第19話 永い、旅の始まり
そう言い、シイナは剣をしまう
ヒスイ「え...いや、あの時確かに脈は無かったし、人の温もりも無かった それなのに....なんで.....」
シイナ「その事について説明がしたくてな
....というかそもそも、俺はここには居ないはずなんだがな.....お前が呼び止めたせいで説明する羽目になったんだからな」
ヒスイ「.....それでも、残された側からしたら辛いんですよ
そんなにも自分たちは頼りなかったのかなって」
シイナ「.....ああ、そうか......あいつも同じ気持ちだったのかもな.....」
4人「?」
シイナ「いや、なんでもない
とりあえず、前提の話になるんだが、俺は人間じゃない」
4人「えええええええ!?」
ヒスイ「え?師匠が人間じゃない...?え?じゃ、じゃあ...もしかして今いる師匠は幽霊.....?」
ヒナタ「こ、怖い事言わないでよヒスイ...まさかそんな訳ないじゃん どうせ冗談でしょ.....だよね??」
カズキ「なんでこいつらこんなに震えてるんだ....?」
カナデ「.....多分だけど幽霊が苦手なんじゃない?」
2人「そ!そんな訳無い!」
シイナ「どうした?呪ってやろうか?」
そうして2人の耳元で囁く
2人「ぎゃああああああああああ!?」
そうしてヒスイとヒナタはお互いに身を寄せあって震えている
その光景を見てカズキとカナデはため息を付きながら呆れていた
シイナ「悪かったよ.....たしかに悪ふざけしすぎた俺も悪い だがそれ以上にお前らの霊に対する苦手意識が異常だ」
ヒスイ「うるさいですね!幽霊が怖かったら何が悪いんですか!何が!」
シイナ「いやまぁ....悪いってわけじゃねえが...」
ヒナタ「じゃあシイナが悪いじゃん! 謝ってよ!怖がらせた僕らに対して!」
シイナ「だから謝ってるじゃねぇか.....」
カズキ「んで、お前が人間じゃないってどういうことだ?」
シイナ「ああ、元々はただの人間だったが、とある事情で半人半妖....つまり半分人間で半分妖怪になった」
カナデ「そのとある事情ってなによ」
シイナ「.....悪いが、俺にとって軽いトラウマみたいなもんだから口にするのは恐ろしくて言えん」
ヒスイ「そう....ですか」
シイナ「んで、長い旅になるって事で俺は俺自身の時を止めている
....だから、脈は無いし、温もりも感じない」
ヒスイ「あれ?ならなんで倒れたのですか?」
シイナ「そもそも人間、妖怪にはそれぞれ生気、魔力がある
人間には生気があり、それが無くなると死ぬ 生気が減る原因としては出血、臓器の壊死、等がある
一方で、妖怪には魔力がある これも生気同様無くなると死ぬ 減る要因としては肉体の損傷(治癒)、呪文や魔術の使用だな しかし、半人半妖はその両方を持っている だから生気が無くなっても魔力を使って肉体を強制的に動かせば生きれるし、魔力がなくなっても生気がある限り生きれる
だが、生気が無くなれば人形のように動くだけで生きていると言えるか怪しい 逆に魔力が無くなれば無くなった反動で意識・視界・音が無くなり、魔力がある程度回復するまで生気が減り続ける
つまり倒れたのは時間停止による魔力の消費で魔力が無くなり意識が無くなり、脈が無く、温もりが消えていたのは時間が止まっていたまらだな」
ヒスイ「そ、そうなんだ....よかったぁ....」
シイナ「そんで、ここから立ち去ろうとした理由だが、俺はある物を探し求めている
それは、「命脈の雫」 死んだ者を生き返らせることが出来る禁忌の霊薬だ」
ヒナタ「あれ?でも誰に対して使うの?」
シイナ「それが半人半妖になった理由にある ......まあ、なぜ必要になったかはある程度連想できるだろ」
ヒスイ「...それってもしかして師匠の」
シイナ「言うな
.....言っただろう 俺にとって軽いトラウマだと」
ヒスイ「......すみません」
カナデ「あれ?でも、それって立ち去る理由にはならないわよね?なんなら一緒に居た方が探せる確率が上がると思うけど」
シイナ「実はな、今俺らがいるこの世界のように、同じような世界から全く違う世界まで様々な世界があるんだ
....並列世界って知ってるか?
俺は、そのうちの一つの世界から来た」
カズキ「話が飛躍しすぎじゃないか.....?」
ヒナタ「うん......なんかもう、付いていけないよね」
シイナ「一応、ヒスイも他の世界から来た人物だ」
ヒスイ「え!?私も!?」
シイナ「ただ、俺とヒスイは同じ世界から来た訳では無い
例えるならこの世界をA、俺の世界をB、ヒスイの世界をCとでも呼ぼうか
まず、Bの世界から俺がCの世界に行き、ヒスイを弟子にする その後ヒスイを捨ててBに戻り、Aの世界へ来たが、何故かヒスイもAの世界に来た
.....これで伝わるか?」
ヒナタ「な、なるほど....だからヒスイが現れた時シイナは驚いていたんだね....」
シイナ「ああ、少なくとも、Cの世界には並列世界へ行く手段がないと思っていたからな
....そういえば聞きそびれていたがどうやってこの世界に来たんだ?」
ヒスイ「あれ?言いませんでしたっけ?師匠に再び会える事を強く願っていたら視界が真っ白になっていつの間にこの世界に来たって」
シイナ「つまり奇跡ってやつか....
まあいい、それで、命脈の雫を手に入れるために何個、何十個もの世界を回ってきた
もう歳は100を越えたあたりから数えるのを諦めた
だが、俺はなんとしてでも命脈の雫を手に入れなければならんのだ...!
.....すまん、少し感情的になっていた それで、邪王....つまり、この世界で言う魔王を倒しても見つからないということはこの世界には無い だから俺は次の世界へ早く行かねばならない」
ヒナタ「.....本当にそうなのかな」
シイナ「どういう意味だ?」
ヒナタ「結局さ、この世界も隅々まで探してない訳でしょ?なら、隅々まで探すのを手伝うよ
しばらくしてなかった人助けって事だよ」
シイナ「手助けはありがたいが、別にしなくてもいいのだぞ?」
ヒナタ「いやいや、仲間が困ってるなら助けないとでしょ そうでしょ?二人とも?」
カズキ「ま、探し物も悪くはないかもな」
カナデ「私は別に了承してないんだけどねぇ.....ま、良いわよ付き合ってあげる」
シイナ「.....そうか ヒスイはどうする?」
ヒスイ「と、いいつつも答えはわかってるんじゃないですか?
折角また師匠と会えたんです その先が地獄だろうがなんだろうが付いていきますよ」
シイナ「......そうか
わかった お前達がそこまで言うなら俺も腹を括る 絶対にこの世界で見つけてやる 隅から隅まで......
探し回ってやる」
そうして、命脈の雫を探す旅が始まった




