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【再送】M&Aの件につきまして連絡です

 カルヴァドス伯爵の艦隊はこちら側との相対速度を0にし、武装解除させられた。

 その間にカルヴァドス伯爵本人が小型の搭載艇に乗ってこちら側の旗艦、戦艦ヘルメスまでやってきた。


 武装チェックをしたのちにヘルメスの士官食堂で会合ということになった。 

 ちょうどランチタイムでもあったので来客用のちょっとしたプレートと酒を提供する。

 カルヴァドス伯爵はいかにも貴族然とした黒っぽい服装に緋色のマント、金色の勲章をいくつか提げて現れた。

 精悍そうな少壮の堂々とした男性で背は低いががっしりとした体つきだった。線の細いリシャール侯爵とは対照的だ。


 涼井は敬意を込めて握手をし、筆記係にリリヤを同席させてカルヴァドス伯爵と向かい合った。

「……噂に聞いていたよりもずいぶんと怜悧な……いや失礼、油断もスキもないような方だな」伯爵が言った。

「……恐れ入ります」

「ふむ……いや戦は強くてももっと天然というか……まるで人が変わったかのような……?」伯爵が怪訝そうな表情になる。

「降伏の条件について進めましょう」

「う、うむ、そうだったな」


 涼井はいくつか条件を提示した。

 もちろん最終的には「上の判断」が必要になるという前提だ。

 どこまでなら譲歩できるか、という範囲を確定するための話だったが、伯爵は基本的には無条件降伏のつもりのようだった。


「……分かりました、では上と相談して以降進めます」

「それまでの我々の処遇はどうなる?」

「……そうですね、まず治安維持のための最低限の武装は許容します。ただし弾薬などはある程度制限をするのと、戦艦などの重武装艦艇は引き渡していただきます。巡洋艦、駆逐艦はしばらくの間制限つきで所有していただいて構いません」

「ふむ、私は捕虜……ということになるのかな?」

 涼井の眼鏡がきらりと光る。

 隣のリリヤが身もだえして萌えているような気配も感じるが涼井はそれは無視した。

「いえこちらとしては今後もお付き合いをしたく一定の権限をお持ちの上で共和国にご協力いただく……そんな体制が望ましいかと」

「なるほど、実に寛大だ、寛大だがもちろんそちらにもメリットがあるようだな」

「ではこれでよろしければ双方、覚書を交わすということで……」


 カルヴァドス伯爵が初めて微笑みのようなものを浮かべた。

「なるほど軍人にしては珍しく政治が分かっている。恐れ入ったぞスズハル提督。覚書はいただければすぐにでもサインしようじゃないか」

「では双方進めるということで……」

「締結までここに居させていただこう、基本はどんな文面でも受け入れるよ」


 双方の今後の協力とヘラ、ハデス両宙域の返還などを明記した覚書は早々に交わされた。

 涼井は伯爵から200隻前後の戦艦、重巡洋艦などの艦艇、および弾薬を満載した補給船などの引き渡しを受け、曳航することにしてカルヴァドス伯爵と別れた。

 目指すは共和国のエドワルド大統領の待つ共和国首都、惑星ゼウスだ。

 

 涼井は今後の内部での調整などの計画をひっそりと練り始めた。

 

 

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