プロローグ
神々がこの地に再臨する時、世界は嘆きの悲鳴に包まれる。
"神殺しの戦い"
そう名付けられた争いは、永遠と語り継がれることになる。
神の行進が世界を蹂躙し、数多の戦士たちが地に倒れる中、その壮絶な争いに立ち向かう一人の少年。
圧倒的な力に屈すること無く立ち向かう少年は、守ると決めた者のため、いつまでも剣を振りかざす。
豪炎の波が海となり、灰は宙に溶け、蒼にそよめく空は紅に染まり、崩れ落ちゆく街並みが世界の終わりを告げていく。
最後まで荒れ狂う大地に立っていた深紅の瞳は、その目で何を見ていたのであろうか。
女神の歌声が止まった時、その目から涙が落ちる。
『あの日……君を守ると決めた時。世界がこんなにも変わってしまうとは、思ってもいなかった』
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人は何故、産まれてきたのか。
世界の始まりとは、人間の頭では到底理解することができない輪廻の理。
人の一生とは、その無限に続いてきた理の中の一瞬の出来事である。
一生をかけ、人は数多の行動をとる。
財を築く者、名誉を得る者、堕落する者、孤独に生きる者。
どれだけ多くの例えをあげても、その全ての行動は輪廻の理のごく一部。
今から語られる物語は、その理に抗った人間の一瞬である。