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【確認】秋の黄昏作戦

 共和国の辺境宙域においてノートン大将とリシャール公本隊が激しく激突していた頃。

 スズハル提督の率いる52000隻の艦隊はアルテミス宙域において猛威を振るっていた。


「ふむ、丁度良いタイミングだったな」

 涼井は戦艦ヘルメスの提督席に座りメインモニタを見つめていた。

 アルテミス宙域を守っていたロアルド提督を苦しめていた帝国軍の第一梯団〜第二梯団は今や混乱の極みだった。

 

 第二梯団の司令官でリシャール公のいないこの宙域で司令官をつとめていたブルゴン伯が指揮官先頭を体現中に戦死。

 第一梯団と第二梯団は連携がうまくいかなくなり大軍としての利を活かしきれなくなっていた。

 そこにスズハル提督が大艦隊で割り込んできた。

 

 もともとこの方面だけで10万隻近かった帝国艦隊は今や統制がとれず、陣形も乱れていた。

 涼井は冷静にロアルド提督とも連携をとり指揮して帝国艦隊を追い詰め始めていた。


「帝国軍は指揮官先頭がお好きらしい。しかし指揮官が前線にいて喜ぶのは敵だけだ。そして全ての責任を持つ指揮官が倒れれば当然混乱する。いつ誰が何をすれば良いのか誰も判断できなくなるんだからな」

 涼井は指示を飛ばしながらつぶやく。

「メガネをきらめかせながら冷徹なことを言う提督……カッコよすぎます」

 こちらは副官のリリヤ。


 涼井はそれを無視して指示し続けた。

 すでに戦闘し傷ついたロアルド艦隊を後方に下げ、引き連れてきた艦隊の補給線で質量弾の補給や応急修理などをはじめた。その上で涼井艦隊は割り込んできつつあった帝国艦隊の第二梯団と第一梯団の出鼻にさらに砲撃を叩き込んだ。


 ここで幸運にも帝国の悪弊がさらに表出した。

 この一連の攻撃で、混乱をおさめるためにさらに前線に進出していたリシャール公の幕下にあった第二梯団のプロヴァンス伯、第一梯団のアルザス伯が砲撃で戦艦を破壊され戦死した。

 怯懦と罵られながらも艦隊の中心にいたミッテルライン公やヴァッレ・ダオスタ公は皮肉にも無事だった。


 その事を知るよしもない涼井だったが、敵艦隊の動きがさらに鈍ったのは感じ取った。

「敵の動きがさらに鈍くなっているな、よし」


 涼井はカルヴァドス伯、ヴァイン公に前進を命じた。

 それぞれを突出させ帝国の第一梯団に襲い掛かった。

 特にヴァイン公はヴァッレ・ダオスタ公爵に裏切られた過去がありその勢いは激しかった。


「撃ちなさい。特に戦艦を狙って撃ちなさい。貴族の指揮官はだいたいそこにいるわ」

 ヴァイン公リリザは氷点下の凍てついた表情で指示した。

 帝国側の人間だっただけにその弱点はよく分かっていた。


 ヴァイン公艦隊は駆逐艦や巡洋艦を無視して戦艦を狙い撃ちにした。

 それがヴァッレ・ダオスタ公の艦隊を引き裂いた。

 次々に小艦隊の指揮官が戦死し統制がとれなくなった。

 

 ヴァッレ・ダオスタ公は頬肉を震わせ憤慨した。

「ブ……ブハ……、まさか! 貴族の暗黙のルールを……」

 一方、ヴァイン公の艦隊は涼井の指示に従い、戦艦は戦艦、巡洋艦は巡洋艦など艦艇の種類ごとにある程度まとまって行動するようにしていた。指揮官を守る分厚い戦艦の群、先頭付近で戦う重装甲のその他の戦艦と重巡洋艦、それらの艦艇の間から出没して火力を投げつける軽巡洋艦や駆逐艦の群。

 それはこれまでこの世界に存在しなかった「戦術」の萌芽かのようだった。


 カルヴァドス伯爵とヴァイン公の突撃はロアルド提督との戦いで傷ついた第一梯団を完全に叩きのめした。

 そして涼井は手を休めず自らの直轄艦隊を動かし第二梯団に火力をぶつけはじめた。

 秋の黄昏作戦の最終幕がいよいよ上がろうとしていた。

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