数百を超えている

だが、これまでに旅した世界には「どこにもなかった」

いや、厳密には隅々まで探した訳では無いが、「主人公」と旅し、物語が終わったその時、その世界には無いと思い込んでいた

だが、その全ての世界のどこにもなかった

勿論俺の世界も隅々まで探した。それは狂ったように

命脈の雫は無かったが、代わりにこの世界中を旅できるこの場所を見つけた

.......本音を言うと、俺の世界は居心地が悪い

この世界の終わりのような情景はいつも、あいつが死んだあの瞬間が脳裏にやぎる

そう、俺に対し微笑んだままあいつは.....ヒスイは死んでいった

未だに信じられていないし、そもそもあいつを成仏させてもいない

唯一の親族である俺が不在なため、遺体は聖なる場所で預かっているらしいが.....

........こうやって心の中で別の事を話していないといつも自我が崩壊しそうになる

親しいやつがもう一人もいない俺にとって自我が崩壊したらもう止めてくれるやつはいない

外見は終末世界のようだが、この世界は「生きている」

まだ、希望を捨てていないこの世界の住民がこの世界を以前のような.....俺がまだ人間だった頃のような輝かしい世界に戻そうと努力している

そんな世界を壊してしまってはヒスイや親父さんに見せる顔がない

それに、色んな世界に旅したことで俺はもはや自分の世界を持っていないと言えるほど他の世界に毒されている

そんな「部外者」がこの世界に危害を加えるのは断じて許されない

そう、この世界の住民から大切なものを沢山奪っていった奴らのように....

幸い、俺達は被害は受けていないが、奴らに対抗すべく集った仲間たちは大抵何かを奪われていた

何とか奴らは倒せた.....が、それでも奴らが残していった爪痕は残っている

その残りを俺が潰してしまっては俺も奴らの仲間入りだ

それだけは絶対になってはならない

あんなクズ共に........

....だが、どうする?もう正直言って心当たりは無い

いや、厳密には一つだけある

それは先程までいた世界だ

この世界は今までと違う点がある

まず、あくまで邪王を倒しただけであって物語は終わっていない

次に、本来存在しない弟子のヒスイや、黒いヒスイがいる

最後に、彼らから得た能力は「何も無い」

通常、1つの世界に最低でも1つはコピーできる能力はありそうだが、あいつらからは何も得ていない

いや、黒ヒスイから能力は得たが、そもそもあの世界の住民では無いからな

つまり、これから得られるか、これはある種の「特異点」なのか.....

これ以上世界がなく、ほぼ全ての世界に希望が無い以上、もうこの世界に賭けるしかない

二度もあの花を贈った弟子のヒスイには決意を踏みにじるようで悪いが......もうこれしか選択肢がないんだきっとわかってくれるだろう

さて....行くか

二度も別れを告げたこの世界に

(。・ω・)ノども

この話に出てくる「親父さん」や「クズ共」がかなり伝わりづらいと思うので、この物語が終結した頃に外伝としてシイナが人間だった頃の話を執筆していこうかなと思います

大まかにですがどんな感じか説明すると、まずシイナがシイナの世界に「転生」したところから始まります

訳も分からずとりあえず歩を進めるとそこは屋敷がありました誰かいるかもしれない。と、屋敷に入るとそこにヒスイが現れ、剣術を他でもないヒスイに住み込みで教わり........って感じです

時系列的にはこの物語の第一話よりもかなり前です

なんせシイナは数百年世界を旅していますからね.......

それよりも前となるととてつもない年月になります

物語の終わりと共にこの外伝作を乞うご期待〜

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